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第三章 銀河の歌姫――Galaxy Minerva
26日目PM4:30
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ポープの臨海部にあるウラヌスショッピングプレイスは、遊園地とショッピングセンターの複合商業施設だ。
その敷地面積は100万平方メートルもある。
二人が真っ先に向かったのが、300もの専門店のあるショッピングモール「ウィア・サクラ」だ。
ライトが事務所のプロデューサーに渡すべきお菓子を開けてしまったため、同じものを用意することになったのだ。
アリエルの記憶によれば、ここにもコーディリアは出店しているはずだった。
「あ、あったでコーディリア。
3階のアレイD14やって」
案内図を指差してライト。
「よかった~・・・」
ホッと胸をなでおろすアリエル。
コーディリアは人気店で長蛇の列が出来ていた。
お店の装飾はロココ調で、オイルで汚れた革のジャケットを着ているエンジニアは、その甘美な空間から思い切り浮いていた。
フリルだらけの制服を着た若い女の店員が、レジを打つ。
「お待たせしました。10ドルになります」
「へ?ここには15ドルって書いたるけど・・・」
ディスプレイケースを指差してライト。
すると店員が笑顔で答えた。
「今日はカップルデーなんで、男女のカップルのお客様は割引になるんです♡」
「はあ・・・」
隣で嬉しそうに微笑むアリエル。
「なんやねん・・・」
☆
お菓子の紙袋を下げてショッピングモールを歩く二人。
「よし、これでなんとかなったな」
「はい・・・」
ふと、アリエルが若者向けの服が売っているショップに反応した。
「あの・・・」
と、言い出しにくそうにアリエル。
「なに?」
「ちょっと、あの店見てもいいですか?」
「なんや洋品店か。
ああ行っておいで」
「どの服が似合うか一緒に見てもらえませんか?」
「あかんよ。
あの店めっちゃメルヘンやん」
「大丈夫ですって」
そう言うと、アリエルはライトの手を引いた。
10代の少女しかいない店内に入るライト。
どの服もほとんど同じに見える。
「今晩、ライブがあるんですが・・・」
と、陳列された服を見つめながらアリエル。
「その衣装をライトさんに選んで欲しいんですよ・・・」
「へ?そういうの会社が用意するんちゃうの?」
「いえ、私なんかは全部自費なんです。
このお店は、高校生でも買えるくらい安くて、可愛いですから、よく利用してるんです・・・」
「ふ~ん、でもオレこういうの全然わからんって・・・」
こういう時に下手なことを言うと、めんどくさいことになるのを海王星の経験で彼は学習していた。
「君なら何着ても可愛いんちゃうの?」
ライトは服よりもアリエル自身を褒めることにした。
「そんなことないですよ・・・」
しかし、そう言うアリエルはとても嬉しそうだった。
☆
1時間後ふたりは遊園地にいた。
アリエルは星の形をした風船を持って「たのし~ステキ~♪」とはしゃいで駆け回っている。
「ちょっとおっちゃん疲れてもうた・・・休んでかまへん?」
そう言うとライトはベンチに座って、ローラーコースターのクロソイド曲線を眺めた。
さすがに5回立て続けにアレに乗って、疲れてしまったようだ。
「あ、すいません!
なんか一人で、はしゃいじゃって・・・
じゃ、あたしなにか飲みもの買ってきます!」
少女はベンチに風船を結ぶと、元気にワゴンに走っていった。
全然疲れていないらしい。
ー―若いつもりやったけど・・・
10代の女の子ってやっぱエネルギーがちゃうなあ・・・
半日一緒にいて分かったが、アリエルはおとなしそうに見えて、かなりせわしない。
まあ、天王星人はのんびりと余暇を楽しめない仕事人間が多いとは聞いていたが、それはあの子にも当てはまるようだ。
ー―なんで生き急いでんやろ・・・
ミグはもっとのんびり屋やからなあ・・・
そういや、あいつ今頃何してるんやろ・・・無茶してなきゃいいけど・・・
ライトがミグのことを考えていると、アリエルがドリンクを持って駆け寄ってきた。
「はいどうぞ!」
「あ、ありがとう」
ライトに飲み物を渡すと、少女は嬉しそうに横に座った。
「へへへデートみたいですね・・・!」
「大人をからかうなって」
「でも私こういうことって初めてなんで楽しくて・・・」
「恋愛したことないの?」
ストローをすすりながらライト。
「アイドルはそういうのNGじゃないですか」
アリエルは困ったように笑った。
「まさか生まれた頃からアイドルやないやろ」
「でも、私・・・物心がついた時からジュリエッタさんのようなアイドルになりたかったですから・・・」
「本当に子どもの頃からの夢なんや」
アリエルは膝に手を組んで、空を見上げた。
「だから今日のオーディションは絶対合格したいなあ。
今日のに合格するとですね、あのジュリエッタさんのライブにサブボーカルとして出られるんですよ!」
「へ~!共演や!」
「はいっ!共演です!」
ライトは観覧車の向こうの沈まない太陽を見ながら、アリエルにふと尋ねた。
「・・・なあアリエル。アリエルはなんでアイドルになりたいん?」
「え?」
そんなこと思ってもみなかったという様子のアリエル。
その反応にライトも当惑した。
質問が直接的すぎたのかもしれない。
「い、いや・・・一日中働き通しで・・・
そこまで頑張れるには、何か理由があるんちゃうのかなって・・・」
考えこむアリエル。
「そうですねえ・・・
え~っと・・・そういえばなんでなんだろう?」
そして困ったような表情で笑った。
「ごめんなさい・・・もう忘れちゃいました」
「そうか・・・」
「ライトさんは?」
「オレ?」
予想外の返しが来てライトが動揺した。
「なんで発明家を目指されたんですか?」
「そやな・・・自分の作った宇宙船に好きな女の子を乗せたかったんだよなあ・・・」
少し照れながらライト。
するとアリエルのテンションがにわかに上がった。
「そ、その話詳しく!」
何かの琴線に引っかかったらしい。
ライトに顔を近づけて、ドキドキしながら話の続きを聞きたがっている。
「なんで君にオレの初恋の話を公開せなあかんねん・・・」
ライトは後ろにのけぞって、アリエルから顔を離した。
「その手の話は10代の女の子の大好物ですよライトさん!」
「そうやったのか・・・勉強になったな・・・」
ライトは立ち上がると、ドリンクのカップをダストボックスに投げ入れた。
「さ、オーディションに行くで!」
「え~もう終わり!?」
その敷地面積は100万平方メートルもある。
二人が真っ先に向かったのが、300もの専門店のあるショッピングモール「ウィア・サクラ」だ。
ライトが事務所のプロデューサーに渡すべきお菓子を開けてしまったため、同じものを用意することになったのだ。
アリエルの記憶によれば、ここにもコーディリアは出店しているはずだった。
「あ、あったでコーディリア。
3階のアレイD14やって」
案内図を指差してライト。
「よかった~・・・」
ホッと胸をなでおろすアリエル。
コーディリアは人気店で長蛇の列が出来ていた。
お店の装飾はロココ調で、オイルで汚れた革のジャケットを着ているエンジニアは、その甘美な空間から思い切り浮いていた。
フリルだらけの制服を着た若い女の店員が、レジを打つ。
「お待たせしました。10ドルになります」
「へ?ここには15ドルって書いたるけど・・・」
ディスプレイケースを指差してライト。
すると店員が笑顔で答えた。
「今日はカップルデーなんで、男女のカップルのお客様は割引になるんです♡」
「はあ・・・」
隣で嬉しそうに微笑むアリエル。
「なんやねん・・・」
☆
お菓子の紙袋を下げてショッピングモールを歩く二人。
「よし、これでなんとかなったな」
「はい・・・」
ふと、アリエルが若者向けの服が売っているショップに反応した。
「あの・・・」
と、言い出しにくそうにアリエル。
「なに?」
「ちょっと、あの店見てもいいですか?」
「なんや洋品店か。
ああ行っておいで」
「どの服が似合うか一緒に見てもらえませんか?」
「あかんよ。
あの店めっちゃメルヘンやん」
「大丈夫ですって」
そう言うと、アリエルはライトの手を引いた。
10代の少女しかいない店内に入るライト。
どの服もほとんど同じに見える。
「今晩、ライブがあるんですが・・・」
と、陳列された服を見つめながらアリエル。
「その衣装をライトさんに選んで欲しいんですよ・・・」
「へ?そういうの会社が用意するんちゃうの?」
「いえ、私なんかは全部自費なんです。
このお店は、高校生でも買えるくらい安くて、可愛いですから、よく利用してるんです・・・」
「ふ~ん、でもオレこういうの全然わからんって・・・」
こういう時に下手なことを言うと、めんどくさいことになるのを海王星の経験で彼は学習していた。
「君なら何着ても可愛いんちゃうの?」
ライトは服よりもアリエル自身を褒めることにした。
「そんなことないですよ・・・」
しかし、そう言うアリエルはとても嬉しそうだった。
☆
1時間後ふたりは遊園地にいた。
アリエルは星の形をした風船を持って「たのし~ステキ~♪」とはしゃいで駆け回っている。
「ちょっとおっちゃん疲れてもうた・・・休んでかまへん?」
そう言うとライトはベンチに座って、ローラーコースターのクロソイド曲線を眺めた。
さすがに5回立て続けにアレに乗って、疲れてしまったようだ。
「あ、すいません!
なんか一人で、はしゃいじゃって・・・
じゃ、あたしなにか飲みもの買ってきます!」
少女はベンチに風船を結ぶと、元気にワゴンに走っていった。
全然疲れていないらしい。
ー―若いつもりやったけど・・・
10代の女の子ってやっぱエネルギーがちゃうなあ・・・
半日一緒にいて分かったが、アリエルはおとなしそうに見えて、かなりせわしない。
まあ、天王星人はのんびりと余暇を楽しめない仕事人間が多いとは聞いていたが、それはあの子にも当てはまるようだ。
ー―なんで生き急いでんやろ・・・
ミグはもっとのんびり屋やからなあ・・・
そういや、あいつ今頃何してるんやろ・・・無茶してなきゃいいけど・・・
ライトがミグのことを考えていると、アリエルがドリンクを持って駆け寄ってきた。
「はいどうぞ!」
「あ、ありがとう」
ライトに飲み物を渡すと、少女は嬉しそうに横に座った。
「へへへデートみたいですね・・・!」
「大人をからかうなって」
「でも私こういうことって初めてなんで楽しくて・・・」
「恋愛したことないの?」
ストローをすすりながらライト。
「アイドルはそういうのNGじゃないですか」
アリエルは困ったように笑った。
「まさか生まれた頃からアイドルやないやろ」
「でも、私・・・物心がついた時からジュリエッタさんのようなアイドルになりたかったですから・・・」
「本当に子どもの頃からの夢なんや」
アリエルは膝に手を組んで、空を見上げた。
「だから今日のオーディションは絶対合格したいなあ。
今日のに合格するとですね、あのジュリエッタさんのライブにサブボーカルとして出られるんですよ!」
「へ~!共演や!」
「はいっ!共演です!」
ライトは観覧車の向こうの沈まない太陽を見ながら、アリエルにふと尋ねた。
「・・・なあアリエル。アリエルはなんでアイドルになりたいん?」
「え?」
そんなこと思ってもみなかったという様子のアリエル。
その反応にライトも当惑した。
質問が直接的すぎたのかもしれない。
「い、いや・・・一日中働き通しで・・・
そこまで頑張れるには、何か理由があるんちゃうのかなって・・・」
考えこむアリエル。
「そうですねえ・・・
え~っと・・・そういえばなんでなんだろう?」
そして困ったような表情で笑った。
「ごめんなさい・・・もう忘れちゃいました」
「そうか・・・」
「ライトさんは?」
「オレ?」
予想外の返しが来てライトが動揺した。
「なんで発明家を目指されたんですか?」
「そやな・・・自分の作った宇宙船に好きな女の子を乗せたかったんだよなあ・・・」
少し照れながらライト。
するとアリエルのテンションがにわかに上がった。
「そ、その話詳しく!」
何かの琴線に引っかかったらしい。
ライトに顔を近づけて、ドキドキしながら話の続きを聞きたがっている。
「なんで君にオレの初恋の話を公開せなあかんねん・・・」
ライトは後ろにのけぞって、アリエルから顔を離した。
「その手の話は10代の女の子の大好物ですよライトさん!」
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