80日間宇宙一周

田代剛大

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第三章 銀河の歌姫――Galaxy Minerva

31日目

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確かに芸能界って虚構の世界だし、すべてがきらびやかなわけでは決してないけど、いいこともたくさんあるんですよ。それなのに「騙された」ってことでせっかくの才能が潰されちゃうのは嫌だったんで、何か伝えることができたらいいなって。
                                  ――岩井小百合



アリエルとライトはトポロ劇場にいた。

「さ、行ってこい」

と、ライトはアリエルの背中を押した。

不安そうなアリエル。

「やっぱり、私勇気が出ません」

「大丈夫。

君の歌が与えた感動は“本物”や。自分を信じろ」

小さなステージの幕が開く。

するとアリエルは目を疑った。

拍手と大歓声。

席は満席で、なんと立ち見もいる。

アリエルは信じられないといった様子で呆然とつぶやいた。

「なんで・・・」

すると、最前列のファンの一人が、ステージの彼女に温かい声援を送った。

「オレ達ファンは、機械だろうが人間だろうが関係ない!

アリエル=スカイの歌が聴きたいんだ!」

アリエルは感激で震えた。

ーーもう、なにも怖くない。

ウサギの少女はマイクを手に取った。

そして、歌い続けた。

ただ純粋に、歌を歌うだけで満たされていた頃のように。



ライトは、地球への旅を続けるためリンドバーグ号に乗り込んだ。

劇場から飛び出したアリエルがリンドバーグ号に駆けてくる。

窓から顔を出しライトは手を振った。

「じゃあなアリエル、すっごいアイドルになれよ~!」

アリエルはリンドバーグ号を追いかけながら、ライトに向かって思いを伝えた。

「ライトさん、ありがとう・・・大好き!」

離陸するリンドバーグ号。



リンドバーグ号の船内ではミグがライトに、この前のお返しをしていた。

「大好きだって・・・天王星に残っても良かったんだぞ、ん?」

「からかうなよミグ・・・それに・・・アリエルはもう立派なアイドルやないか」

そう言いながら、とても幸せそうなライト。

ミグは今までずっと気になっていたことを、彼に聞いてみることにした。

「・・・なあ、ひとつ聞いていいかな?」

「なに?」

「君は夢を諦めたことって一度もないのか?」

「・・・ないね」と、操縦桿を動かしながらライト。

ミグは言った。

「私・・・前から不思議だったんだ。

どうしたら君みたいな強い心を持てるんだ?」

「・・・オレはな、約束したんよ。絶対夢は諦めないって」

「約束・・・?誰と??」

するとライトは頬を赤らめた。

「や、だからオレにも恋人の一人くらいいるんやって・・・!」

口をあんぐり開けるミグ。

「なんやねん・・・」

「・・・本当に申し訳ない。

やっぱり想像がつかない」

「うっさい、もうその話は終わり!」



ーーレオナ・イヤハートの葬儀は、二人が初めて出会った暑い夏の日に行なわれた。
式が終わり、出席者がぞろぞろと帰っていく。
ライトはレオナとの最後の別れを終えると、教会から出て彼女が大好きだった空を見上げた。

空には飛行機雲が浮いていた。
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