80日間宇宙一周

田代剛大

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第六章 地球より愛をこめて――From Earth with Love

55日目

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コズミックグランプリのピットにアストンマーティンが突っ込んでくる。
スタッフ「コラ!止まれ!!」
通行止めのフェンスをぶち壊すイワン「公務だ!」

ライトのチームのピット
モニターを見ているクルーたち。
実況「いよいよマリネリス峡谷の最大のポイント、バンクアプローチです!
ここで勝負が決まります!!」
ピットに入ってくるミグ。
ミグ「ライトに言って機体を止めさせろ!!」
ミグに気づくアリエルとルヴェリエ。
ルヴェリエ「ミグさん!」
アリエル「こんばんは!」
ミュウ「あなた地球へ行ったんじゃ・・・!」
ミグ「ヘッドセットを貸して!!」
ミュウ「どういうつもり!?レース中よ!」
ヘッドセットを奪うミグ。
ミュウ「なにをするの!!」
ピットに入ってくるイワン「バンクアプローチに爆弾が仕掛けられているんだ!」
ミュウ「なんですって・・・?冗談でしょう」
ヘッドセットを付けるミグ「ライト!ライト!!」

リンドバーグ号のコックピット
ライト「あれ?ミグ、ピットに入れてもらえたんか?それはよかった。ミュウも粋なことするやんけ」
ミグ(無線)「呑気なこと言っている場合か!今すぐ機体を止めろ!」
ライト「ごめん、よく聞き取れへん・・・なんやって?」
ミグ「機体を止めろ!!」
ライト「何言うとんねん、これからが勝負どころなんや。」
ミグ「バンクアプローチに入るな!!」
ライト「理由を言えや。お前が言うから俺はこのレースに出場したんやぞ!」
ミグ「機体を止めろ!!!」
ライト「ええ加減にしろ!急に止められるわけないやろ!これは自転車ちゃうんや!
マッハ300出てるんやぞ!・・・あ、今マッハ301になった。」
ミグ「いいから私を信じて機体を止めろ!!
ライト「無理や!エンジンが吹っ飛ぶ!!」
ミグ「バカライト・・・」
無線を切ってしまうライト。

ピット
ミグ「・・・・・・。」
イワン「ミグ?どうした!?」
ミグ「無線を切られた・・・」
青ざめるアリエル「そんな・・・」

その時レース中継のモニターから爆音が聞こえる
ミグ「!!」
実況「おおっと何でしょう!リンドバーグ号が突然エンジンブロー!
どんどん速度を落としていき・・・バンクアプローチの前で停止しました!」
解説「そんな馬鹿な!直線コースで機体操作を誤ったなんて!!」
実況「リンドバーグ号から黒煙が立ち上っています!」
解説「あれでは完全にエンジンの方はダメでしょう・・・」
実況「大番狂わせです!レースの魔物が若きルーキーに牙を向きました!
ライト・ケレリトゥスが脱落!」

モニターを見つめるミグ「ライト・・・」
ライトのピットから出ていくイワン「まだ終わってない!後続の機体にも連絡しないと!!:
ミグ「私は軍に連絡します!」
ミュウ「私は警察に・・・!」

別のチームのピット
イワン「バンクアプローチに入れさせるな!」
ほかのチームのクルーは取り合ってくれない
クルー「なんだあんたは!」
イワン「私はTIAのスパイ、イワン・ウェイドだ!バンクに爆弾が・・・!」
警備員に取り押さえられるイワン
警備員「スパイが本名名乗るかよ、続きは警察署で言え!」
床に倒されるイワン
頭上のモニターを見る。後続機体が速度を落とさずにバンクに接近する。

コズミックグランプリ運営本部
ミグ「すぐに軍の出動を!バンクアプローチに爆弾が!!」
運営スタッフ「バンクアプローチに?・・・もう通過したよ」
実況「一位はライト・ケレリトゥスから変わってルナ・マイヤース、続いてマイケル・ヤング!各機バンクアプローチを通過しレースはいよいよ終盤戦に突入です!」
ミグ「え・・・?」



カジノのオフィス
モニターを眺めるロッソ「言っただろ・・・オレたちは何もしてねえってな・・・」

オフィスに入ってくる男「よくやった・・・」
ロッソ「あんたのおかげで儲かったぜ・・・」
男「ああ・・・」
ロッソに銃口を突きつける男
ロッソ「な・・・」
銃が火を噴きロッソの頭が吹き飛ぶ。



火を噴くリンドバーグ号から救助されるライト
リンドバーグ号の周りには消防車と救急車が取り囲み、警察も事情聴取をしている。
ストレッチャーで救急車に運ばれるライトに観衆が大ブーイング
「金返せばかやろー!」
「このレースに人生かけたんだぞ!!」
「死ねー!つーか殺してやる!」
「お前のせいで借金返せねえだろうが!お前も道連れにしてやるからな覚悟しとけクソガキ!」
ライト「レースに全財産賭ける方がおかしいやろ!働けボケ!!」
ライトを制止するミュウ「ライト!相手にしちゃダメ!!」
今度は記者たちが群がってくる。
ミュウとスタッフがライトから遠ざけようとする。
マスコミ「ライトさん!一体どうして直線でミスをしたんですか!?」
「大勢のファンの期待を裏切ったわけですが、どう釈明するおつもりですか!!??」
「ライトさん一言お願いします!」
救急隊員に救急車に乗せられるライト
マスコミ「ライトさん逃げるんですか!?答えてください!!」
ライト「病院行くんや!こちとら鎖骨折れてんやぞ!」



火星の軌道を回る惑星連合放送の中継ステーション。
オフィスでほかの上層部と打ち合わせしながら、タバコを吸うケプラー
ケプラー「なに?ライト・ケレリトゥスが最下位!?そりゃあ面白い。」
担当ディレクター「レースは大荒れです。
なにしろ観客のほとんどがライトに賭けてましたから・・・」
ケプラー「さんざん注目を集めたが、結局口だけだったってことだな。
おい、例の熱愛スキャンダルがあったろ。あれとあわせて報道しろ・・・
そうだな、“冥王星のオンナに入れあげた自称天才レーサー
bang(性交)してbank(バンク)にbang(ドカン)”でどうだ?」



救急車の中
医者「命に別状はありません・・・」
ミュウ「よかった・・・」
ライト「いつも世話かけるな・・・」
ミュウ「仕事ですから・・・」
ライト「ミグを責めんでくれ・・・きっとなにか事情があるんや・・・」
ミュウ「分かってるわ・・・」
ライトの手を握るミュウ。
ミュウ「大丈夫だから・・・私が守ってあげる・・・」
悔しくて涙目になるライト



火星のマーズローバー警察署
留置場に入れられているミグとイワン
イワン「ロッソのやつにいっぱい食わされたな・・・」
留置場の隅で座り込み、ショックで何も喋らないミグ。
イワン「・・・君のせいじゃない・・・」
ミグ「・・・・・・・・」
イワン「彼のこと愛していたんだな・・・」
ミグ「・・・・・・
なんでわかるんですか?・・・」
イワン「キミのことなら何でもわかる・・・
きっと彼もキミのことを恨んじゃいないさ・・・」
ミグ「・・・私はいったい何度ライトの夢を壊してしまったんだろう・・・
その度にいつもライトは笑ってくれた・・・
その優しさにずっと甘え続けていたんだ・・・」
イワン「好きあっているのなら、そんなこと関係ないだろう・・・」
顔を上げるミグ。涙を流している。
「・・・じゃあ、なんであなたは私の前から姿を消したんですか!?」
イワン「それは・・・」
ミグ「今ならその答えが私にもわかります・・・
自分が愛する人をこれ以上傷つけないためです・・・
あなたはそうやっていつも私を守っていてくれたんですよね・・・?」
イワン「そんなヒューマニストじゃないさ・・・
冥王星で君に近づいたのもご両親の機密データが欲しかったからだ・・・」
ミグ「嘘ばっかり・・・だからあなたはずっと孤独なんです・・・」
イワンに腕を回すミグ
優しくミグの手を取り首を振るイワン
「・・・キミを抱きしめる相手はもう私じゃないんじゃないか・・・?」
ミグ「・・・・・・。」
イワン「・・・なあ、サーペンタリウスについてキミが知っていることを教えてくれないか?
キミはピカール博士と面識があるな。彼は一体何を企んでいる?」
ミグ「こんな時まで任務なんですか・・・?」
イワン「国家のためだ・・・」
ミグ「・・・・・・。」

?「そうだ、国家のために釈放してやる」
扉の方を見る二人
ミグ「あなたは・・・」
ゲオルグ警部「ようチオルコフスキー、お仕事の時間だぜ」
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