145 / 159
第5章 崩れた日常
第144話 きんちゃんVS
しおりを挟む
『『堕天使ショーだ』』
邪神エルナザールが美羽に近づいて、美羽の頬を撫でる。
美羽は全身に寒気を感じる。
「やめて。気持ち悪いわ」
「まあ、そう言われると、もっとやりたくなってしまうわぁ。
だが、邪魔が入る前に済ますとするか」
エルナザールは美羽の頬から手を離すと、美羽の目を覗き込んでくる。
「今からするのはねぇ、
お前の神気を封印することだ。
当然、あなたは神気を使えなくなるわぁ。
そして、御使いでもなくなる。
そう、堕ちた御使い。堕天使よ」
(に、逃げないと、大変なことになっちゃう)
美羽は神魔気を全身から放出するが、神魔気が糸に触れると消滅してしまう。
(ダ、ダメ。とれない)
「今更、慌てたってダメよぉ。さっきも言ったじゃない。
もう遅いってな。
あなたは逃げることもできたのに、逃げなかったのよぉ。
それが貴様の選択だ。諦めるんだな」
「諦めるわけないじゃない! ここから抜け出して、お前を必ず殺す!」
「あらあら、動けもしないくせに強気なのにねぇ。それとも、
内心はビビってるのだろうな。
そりゃそうよねぇ。あなた、レスフィーナと仲良いんでしょ。
神気がなくなれば、レスフィーナにはまず会えなくなる。
レスフィーナから地上には干渉できないからねぇ。
貴様も神界にいけなくなる。レスフィーナはこれない。
寂しいじゃなぁい。それに、
レスフィーナなら解ける封印も、会うことができなければ、解きようがない」
美羽の頬を一筋の汗が伝う。
(まずい。神気を封印されるのだけは。なんとか、時間を引き延ばさないと)
「どうすれば解けるのよ」
エルナザールが一瞬きょとんとした顔をしてから笑い出す。
「あはははは、教えると思ったの? でも、
今のは面白かったから教えてやってもいい。
まあ、聞いてもどうしようもないのだけれどね。なぜなら、
俺を倒すことが必要だからだ。
今でも、これだけの力の差なのに、神気を封印されて勝てるわけないでしょう?
つまり、お前は2度と神気が使えなくなるということだ」
「私の神気を封印して、どうする気なの?」
「そんな意味のない会話する気はないわぁ。
とりあえず封印されろ」
エルナザールが美羽の頭頂部、百会のあたりに手を近づけた。
すると、そこに漆黒の邪神気が現れる。
エルナザールが不満げに言う。
「どうしても、いくつかの邪神術は、真っ黒な邪神気になっちゃうのよねぇ
だから、あまり使うことはないのだがな。
それなのにわざわざ使ってるんだから、喜んでよねぇ。美羽ちゃん」
美羽は必死に頭を振ろうとするが、頭も固定されていて動くこともままならない。
漆黒の邪神気が黒い光を放ち、今まさに術が発動しようとした。その時、
ビュン!
エルナザールは、咄嗟に後ろに跳びのく。
ズン!
エルナザールの立っていたところには、オーガの大剣が突き刺さっていた。
その大剣には神魔気が宿っている。
「お待たせしました。美羽様」
「きんちゃん、遅いよ~」
上空にはたくさんの武器を従えた、金魚ちょうちんの魔法生物きんちゃんが浮いていた。
エルナザールが不機嫌そうに言った。
「もう、なんで肝心な時に邪魔するのよ。
魔法生物如きが、気配まで消していたな?
神の私でもわからないように気配を消すなんて、生意気ねぇ。
魔法生物如き、一瞬で消してやる」
そう宣うエルナザールにきんちゃんが不敵に笑う。
「ふっ、貴様が神だと? 笑わせるな。レスフィーナ様の神気は貴様など比べ物にならないくらい強い。
所詮、貴様は邪神。本当の神レスフィーナ様の足元にも及ばない。邪神ごとき一捻りにしてやる」
きんちゃんの物言いに、邪神エルナザールは……、
『平伏しろ』
邪神言を飛ばす。
しかし、きんちゃんの前でそれは弾かれる。
「それはもう美羽様が破っているではないか。私に効くわけがなかろう。邪神というのは頭も悪いのか?」
エルナザールはきんちゃんの煽りに我慢ができなくなる。
「魚風情が不敬であるぞ。
貴様、殺してやる」
その言葉にきんちゃんが冷静に、
「殺すのはこっちのセリフだ! 美羽様をあんな目に合わせやがって、今すぐに八つ裂きにしてやる!」
冷静ではなかった。
『邪神鎖』
エルナザールが出した邪神鎖が四方八方から、きんちゃんに襲いかかる。
きんちゃんは神魔気を纏わせたオーガや魔人の大剣や盾で応戦する。
美羽の女神の手は、邪神鎖で相殺されてから練り直すのに多少の時間がかかったのに対し、きんちゃんの武器は武器自体に神魔気を纏わせているために、神魔気が相殺されれば、新たに武器に神魔気を纏わせるだけなので、1から作る必要もなく一瞬で済む。
そして、きんちゃんは神気も魔力も、美羽から毎日限界まで注がれ続けていたから、膨大な神魔気を発揮することができる。
その膨大な神魔気武器を使って、邪神鎖を圧倒する。
「生意気ねぇ、私の邪神鎖に対抗しようなんて。
まあ、狙いはわかっているからな」
そう言って、エルナザールは美羽をチラと見る。
そう、きんちゃんは美羽の救出を最優先に考えていた。
だから、攻撃はエルナザールが美羽から離れるように誘導している。
しかし、その思惑をわかっているエルナザールは黄金の邪神剣を何もない空間から出した。
そして、きんちゃんにわかりやすいように数本の神魔気武器を切り落とす。
それをきんちゃんが認識したのを見計らって、邪神剣を構えて美羽に向かって走った。
(!? 神魔気武器では止められない)
エルナザールが美羽に向けて上段から斬りつける。
きんちゃんの体が美羽と黄金の剣の間に入る。
エルナザールはニヤリと笑う。
邪神は剣を一度引っ込め、下から掬い上げるようにきんちゃんを打った。
きんちゃんは、不意打ちを受けて上空に打ち上げられた。
そして、打ち上げられた先の上空に邪神が待ち構えていた。
上段から一閃、きんちゃんは弾き飛ばされて、城門があった、今は400人の魔人たちが占拠しているところに勢いよく落ちていった。
きんちゃんが落ちた先に向けて、エルナザールが手のひらを向ける。
『邪神気砲』
エルナザールの掌から発射された黄金の邪神気は細いが凄まじいエネルギーを持って、きんちゃんに迫った。
ドガーーーーーン。
きんちゃんのいた地点に降り注いだ邪神気砲は、凄まじい爆発と共に、400人の魔人をも巻き込んで大爆発を起こした。
邪神エルナザールが美羽に近づいて、美羽の頬を撫でる。
美羽は全身に寒気を感じる。
「やめて。気持ち悪いわ」
「まあ、そう言われると、もっとやりたくなってしまうわぁ。
だが、邪魔が入る前に済ますとするか」
エルナザールは美羽の頬から手を離すと、美羽の目を覗き込んでくる。
「今からするのはねぇ、
お前の神気を封印することだ。
当然、あなたは神気を使えなくなるわぁ。
そして、御使いでもなくなる。
そう、堕ちた御使い。堕天使よ」
(に、逃げないと、大変なことになっちゃう)
美羽は神魔気を全身から放出するが、神魔気が糸に触れると消滅してしまう。
(ダ、ダメ。とれない)
「今更、慌てたってダメよぉ。さっきも言ったじゃない。
もう遅いってな。
あなたは逃げることもできたのに、逃げなかったのよぉ。
それが貴様の選択だ。諦めるんだな」
「諦めるわけないじゃない! ここから抜け出して、お前を必ず殺す!」
「あらあら、動けもしないくせに強気なのにねぇ。それとも、
内心はビビってるのだろうな。
そりゃそうよねぇ。あなた、レスフィーナと仲良いんでしょ。
神気がなくなれば、レスフィーナにはまず会えなくなる。
レスフィーナから地上には干渉できないからねぇ。
貴様も神界にいけなくなる。レスフィーナはこれない。
寂しいじゃなぁい。それに、
レスフィーナなら解ける封印も、会うことができなければ、解きようがない」
美羽の頬を一筋の汗が伝う。
(まずい。神気を封印されるのだけは。なんとか、時間を引き延ばさないと)
「どうすれば解けるのよ」
エルナザールが一瞬きょとんとした顔をしてから笑い出す。
「あはははは、教えると思ったの? でも、
今のは面白かったから教えてやってもいい。
まあ、聞いてもどうしようもないのだけれどね。なぜなら、
俺を倒すことが必要だからだ。
今でも、これだけの力の差なのに、神気を封印されて勝てるわけないでしょう?
つまり、お前は2度と神気が使えなくなるということだ」
「私の神気を封印して、どうする気なの?」
「そんな意味のない会話する気はないわぁ。
とりあえず封印されろ」
エルナザールが美羽の頭頂部、百会のあたりに手を近づけた。
すると、そこに漆黒の邪神気が現れる。
エルナザールが不満げに言う。
「どうしても、いくつかの邪神術は、真っ黒な邪神気になっちゃうのよねぇ
だから、あまり使うことはないのだがな。
それなのにわざわざ使ってるんだから、喜んでよねぇ。美羽ちゃん」
美羽は必死に頭を振ろうとするが、頭も固定されていて動くこともままならない。
漆黒の邪神気が黒い光を放ち、今まさに術が発動しようとした。その時、
ビュン!
エルナザールは、咄嗟に後ろに跳びのく。
ズン!
エルナザールの立っていたところには、オーガの大剣が突き刺さっていた。
その大剣には神魔気が宿っている。
「お待たせしました。美羽様」
「きんちゃん、遅いよ~」
上空にはたくさんの武器を従えた、金魚ちょうちんの魔法生物きんちゃんが浮いていた。
エルナザールが不機嫌そうに言った。
「もう、なんで肝心な時に邪魔するのよ。
魔法生物如きが、気配まで消していたな?
神の私でもわからないように気配を消すなんて、生意気ねぇ。
魔法生物如き、一瞬で消してやる」
そう宣うエルナザールにきんちゃんが不敵に笑う。
「ふっ、貴様が神だと? 笑わせるな。レスフィーナ様の神気は貴様など比べ物にならないくらい強い。
所詮、貴様は邪神。本当の神レスフィーナ様の足元にも及ばない。邪神ごとき一捻りにしてやる」
きんちゃんの物言いに、邪神エルナザールは……、
『平伏しろ』
邪神言を飛ばす。
しかし、きんちゃんの前でそれは弾かれる。
「それはもう美羽様が破っているではないか。私に効くわけがなかろう。邪神というのは頭も悪いのか?」
エルナザールはきんちゃんの煽りに我慢ができなくなる。
「魚風情が不敬であるぞ。
貴様、殺してやる」
その言葉にきんちゃんが冷静に、
「殺すのはこっちのセリフだ! 美羽様をあんな目に合わせやがって、今すぐに八つ裂きにしてやる!」
冷静ではなかった。
『邪神鎖』
エルナザールが出した邪神鎖が四方八方から、きんちゃんに襲いかかる。
きんちゃんは神魔気を纏わせたオーガや魔人の大剣や盾で応戦する。
美羽の女神の手は、邪神鎖で相殺されてから練り直すのに多少の時間がかかったのに対し、きんちゃんの武器は武器自体に神魔気を纏わせているために、神魔気が相殺されれば、新たに武器に神魔気を纏わせるだけなので、1から作る必要もなく一瞬で済む。
そして、きんちゃんは神気も魔力も、美羽から毎日限界まで注がれ続けていたから、膨大な神魔気を発揮することができる。
その膨大な神魔気武器を使って、邪神鎖を圧倒する。
「生意気ねぇ、私の邪神鎖に対抗しようなんて。
まあ、狙いはわかっているからな」
そう言って、エルナザールは美羽をチラと見る。
そう、きんちゃんは美羽の救出を最優先に考えていた。
だから、攻撃はエルナザールが美羽から離れるように誘導している。
しかし、その思惑をわかっているエルナザールは黄金の邪神剣を何もない空間から出した。
そして、きんちゃんにわかりやすいように数本の神魔気武器を切り落とす。
それをきんちゃんが認識したのを見計らって、邪神剣を構えて美羽に向かって走った。
(!? 神魔気武器では止められない)
エルナザールが美羽に向けて上段から斬りつける。
きんちゃんの体が美羽と黄金の剣の間に入る。
エルナザールはニヤリと笑う。
邪神は剣を一度引っ込め、下から掬い上げるようにきんちゃんを打った。
きんちゃんは、不意打ちを受けて上空に打ち上げられた。
そして、打ち上げられた先の上空に邪神が待ち構えていた。
上段から一閃、きんちゃんは弾き飛ばされて、城門があった、今は400人の魔人たちが占拠しているところに勢いよく落ちていった。
きんちゃんが落ちた先に向けて、エルナザールが手のひらを向ける。
『邪神気砲』
エルナザールの掌から発射された黄金の邪神気は細いが凄まじいエネルギーを持って、きんちゃんに迫った。
ドガーーーーーン。
きんちゃんのいた地点に降り注いだ邪神気砲は、凄まじい爆発と共に、400人の魔人をも巻き込んで大爆発を起こした。
49
あなたにおすすめの小説
魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します
怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。
本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。
彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。
世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。
喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。
幼女はリペア(修復魔法)で無双……しない
しろこねこ
ファンタジー
田舎の小さな村・セデル村に生まれた貧乏貴族のリナ5歳はある日魔法にめざめる。それは貧乏村にとって最強の魔法、リペア、修復の魔法だった。ちょっと説明がつかないでたらめチートな魔法でリナは覇王を目指……さない。だって平凡が1番だもん。騙され上手な父ヘンリーと脳筋な兄カイル、スーパー執事のゴフじいさんと乙女なおかんマール婆さんとの平和で凹凸な日々の話。
幼女と執事が異世界で
天界
ファンタジー
宝くじを握り締めオレは死んだ。
当選金額は約3億。だがオレが死んだのは神の過失だった!
謝罪と称して3億分の贈り物を貰って転生したら異世界!?
おまけで貰った執事と共に異世界を満喫することを決めるオレ。
オレの人生はまだ始まったばかりだ!
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
ペットたちと一緒に異世界へ転生!?魔法を覚えて、皆とのんびり過ごしたい。
千晶もーこ
ファンタジー
疲労で亡くなってしまった和菓。
気付いたら、異世界に転生していた。
なんと、そこには前世で飼っていた犬、猫、インコもいた!?
物語のような魔法も覚えたいけど、一番は皆で楽しくのんびり過ごすのが目標です!
※この話は小説家になろう様へも掲載しています
【完結】異世界に召喚されたので、好き勝手に無双しようと思います。〜人や精霊を救う?いいえ、ついでに女神様も助けちゃおうと思います!〜
月城 蓮桜音(旧・神木 空)
ファンタジー
仕事に日々全力を注ぎ、モフモフのぬいぐるみ達に癒されつつ、趣味の読書を生き甲斐にしていたハードワーカーの神木莉央は、過労死寸前に女神に頼まれて異世界へ。魔法のある世界に召喚された莉央は、魔力量の少なさから無能扱いされるが、持ち前のマイペースさと素直さで、王子と王子の幼馴染達に愛され無双して行く物語です。
※この作品は、カクヨムでも掲載しています。
異世界に落ちたら若返りました。
アマネ
ファンタジー
榊原 チヨ、87歳。
夫との2人暮らし。
何の変化もないけど、ゆっくりとした心安らぐ時間。
そんな普通の幸せが側にあるような生活を送ってきたのにーーー
気がついたら知らない場所!?
しかもなんかやたらと若返ってない!?
なんで!?
そんなおばあちゃんのお話です。
更新は出来れば毎日したいのですが、物語の時間は割とゆっくり進むかもしれません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる