うち、元は普通の家だったんです

高町 凪

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謎の転校生、安陪友理奈

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6月中旬、梅雨の時期真っただ中の今日も、いつも通りに登校しHRになるのを待っていた。だがどうもクラスのみんなの様子がおかしい。主に男子が。そわそわしてる。

「なあ、今日ってなんかあるのか?」

隣のクラスメイトに聞いてみた。

「あれ、木霊知らないのか?転校生の話」
「転校生?」
「そ、今日転校生がうちのクラスに来るんだよ。しかも飛び切りの美少女らしいぞ」

と顔をだらしなくしながら言っていた。

「・・・転校生ね。こんな中途半端な時期にか?」
「理由についてはわからんが、まあそんなわけで、話がクラス中に渡ってみんなこの有り様ってわけさ」
「なるほどね」
「はーい、みんな席について~ってもう着いてるか」

話しているうちに担任の先生が教室に入ってくる。

「よし、じゃあ出席取るぞ・・・と言いたいとこだが、どうやら話は行き渡ってるみたいだし、さっそく転校生を紹介するぞ~」
「「「「待ってました~~~~~!!!!!」」」」
「おい騒がしくするんじゃない、俺があとで怒られるだろうが。・・・まあいい、入ってきてくれ!」

先生の呼びかけに答えて教室に転校生が入ってきた。

ボブカットの黒髪に黒目。どちらかと言うと可愛い系でスタイル良しの美少女だった。

安陪友理奈あべゆりなと言います。みなさん、よろしくお願いします」

そう笑顔で頭を少し下げて挨拶する安陪さん。に対し、クラスはシンとした

「「「「・・・・・・・・」」」」
「っておい、お前ら何か反応しろよ。拍手とかなにか「・・・うっ」・・・・うっ?」
「「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!」」」」
「おわっ、何だ急に!?」

「可愛すぎる!!」とか「お近づきになりてえ!!」とか「結婚してくれ!!」とか「友理奈たんはぁはぁ」とか。主に男子が騒ぎ始めた。てか最後のやつやべぇだろ誰だよ一体。

などと思いながら騒ぐクラスを見ていると、ふと安陪さんと目が合った。すると彼女はこちらに微笑んだ。・・・俺に対してか?気のせいかな。

まだまだ騒ごうとする生徒たちを先生はどうにか抑え、話を進める。

「こほん。ああ、阿部はまだこっちに引っ越してきて間もない。色々分らんことが多いだろうから、みんなで協力してやってくれ」
「「「「はぁ~~~い!!!!」」」」
「ったく、ほんとこういうときだけ元気だなお前らは・・・。ああ、阿部、そんなわけだから、なにかあったらこいつらに聞くといい。やかましい連中だが、基本なんでも引き受けてくれるからな」
「先生は俺らを便利屋か何かだと思ってない?」

生徒の冷静なツッコミを無視して先生は続ける。

「そうだな、今日のところは・・・お、日直は木霊か」

と言ってこちらを見る。なんか嫌な予感。

「木霊、お前今日放課後暇だろ」
「なぜ決めつけた」
「いや部活もやってねぇし真っ先にいつも帰宅するじゃねぇか」
「帰ってやることあるんですが」
「どうせ○○〇〇とか○○〇〇だろ?暇じゃねぇか」
「うおい!!あんたほんとに聖職者か!!てか勝手に決めつけるなっての!!」

なんてこと言うんだこの人、ほら、阿部さんも顔を赤くしてんじゃねぇか。

「まあそんなわけで、お前放課後安陪に校舎の案内してやってくれ」
「え、俺が?」
「お前がだ。阿部もいいよな?」
「はい、構いません。よろしくお願いしますね、木霊君」
「あ、ああ。よろしく」

なんでおれが・・・と思ったものの、阿部さん本人がそう言っているなら無下には出来ない。ただ。

「ええ~~~!!先生、案内だったら俺がやりますよ!!」
「い~や俺が!!」
「俺が!!」

と次々手を上げていく男子一同。・・・うん、こうなるのは分かってた。

「やかましいわ。俺がそうと決めたんだから、文句言うんじゃない」
「ほんと、教師かよあんた」

よく続けてられるな、なんて思っていたら、いつの間にか阿部さんが隣にやってきた。

「って、隣だったのか。道理で席が空いてると思ったら」
「ふふっ、放課後のことも含めて、改めてよろしくお願いしますね」
「ああ、よろしく」


そんなこんなで、今日は転校生ならではの質問タイムが開かれたり、誰がお昼を共にするかで争ったり。終始騒がしい一日となった。

そして放課後、阿部さんを連れて俺は校舎の中を案内することに。

「ここが音楽室。ちとクラスから遠いから速めに向かうことをお勧めするよ」
「ふむふむ、なるほど・・・・・・ところで木霊君、一ついいかしら」
「ん?なにか分からいことでもあったか?」

そう聞くと阿部さんはまじめな顔をして首を横に振り。

「ううん、そうじゃなくて。・・・・ここ最近、何か変わったことはなかった?」
「え、変わったこと?」
「ええ、例えばこの学校のことでも、町のことでも。あるいは・・・木霊君自身の事とか」
「・・・・・・っ」

ある。おもっくそある。それもとびっきり、非現実的なことが。

とはいえ、そんなこと馬鹿正直に話せるわけもなく。

「いや、特にはないかな・・・・けど、どうして?」
「・・・・。ううん、ちょっと気になることがあったのだけど、気のせいだったみたい。ごめんなさいね、変なこと聞いて」
「構わないけど。まあ、先生も言ったように、何か困ったことがあったら言ってくれ。何かできるってわけでもないが、話聞くくらいならしてやれるからさ」
「ふふっ、優しいね。ありがとう、その時はそうさせてもらうわね」

可愛く微笑んで彼女はそう言った。なんだろう、以前なら俺もここで心臓バクバクしてただろうけど、今はそれほどでもない。・・・美人妖怪三人のせいで耐性が付いたとか?

「えっと、ひとまずこんなところだけど。他に気になることとかあるか?」
「いえ、大丈夫よ。後で何かあったら聞いてもいいのよね?」
「ああ、そうしてくれ。できる限りは教えるから」
「ありがとう、それでは今日はこれで失礼するわね。また明日ね、木霊君」
「ああ、また明日」

お互い手を振って別れる。さて、俺も帰ろう。そういえば玉藻が帰りにソースを買ってきてくれって言ってたっけ。・・・今日の晩飯なんだろうなぁ。最近はそんなことを考えるのが楽しくなってきた。

あれ以来、なんだかみんなと一緒に過ごすのが楽しく感じる。まあ相変わらずスウさんはあのネタで俺をからかってくるが。

そんなことを思いながら、俺はコンビニへと寄って帰るのだった。



木霊君と別れてから一人考えに耽っていた。

「確かに、この町には妖力を感じる。けど、どうしてこんな微弱なのかしら」

私、安陪友理奈はある仕事のためにこの町に引っ越してきた。とある妖怪が長い封印から目覚めたという知らせを受けて、それを再び封印するために。

しかしこの町に着いてからというもの、妖力をほとんど感じない。封印された妖怪は、あの日本三大悪妖怪とされているほどの存在だというのに。

「一体どういう事?」

何が何だか分からない。正直すぐにでも解決できると思っていたのだけど。

「・・・・そういえば、さっき木霊君、私の質問に少し動揺していたような」

怪しい。特に彼自身に何か変化がないか聞いたときだ。少しだけギクリとした顔をしていた・・・・・気がする。とにかく明日、もう一度彼に接触するしかない。あわよくば、彼の家にでも入ることができれば、何か掴めるかもしれない、そんな予感がある。

「なにせ木霊っていえば、あの精霊の木霊だしね」

おそらくこの町で唯一妖怪に接触できる存在だ。彼について調べれば、おのずと妖怪にたどり着くことも可能ではないか。私は今後の方針を決めて帰宅する。

「・・・・・・あ、スーパーって、どこ?」

その前にこの町のこと覚えなきゃ。そう思った私でした。
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