竜の探索者  最大手のクラン、所属条件はクラン主のお眼鏡に叶うかどうかのみ。人種も身分も関係ない。僕らはみんな冒険者

あくの

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金と銀の玉の章

05

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 オールの予想通り地下牢の階にたどり着いた。途中にいた死霊も聖水とマリナと暗躍君のおかげで攻撃してくることもなく消滅していった。
 
「死霊、多いね」

エドガーの呟きに暗躍君が答える。

「地下には衛兵の休憩所があったり、牢があったりと意外と人がいたのですよ。我々が入るまでだれも鎮魂の祈りを唱えたり、聖水で清めたりするものもいなかったのでここにとらわれてしまっていたのでしょう。十年も彼らを慮らなかった我ら聖職者の怠慢です。…この国から逃れられた太陽神の神職も我が国はいるのに、彼らがこの国で鎮魂の儀式を行おうと思ってなかったのも…問題なのでしょう」

「俺とか家族は国境近くにいたからディアーナ王国に逃げられたけど、…逃げられなかった中には父親の親戚もたくさんいたんだよな」

とエドガーは考えている顔になった。ヨアヒムが助け船を出す。

「これが落ち着いたらオヤジさん達を相談して、この国の鎮魂の儀式を考えるといい。スポンサーにはなってやるからな」

「師匠…!」

「心に区切りをつける儀式は必要だと思うぞ、お前の父親にも」

「…はい、よく話し合ってみます」

 アキラとレッドとオールはすたすたと目的の牢に近づいている。

「…これ、死霊の塊じゃないか?」

「ああ。それっぽいな」

三人は聖水を体にまといながらこの一帯に聖水を雨状にして降り注いでいる。

「この位置に固着させられて、かつ、こいつはスライム状だから牢の隙間から体の一部分を伸ばせる、ってところかな」

マリナがつかつかと歩いてきた。

「もう苦しまなくていい」

牢の中に満ちているスライム状の零体にそっと触れる。マリナの手が苦痛なのかその部分がへこむ。牢からはみ出た部分でマリナを攻撃しようとしたのだろうかマリナの斜め上で触手状の体の一部は止まってしまっている。
 マリナの魔力が一気に放出される。その後鎮魂の祈りの言葉が紡がれている。

「暗躍君はいかないの?」

「私は一応、皆さまをお守りする役ですね。魔法的なものに対処できる人はこのメンバーいませんし」

「俺、俺俺」

魔剣が主張する。

「魔力に対して反応できるし、一回目だけなら俺が全員分弾くし」

「こいつが魔法弾いたら俺が聖水撒くし」

「で、おれがこいつで魔法はじくし」

と魔剣とヨアヒムとヴァイキーが主張する。暗躍君は苦笑いしている。

「私がここにいた方がマリナ様が安心しますから」

と暗躍君は静かに笑う。

「暗躍君はマリナ女史の敵対勢力じゃないんだ?」

エドガーが片手にクロスボウを構えている。今まで歩いて来た道の方へ向けている。

「んー、神殿内では皆様に対しての敵対勢力、なのかもしれません、私。一応、異端審問室に席がありますから」

「君は異端審問官なのか?」

ヴァイキーが尋ねる。

「…そうとも言い切れない微妙な位置にいるんですよ、ディアーヌ様の信仰上」

暗躍君は考え考え答えている。

「そもそも、我が神は他の神への信仰を禁じていないので。己のみが神である、という立場をとっておられませんから、ディアーヌ神、モーント神、ソル神、この三柱は己たち以外の神もみとめておられます。そう、異界の神も。なのでディアーヌ神教においては異端はない、というのが私の考え方なんですが…。前の神官長が何を考えこの『異端審問室』を作ったのかは、わかりません。が、一応中立の立場での神職者の査察をメインとして行動してます」

「難しいや」

エドガーの言葉に暗躍君はにっこり笑う。

「宗教内部の政治的問題、とでも思ってもらえれば」

「宗教、生臭いな」

ヨアヒムにつっこまれて暗躍君は苦笑する。

「人が集まるところなんてそんなもんでしょうね」


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