竜の探索者  最大手のクラン、所属条件はクラン主のお眼鏡に叶うかどうかのみ。人種も身分も関係ない。僕らはみんな冒険者

あくの

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海の姫の章

18

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 「クロ、怪しげな子がいたとか?」

王都のクランハウスの会議室でシルバー、アキラとクロが座っている。

「うむ。どうも、見習いメイドに一人、に怪しげなのがいるんだ」

「身元は?」

「辺境伯の身内、らしい。辺境伯の祖父の弟の庶子の庶子、らしい。祖父の弟ってのが商人、それも旅商人らしい」

「殆ど他人ですねぇ」

シルバーが呆れた声を出す。

「他の子達は出自はちゃんとしてる、書類上はな」

「海の姫がいなくなった頃なら吸血鬼の王はまだ力がありましたからね。なにかしててもわかりませんしね」

「書類改ざんくらいなら海の姫でも」

クロが言いかけたところにかぶせるようにシルバーが言う。

「無理ですよ。あの人、書類や契約の概念を理解してませんから」

「……なぜ?」

アキラが尋ねる。

「そういうものに縛られず好き勝手してきたから」

シルバーは淡々とアキラに教えてくれる。

「彼女は海の『姫』で女王がとことん甘やかして育てた子なんです。末の姫で……女王の繁殖は海の姫で止まりました」

シルバーはアキラを見て話す。

「海ではね、女王や王は繁殖を続ける義務があるんだ。何年かに1度の繁殖が王、女王たるものの証で繁殖が止まったらその時点で次代に席を譲らないといけなくてね」

シルバーは嘆息する。

「次代の王子と決まってた海の姫の兄のうち一人が譲位を迫ったんだけど」

「海を統べる竜の玉座の力で退けてな。その王子は小さな魚にされたそうだ。なので表立って女王に意見できるものがいなくなってしまった」

シルバーの言葉をクロが引き取った。

「玉座の力はほぼ黒龍の力と同じと考えていい」

「海を統べる女王は……変質してしまってます」

シルバーは眉間に皺を寄せた。

「あの当時海の王子と打合せしていたんです。黒龍も引っ張り出して、海の女王の退位を促そうって」

シルバーはクロを見る。

「貴方と海の女王と黒龍で決めた婚約でしたが、私なりに海の姫の事を知ろうと思ってました。海の王子との連絡役を彼女に任せたのは私の失策でした。責任感も海の事も考えていないお子様が結婚とか言い出すとは笑止千万」

アキラはシルバーの怒りを感じた。

「あの姫だけは見つけて……、海の王子に引き渡します。末の姫と女王は蟄居してもらうつもりです」

「末姫引きずりだすのにサファイア借りる?」

アキラの提案にはクロが軽く反対した。

「あの男もようやく静かな環境に落ち着けたのだ。……末姫とは関わらせたくはない」

「私もそう思います。せっかくの修行を邪魔するほど切羽詰まってはいない。あのヒステリックな子供はジンジャで捕まえるのが一番いい。やってはいけない事をやっている時なら隙もだっぷりできる」

シルバーは怒りを含んだまま続ける。

「金の竜の玉をトカゲモドキに与える、なんて事を考え着くのは竜の性質を理解してもので、かつ吸血鬼の側にいる私以外のもの、となると末姫でしょうしね」
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