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クランに関わる人間関係

14 カツミ 2

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 「取って来たか」

宗介が洗った米の入った土鍋をストーブの上に置いた。火力を強くして沸騰を待つ。

「半時間ちょっとは掛かるからさっと風呂で汗流して着替えてき」

宗介がにんまり笑う。

「そしたら米は炊き上がって丁度ええ頃合いになってるわ」

カツミはにっかりと笑い親指を立てて風呂に向かった。
 風呂に先客がいる気配がする。カツミは拠点暮らしがやめられない理由は風呂がでかいよなと理解している。これほど日本人好みの清潔さと水質を確保した温泉などこの世界で見た事などなかった。
 最初にいた国は貴人として大事にされたが肌にあわなかった。一緒にここに来た、東の国に移住した仲間達が完全にハレム化したのがあの国だったのもある、と服を脱ぎながら考える。
 カツミが中に入ると先客はルトガーだった。頭の先からつま先まで体中洗ってすっきりした時にルトガーと目が合いカツミもルトガーも会釈をする。
 カツミはルトガーから離れた位置で湯船につかる。

「ふぅ」

カツミは小さく声をだすと目をつぶり暫く湯船に浸かる。ちゃぽ、と音がして目を開けるとオールが浸かりに来ていた。

「ああ、こんちは」

「こんにちは。そろそろ炊けそうだって宗介が言ってる」

「あ、ありがとうです」

カツミは焦りつつ風呂を上がる。

「お先ー」

そう言って風呂場をでるカツミをオールは

「賑やかな子だな」

と見送る。



「カツミ、卵取って来たって?」

タクミが食堂に戻るとアキラがいた。

「20個くらいとって来た」

「ご相伴に預かっても?」

「もちろん。俺の初ダンジョン卵、喰ってくれ。宗介も食ってよ?」

宗介は頷く。そしてアキラを見る。

「アキラちゃんおるんなら米、余分に炊いとこか」

 


 三人がにんまりと卵かけご飯を食べているとエヴァとユリアーナが一仕事終えて帰ってきた。ユリアーナはダンジョンの後、農作業にかかっていたのだ。

「また生卵食べてるの?」

エヴァが嫌な顔をする。

「エヴァちゃん、他人が喜んで食うてるもんにそう言う顔せん方がええよ。無作法やで」

宗介にぴしゃりと言われてエヴァはぐっと詰まっている。

「俺らにはいいけど、外ではやるなよ?文化が変わると食生活も変わるから」

アキラにきっぱりと言われてエヴァは小さく答える。

「はい」

ユリアーナが明るく突き落とす。

「外でやったら最悪さされるからねぇ。冒険者、危機管理しなきゃね?」

年下にそう言われてエヴァはちょっとうろたえてる。

「ま、あんたらの文化やとエッグノック、酒の方な、は生の卵黄つかうやろ?そう言う感じやな、これは」

宗介の説明でエヴァは少し納得舌らしい。

「アキラ……一口たべてみたい」

ユリアーナは好奇心を抑えきれなくなったようだった。

「ほら」

アキラはスプーンを出してきてユリアーナに渡す。ユリアーナは一匙アキラの卵かけご飯を掬って口に入れる。

「ん!すっごい。濃厚」

「これは卵黄だけだから」

「卵白余ってる?」

エヴァが訊ねる。

「あるよ?まだ使い道も決まってない」

「じゃ、貰っていい?焼きメレンゲ作る」

エヴァの言葉にユリアーナも目を輝かせる。

「いいね。やろう」

女の子たちは急いで部屋に向かう。

「まだ喰ってるからゆっくりでいいぞ」

アキラの声が二人の背中を追っかけて行った。


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