竜の探索者  最大手のクラン、所属条件はクラン主のお眼鏡に叶うかどうかのみ。人種も身分も関係ない。僕らはみんな冒険者

あくの

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再びアキラの章

36 休養日あるいはイナゴの仕事日

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 でかいイナゴはセーフエリアと入口があった方向の間の背の高い草をかなり食べていた。アキラとデヴィッドは今日は一日休養日にしてイナゴがもう少しボス部屋側に行ってから出発する、と決めた。それを王子達の方へデヴィッドが伝える。
 アキラは聖布を使ってしっかりした巾着袋を作った。生糸の色のままのシルクスパイダーの糸で織られた布であった。それを何重にかして細かい針目で縫いあげる。

「これでいいか?」

アキラはシルバーに訊ねた。シルバーが頷く。呪いの印璽の欠片を保存する袋だ。

「ありがとう。しかしアキラが裁縫できるの不思議」

「冒険者してると服を裂いたりするから最低限の技術は身に着けたよ。それと前いたところの放課後の活動で調理研究部だったんだけど入部最初の課題が『自分でエプロンを作る』だったんだよな。調理研究部、っていっても生活全般を出来るようになる、ってのが目標の部活だったんだよ」

シルバーは暫く考える。

「その部活って冒険者クラブ、みたいなもん?」

「うん。まさにああいうもの。学生の学業以外の活動」

「どんな世界でもそういうのあるんだねぇ」

シルバーはのほほんと答える。



 レッドは何やら王子達を指導している。

「戦いに強くなりたければ、柔軟性が大事だ。体が柔軟なら動きもスムーズになるからな。そのあとは体幹。筋肉を鍛えるのも大事だが筋を伸ばして関節の稼働範囲を広げることで出来ることが増える」

かなり真面目に指導しているようだった。レッドはアキラ達よりも王子達と仲良くなったようだった。フランシスやエリクもベテラン冒険者の話を聞けるチャンスと大人しく聞いている。



 一日休んだ後草原を見ると背の高い草はかなり減っていた。

「いなご、すげー」

ボンは嬉しそうだった。そして草原自身はひざ丈くらいの平坦な場所となっていた。が、普通サイズの虫がわんさかいるのが見て取れる。

「歩きにくそうだな」

「ヨアヒム特製虫よけは7つしかないし。まず口元は布で隠そう」

「あ、マスクがマジックボックスで眠ってます」

ルトガーが声を上げる。冬になるとマスクは未だに重宝するのでルトガーはかなりの数をストックしているという。神経質気味のルトガーにはマスクは安心と安全を手に入れられるものだった。
 モンド国国境の街で悪性の風邪が流行った時、エイギョーと呼ばれていた克己がいち早くマスクをウルリッヒ商会で売り始めディアーヌ国ではある程度の認知はされていた。
 アキラ達はフランシス達にマスクを渡す、

「なにこれ?」

ヴィーがいう。

「鼻と口を隠す。ほら外見たらわかるだろう。小さな虫が沢山いる。普通にしてたらあれが口とか鼻に入ってくる」

デヴィッドの説明にヴぃーは不服そうだ。

「これだと笛ふけない」

「どのみち無理だ。この虫だらけの場所では。……次のセーフエリアで休んでる時とボス前のセーフエリアで吹くといい。位置的にもそれでいけるんじゃないかな。……狼人や竜人にはそれの音が聞こえててな。四六時中音出していられると五月蠅いと思うぞ」

デヴィッドの言葉にヴィーは目を丸くした。

「え?聞こえるの?」

「ああ。レッドとかアキラ、狼国の人たちは聞こえてる」

「いいなぁ」

ヴィーは突拍子もない事を言い始めた。

「キリルたちが聴いてる音、フランシス達も聞こえるんだ」


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