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(5)弦替え

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 星中ほしちゅうギター部には、普段演奏で使う楽器のほかに予備の楽器が5台用意されている。

 樹奈と悟は倉庫の中でそれらの楽器を一台ずつ弾いてみて、げんが古くなっていた三台のギターを二人で手分けして張り替え終えた。

「やっぱり樹奈さんは弦を替えるの早いね。俺の倍以上じゃないか?」
「そこまでは早くないよ。さすがに」
「いや、早いって。でも昔は俺の方が早かったのになんだか悔しいな」
 冗談めかして悟がそう言ったとき、こつこつと廊下を歩く音が二人の背後から聞こえてきた。

 聞き覚えがある足音で二人が振り向くよりも早く「おつかれさま」というほがらかな声が廊下に響いた。
弦替げんがえの様子を見に来たけど、もう終わっちゃったみたいね」


 春らしい白のジャケットを羽織った吉岡先生が二人に笑いかけると、悟が「先生、お疲れ様です」と返答した。
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