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本当に愛してくれた相手
しおりを挟むどう考えても危害を加えているとしか言いようのない状況にそれでもと自分の正当性を言い続ける相手にいいかげん疲れてきた。
そんな三人の様子に気づきもせずここぞという情報を伝えるがごとくグレンはウキウキとした顔でそう告げた。
「チェリアはこのままじゃ政略結婚させられそうになっているんです。兄貴はそれからチェリアを救ってあげたいと思っての行動っす」
どうだと胸を張って見せた。
その姿に三人が感銘を受けた様子はなかった。
「兄貴のことをどうして感動してくれないんっすか、こんなにも崇高なこと言っているのに」
「そうか、良かったな崇高なんて高尚な言葉を覚えることができて」
カーライルが気のない顔でそう言った。
「それで、どうする気だ」
クルトが頭を抱えて呟く。
「チェリアが可哀そうだと思わないんっすか?家族に道具扱いされて好きでもない男に嫁がせられようとしているんっすよ」
グレンがそう続けるが同意の声はどこからも出てきた。
「それでどうするつもりなんだ?」
ピーターが頭痛を感じながらそう尋ねた。
「とにかくチェリアを救い出すんっす、そうすればチェリアもわかってくれるはずっす、自分を本当に愛しているのは誰なのかって」
どうあってもハッピーエンドを諦めないらしい。
三人は頭痛をこらえながら何とか気力を振り絞った。
「とりあえず政略結婚を止めてチェリアに本当の愛を理解してもらうまであきらめる気はないっす」
三人はため息をついた。
「そうか、とりあえずあんまり人の迷惑にならないようにな」
すでに面倒くさくなってきた。
「政略結婚にも種類があるよな」
カーライルはぼそっと呟いた。
政略結婚と言っても嫌がる相手に無理やり強行するようなものもあれば双方の話し合いでそれなりの財力や地位に照らし合わせて縁談をまとめるこもある。
そして、嫌がろうが死ぬしかその政略結婚を止められないような結婚が第三者の介入ぐらいで止められるもんなんだろうか。
「普通、無理だよね」
同じことを思ったのかクルトが呟く。
「というかそれ、お見合いじゃねえの」
ピーターは思わず言った。
カーライルはその場から離れるように促し言葉を紡ぐ。
「まあ家族はもしかしたら妙な男に付きまとわれている娘のためにいい縁談を探したのかもしれないな」
ありそうなことを言った。
「ちゃんとした結婚相手がいればそうした男を排除できると考えたとか?」
「つまり原因はあっちか」
本当に死ねばいいのに。
三人はそう心から思った。
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