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さてこれからどうしよう
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ミュゲはどの道さっさと出て行くつもりだったので、最低限の荷物しか解いていない。
その荷物をまとめればこのまますぐに出ていける。
箱詰めした荷物に縄をかけ終えると軽く額の汗をぬぐう。
思った以上にトラブル続きだったがようやく終わった。
妙なことにならないようにと、叔母も来てくれている。そして、弟達と雇われた運送業者がほぼ荷ほどきされていない荷物を運び出している。
サンダース大佐がいつの間にか戻ってきていた。
「どうしても出ていくつもりか」
「最初からそのつもり」
「どうして何も最初からその予定だったけど」
おとなしい人形のような少女から吐き出される言葉はどこかふてぶてしい。
「どうして何も言わなかった」
「は?あんた馬鹿?」
どこか蓮っ葉なしぐさでミュゲは腕を組む。
「最初っから使い捨てるつもりの駒に事細かに事情を放すわけないでしょ」
清楚で可憐な様子を裏切る猛毒。
その外見通りにふるまえばたいがいの男はだませるだろう。そう考えれば得な外見に生まれたものだと思う。
「戻ってくる気はないのか」
「ない」
「心を改める、君だけを大切にするといっても」
「ごめんなさい、利用価値のない貴方にはこれっぽっ血の魅力も感じないの、それにそんな態度をとって、慰謝料を踏み倒そうっていうんならそうはさせない、弟達のためにもね」
紫の瞳はきらきらと剣呑な光を放っている。
あの時、この彼女に出会っていたならばとサンダース大佐はどこか悔しいような気持ちを覚えた。
「それにこれから大変でしょう」
ミュゲは取れる限りの慰謝料をサンダース大佐の愛人たちからせしめている。
そして、サンダース大佐はその愛人たちの夫や父親から、相殺慰謝料を請求されているのだ。
つまり慰謝料の二重払い。
その金額は彼の稼ぎをもってしても莫大なものとなった。
当分はその支払いにきゅうきゅうする羽目になるだろう。
「あんたと苦労するなんてまっぴら」
この場で力ずくで言うことをきかせることもできない。ミュゲは常に用心して決して一人になる隙を作らない。
見事な警戒態勢だ。
結局取りつくしまもなく。ミュゲ達は荷物をまとめて出て行った。
そんなサンダース大佐は目撃してしまった。
サンダース大佐に目撃されているとも知らず、ジャックがミュゲと向き合っている。
「よく考えたら、いろいろお世話になった気がして」
そう言ってミュゲは微笑む。
「ああ、でもま、巡り合わせな気もするし」
ジャックはポリポリと頭の側面をかいてみた。
「でも、ありがとう、あの時あのレベルまで落ちたいのかって言われたとき眼が覚める思いでした。やっぱり多少のお金じゃ魂は売れないです」
はは、とジャックは乾いた笑いをこぼす。
「それじゃ、ちょっと質問があります」
「質問?」
「女性が働くことに異議がありますか?」
「ないけど」
「高収入の女性に問題があると思いますか?」
「本人の才覚ならそれでいいんじゃないか」
「離婚歴のある女性に問題を感じますか?」
ここまで言われてジャックもミュゲが何を言おうとしているのか薄々察した。
ミュゲはちょっとはにかんだ笑顔を浮かべている。
どうやら彼女に興味をもたれたらしい。
そして日いやりとした冷たさを首筋に感じた。誰かが銃口を自分に向けている。
さてどうしたものかと思いながら、ジャックは言葉を探した。
その荷物をまとめればこのまますぐに出ていける。
箱詰めした荷物に縄をかけ終えると軽く額の汗をぬぐう。
思った以上にトラブル続きだったがようやく終わった。
妙なことにならないようにと、叔母も来てくれている。そして、弟達と雇われた運送業者がほぼ荷ほどきされていない荷物を運び出している。
サンダース大佐がいつの間にか戻ってきていた。
「どうしても出ていくつもりか」
「最初からそのつもり」
「どうして何も最初からその予定だったけど」
おとなしい人形のような少女から吐き出される言葉はどこかふてぶてしい。
「どうして何も言わなかった」
「は?あんた馬鹿?」
どこか蓮っ葉なしぐさでミュゲは腕を組む。
「最初っから使い捨てるつもりの駒に事細かに事情を放すわけないでしょ」
清楚で可憐な様子を裏切る猛毒。
その外見通りにふるまえばたいがいの男はだませるだろう。そう考えれば得な外見に生まれたものだと思う。
「戻ってくる気はないのか」
「ない」
「心を改める、君だけを大切にするといっても」
「ごめんなさい、利用価値のない貴方にはこれっぽっ血の魅力も感じないの、それにそんな態度をとって、慰謝料を踏み倒そうっていうんならそうはさせない、弟達のためにもね」
紫の瞳はきらきらと剣呑な光を放っている。
あの時、この彼女に出会っていたならばとサンダース大佐はどこか悔しいような気持ちを覚えた。
「それにこれから大変でしょう」
ミュゲは取れる限りの慰謝料をサンダース大佐の愛人たちからせしめている。
そして、サンダース大佐はその愛人たちの夫や父親から、相殺慰謝料を請求されているのだ。
つまり慰謝料の二重払い。
その金額は彼の稼ぎをもってしても莫大なものとなった。
当分はその支払いにきゅうきゅうする羽目になるだろう。
「あんたと苦労するなんてまっぴら」
この場で力ずくで言うことをきかせることもできない。ミュゲは常に用心して決して一人になる隙を作らない。
見事な警戒態勢だ。
結局取りつくしまもなく。ミュゲ達は荷物をまとめて出て行った。
そんなサンダース大佐は目撃してしまった。
サンダース大佐に目撃されているとも知らず、ジャックがミュゲと向き合っている。
「よく考えたら、いろいろお世話になった気がして」
そう言ってミュゲは微笑む。
「ああ、でもま、巡り合わせな気もするし」
ジャックはポリポリと頭の側面をかいてみた。
「でも、ありがとう、あの時あのレベルまで落ちたいのかって言われたとき眼が覚める思いでした。やっぱり多少のお金じゃ魂は売れないです」
はは、とジャックは乾いた笑いをこぼす。
「それじゃ、ちょっと質問があります」
「質問?」
「女性が働くことに異議がありますか?」
「ないけど」
「高収入の女性に問題があると思いますか?」
「本人の才覚ならそれでいいんじゃないか」
「離婚歴のある女性に問題を感じますか?」
ここまで言われてジャックもミュゲが何を言おうとしているのか薄々察した。
ミュゲはちょっとはにかんだ笑顔を浮かべている。
どうやら彼女に興味をもたれたらしい。
そして日いやりとした冷たさを首筋に感じた。誰かが銃口を自分に向けている。
さてどうしたものかと思いながら、ジャックは言葉を探した。
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