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陽
トンネルを抜けると
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ゆっくりと揺れながら走る電車は巨大なゆりかごだ。
瞼がゆっくりと閉じていき周囲の音が遠くなっていく。
トンネルを抜けるとそこは雪国だった。そんな言葉を思い出す。
だけど変だな。トンネルを入る前だってそこは冬の国だったはずだ。
北海道と九州だったら北海道が冬の時九州は秋だろうけれどそんな長いトンネルがあるかしら。
そんな僕のぎりぎり開いていた目に今まさにトンネルに入ろうとするのが窓から見えた。
そしてコトンと僕の身体が傾いて僕はそのまま電車の椅子に倒れてしまう。窓の外が真っ暗で僕の頭の中も真っ暗になった。
ごとごとと電車の揺れる音が今度は僕の目を覚まさせた。いつもの間にか僕の前に知らない人が座っていた。
着物を着た髪をきっちりとまとめ上げた女の人。
こんな格好をした人なんてお正月くらいしかない。
そして変なことに気が付いた。さっきまで僕が持たれていた肘置きはプラスチックだったはずなんだけど、今は木でできている。
僕はしばらく目を瞬いていた。
窓の向こうは真っ暗だ。まだトンネルを抜けていないんだろうか。
僕はゆっくりと起き上がった。
女の人は僕を見ていない。
「ああ、きれいな景色ですね」
女の人はそう言って窓を見た。
真っ黒だった窓はいつの間にか真っ白な花が咲き乱れている平原が見える。
奇麗だなと思った。だけど、今は春じゃないのに。
花を見ていた女の人はすっと立ち上がる。そしてそのまままっすぐ歩いていく。
そしていつまでも終わらない花の平原。
ここはどこだろう。さっきまでの女の人は帰ってくる様子がない。
そして、黒づくめのタキシードを着た男の人が女の人の歩いて行った方向から反対に歩いてきた。
「実に雄大だ」
窓の向こうは一面花畑なのにそんなことを言う。
僕は窓を見た、いつの間にか花畑は消えて紺青の海。
大きな波が打ち寄せては返す。
白い泡がふわふわと揺れた。さっきまでは春霞のような柔らかな空の色もくっきりと鮮やかな蒼だ。
そして来る人来る人が窓をのぞき込んで感想を言う。それはお爺さんだったりお婆さんだったり小さな子供だったりもした。
そしてその通りに窓が変化する。 巨大な山や、色とりどりの紅葉が、そして緑の森の中だった。
僕はその風景をずうっと見ていた。
「ねえ、ぼうや、君はどう思う」
いつの間にか最初の女の人が戻ってきて。僕に窓の風景をたずねる。
その女の人だけでなくタキシードを着た男の人、お爺さんおばあさん小さな女の子。
「さあ教えて?」
僕は言葉に詰まるそして窓を見た。真っ白だった。
まぶしい光に僕は目を瞬かせた。
僕は窓を見た。真っ白なままだった。
僕が持たれていたひじ掛けはプラスチックに戻っている。そして窓はびっしりと雪は張り付いて外の風景も見えなかった。光が乱反射してとてもまぶしい。
アナウンスが聞こえてくる。もうすぐ降りる駅だった。
瞼がゆっくりと閉じていき周囲の音が遠くなっていく。
トンネルを抜けるとそこは雪国だった。そんな言葉を思い出す。
だけど変だな。トンネルを入る前だってそこは冬の国だったはずだ。
北海道と九州だったら北海道が冬の時九州は秋だろうけれどそんな長いトンネルがあるかしら。
そんな僕のぎりぎり開いていた目に今まさにトンネルに入ろうとするのが窓から見えた。
そしてコトンと僕の身体が傾いて僕はそのまま電車の椅子に倒れてしまう。窓の外が真っ暗で僕の頭の中も真っ暗になった。
ごとごとと電車の揺れる音が今度は僕の目を覚まさせた。いつもの間にか僕の前に知らない人が座っていた。
着物を着た髪をきっちりとまとめ上げた女の人。
こんな格好をした人なんてお正月くらいしかない。
そして変なことに気が付いた。さっきまで僕が持たれていた肘置きはプラスチックだったはずなんだけど、今は木でできている。
僕はしばらく目を瞬いていた。
窓の向こうは真っ暗だ。まだトンネルを抜けていないんだろうか。
僕はゆっくりと起き上がった。
女の人は僕を見ていない。
「ああ、きれいな景色ですね」
女の人はそう言って窓を見た。
真っ黒だった窓はいつの間にか真っ白な花が咲き乱れている平原が見える。
奇麗だなと思った。だけど、今は春じゃないのに。
花を見ていた女の人はすっと立ち上がる。そしてそのまままっすぐ歩いていく。
そしていつまでも終わらない花の平原。
ここはどこだろう。さっきまでの女の人は帰ってくる様子がない。
そして、黒づくめのタキシードを着た男の人が女の人の歩いて行った方向から反対に歩いてきた。
「実に雄大だ」
窓の向こうは一面花畑なのにそんなことを言う。
僕は窓を見た、いつの間にか花畑は消えて紺青の海。
大きな波が打ち寄せては返す。
白い泡がふわふわと揺れた。さっきまでは春霞のような柔らかな空の色もくっきりと鮮やかな蒼だ。
そして来る人来る人が窓をのぞき込んで感想を言う。それはお爺さんだったりお婆さんだったり小さな子供だったりもした。
そしてその通りに窓が変化する。 巨大な山や、色とりどりの紅葉が、そして緑の森の中だった。
僕はその風景をずうっと見ていた。
「ねえ、ぼうや、君はどう思う」
いつの間にか最初の女の人が戻ってきて。僕に窓の風景をたずねる。
その女の人だけでなくタキシードを着た男の人、お爺さんおばあさん小さな女の子。
「さあ教えて?」
僕は言葉に詰まるそして窓を見た。真っ白だった。
まぶしい光に僕は目を瞬かせた。
僕は窓を見た。真っ白なままだった。
僕が持たれていたひじ掛けはプラスチックに戻っている。そして窓はびっしりと雪は張り付いて外の風景も見えなかった。光が乱反射してとてもまぶしい。
アナウンスが聞こえてくる。もうすぐ降りる駅だった。
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