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侍女 老婦人
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この街には三人のいわくつきの老婦人がいるという。一人は今日減った佶家の腐れ外道婆。そしてもう一人が目の前にいる薄婦人、そしてもう一人が勒婦人。
佶の腐れ婆はどこに出しても恥ずかしい成り上がりもので、その出世の影にはいくつ屍を隠しているかわからないと言われている。
まあ驚かんな。
そして目の前にいる薄婦人もどうも怪しげな成り上がりもの。もともとの経歴は相当いかがわしいと言われている。さもありなんというご面相だと思う。
佶と薄の老婦人たちはそれぞれ似た者同士の近親憎悪で常に足の引っ張り合いをしたらしい。
そして最後の勒婦人、この人は落ちぶれたやんごとないお方だそうで、だからこそ佶、薄の老婦人たちとの確執は大きいのだとか。
むろん勒婦人も卑しい成り上がりものと二人の老婦人を毛嫌いすること、口に出すのも忌まわしい害虫の如し。
わかる気がするけど。
「簡単なことだよ、女なら誰でもできることだ」
いきなりいかがわしいこと口走ってるぞ、噂にたがわぬ卑しい成り上がりもの決定。
「いったい何を言っているのでしょう、女なら誰でもできるなんて」
お嬢様は箱入り過ぎてかなり露骨に言われてるのに気が付いてねえ。旦那様教育間違ってる。
「とぼけるんじゃない、女は身体で稼げるんだよ」
うあ、恥というものを知らないのかこの婆さん。
「あの、それはもしかして」
「いい旦那を紹介してあげるよ」
それは妾に囲う旦那か、それとも娼妓館の旦那かどっちだよ。
「一つ聞いていいですか」
あたしはお嬢様を押しのけた、これ以上黙っていたらろくなことにならない。
「お嬢様は結婚の約束をしておりましたが、婚礼を上げておりません。この時点でお嬢様は嘉の国の崔家の娘ということになります、この国の法ではそのような関係で佶家の負債をお嬢様に請求することが正しいのでしょうかね」
お嬢様にしゃべらせちゃだめだ、あっさり言いくるめられてしまう。
「だが、そちらのお嬢様がいいと言えば不法ではないね。このままあの男が牢獄にいるままでいいのかい」
あたしは別にどうでもいい。
「私の力があればその程度のことなど」
「へえ、そうですか」
その程度のことと言ってもね。どうでもいいのよあたしは。
「へえ、そうですか、ですが、佶家はこの家より大きな家みたいでしたね、その佶家があっさり潰されたのにこの家が潰されない根拠は」
見え透いたハッタリなんぞ聞くかよ。
「いいのかい、あの男はもうすぐ北の鉱山に贈られる。そこで身体がガタガタになるまでこき使われ、ガタガタになったら放り出されてのたれ死ぬことになるよ」
そりゃいい気味だ、あたしはあの男が嫌いだったのでむしろ小気味いい。
「そのあたりにしておいたらどう、薄の」
まさかの三人目の老婦人登場か、品のいい貴族上がりというのも納得の物腰だけど。
「佶家に恨みがあるのは分かるけど、あまり関係がない人だし、もしこの人をどうこうしたとしてもあの佶家の人はさして気にしないでしょうね」
まあ、そうだろうね、お嬢様はちょっと役に立つかもしれない道具に過ぎない。
あの連中はお嬢様に対して情のかけらもない。
「お嬢さん、背後を確かめもせず人の言葉をうのみにしては駄目よ」
勒の夫人はお嬢様の肩に手を置いて諭すように言う。
「はい?」
お嬢様は分かっていない。
「ここは私が引き受けます」
「ふざけるな勒のあんたが口を出す筋合いかい」
いきり立つ下品な婆さんを見下して上品なお婆さんはきっちり言った。
「こちらの口添えがあったのでね」
宿屋の夫婦がいた。
「お客様が大変なことになったと言われてね、あの宿屋は私の管轄、そこでずいぶんふざけた真似をしてくれたね」
なるほど、あの宿屋はこの上品な老婦人の持ち物だったのか。そこで犯罪行為を働いたので抗議に来たと。
納得してあたしは老婦人に連れられて外に出た。
佶の腐れ婆はどこに出しても恥ずかしい成り上がりもので、その出世の影にはいくつ屍を隠しているかわからないと言われている。
まあ驚かんな。
そして目の前にいる薄婦人もどうも怪しげな成り上がりもの。もともとの経歴は相当いかがわしいと言われている。さもありなんというご面相だと思う。
佶と薄の老婦人たちはそれぞれ似た者同士の近親憎悪で常に足の引っ張り合いをしたらしい。
そして最後の勒婦人、この人は落ちぶれたやんごとないお方だそうで、だからこそ佶、薄の老婦人たちとの確執は大きいのだとか。
むろん勒婦人も卑しい成り上がりものと二人の老婦人を毛嫌いすること、口に出すのも忌まわしい害虫の如し。
わかる気がするけど。
「簡単なことだよ、女なら誰でもできることだ」
いきなりいかがわしいこと口走ってるぞ、噂にたがわぬ卑しい成り上がりもの決定。
「いったい何を言っているのでしょう、女なら誰でもできるなんて」
お嬢様は箱入り過ぎてかなり露骨に言われてるのに気が付いてねえ。旦那様教育間違ってる。
「とぼけるんじゃない、女は身体で稼げるんだよ」
うあ、恥というものを知らないのかこの婆さん。
「あの、それはもしかして」
「いい旦那を紹介してあげるよ」
それは妾に囲う旦那か、それとも娼妓館の旦那かどっちだよ。
「一つ聞いていいですか」
あたしはお嬢様を押しのけた、これ以上黙っていたらろくなことにならない。
「お嬢様は結婚の約束をしておりましたが、婚礼を上げておりません。この時点でお嬢様は嘉の国の崔家の娘ということになります、この国の法ではそのような関係で佶家の負債をお嬢様に請求することが正しいのでしょうかね」
お嬢様にしゃべらせちゃだめだ、あっさり言いくるめられてしまう。
「だが、そちらのお嬢様がいいと言えば不法ではないね。このままあの男が牢獄にいるままでいいのかい」
あたしは別にどうでもいい。
「私の力があればその程度のことなど」
「へえ、そうですか」
その程度のことと言ってもね。どうでもいいのよあたしは。
「へえ、そうですか、ですが、佶家はこの家より大きな家みたいでしたね、その佶家があっさり潰されたのにこの家が潰されない根拠は」
見え透いたハッタリなんぞ聞くかよ。
「いいのかい、あの男はもうすぐ北の鉱山に贈られる。そこで身体がガタガタになるまでこき使われ、ガタガタになったら放り出されてのたれ死ぬことになるよ」
そりゃいい気味だ、あたしはあの男が嫌いだったのでむしろ小気味いい。
「そのあたりにしておいたらどう、薄の」
まさかの三人目の老婦人登場か、品のいい貴族上がりというのも納得の物腰だけど。
「佶家に恨みがあるのは分かるけど、あまり関係がない人だし、もしこの人をどうこうしたとしてもあの佶家の人はさして気にしないでしょうね」
まあ、そうだろうね、お嬢様はちょっと役に立つかもしれない道具に過ぎない。
あの連中はお嬢様に対して情のかけらもない。
「お嬢さん、背後を確かめもせず人の言葉をうのみにしては駄目よ」
勒の夫人はお嬢様の肩に手を置いて諭すように言う。
「はい?」
お嬢様は分かっていない。
「ここは私が引き受けます」
「ふざけるな勒のあんたが口を出す筋合いかい」
いきり立つ下品な婆さんを見下して上品なお婆さんはきっちり言った。
「こちらの口添えがあったのでね」
宿屋の夫婦がいた。
「お客様が大変なことになったと言われてね、あの宿屋は私の管轄、そこでずいぶんふざけた真似をしてくれたね」
なるほど、あの宿屋はこの上品な老婦人の持ち物だったのか。そこで犯罪行為を働いたので抗議に来たと。
納得してあたしは老婦人に連れられて外に出た。
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