12 / 22
乱入者たち
しおりを挟む
音楽が聞こえた。スローテンポのダンス曲。
和やかな雰囲気のそれをアリサは眺めている。
メイドたちはそれぞれ知り合い通しで固まっているが何故かアリサとネリーだけは遠巻きにされている。
アリサはこの国に来たばかりの新参者なのでそうなるのは仕方がないがどうして古参であるはずのネリーまでそうなるのだろう。
音楽とひそやかな笑い声が聞こえるその空間で不意に聞こえてきたのは
なんだろう。アリサはそっと入り口に向かって顔を出した。
「駄目よ」
ネリーがアリサを押しとどめようとする。
アリサは舞踏会の会場に新たに入ってきた男達の様子に目を見開いた。
アリサのいた大陸とこちら側の大陸の人種差はほんのわずかだ。
アリサの板地方では珍しい黒髪も別の国では珍しくない。
この大陸では珍しい薄い髪もいなくはない。
それを考えれば人種差はないと言ってもいいかもしれない。
だが、今アリサが目にしている男達は見上げるほどに背が高くそして肌は浅黒く黒々とした黒髪を肩に垂らしていた。
顔だちにも違和感を感じる。
「あれ?」
つい出てきてしまった疑問にネリーがあきらめたように答えてくれた。
「あれはザイーフ人よ、遠いどこかからやってきたという異邦人、ちょっと危ない人たちだからあんたみたいなちっちゃい子は近づいちゃだめよ」
ザイーフ人、その奇妙な音をアリサは心に刻む。
そして、旦那様がザイーフ人に近づいていく。そして聞き覚えのない言葉で会話を始めた。
まったく聞き取れないのでアリサは首をかしげた。
そして、何となくザイーフ人たちと旦那様を中心に少しずつ離れていく。
「なんだか引かれてない」
アリサの目には怯えと嫌悪のようなものが感じられる。
そして、反対側の扉から別の一団が入ってきた。
人種は同じだろうけれど着ているものは違う。硬いしっかりとした生地で作られた服は飾りは全くない詰襟でくるぶしまでの長さがある。
割合温暖なこのあたりではあの格好はかなり暑いのではないだろうか。
頭髪は確認できない。髪をすべてそり落とし、黒い頭にぴったりとした帽子をかぶっていた。
先を進むたびに人が割れ手を組んで祈りの聖句を唱える。
おそらく司祭か何かだろう。アリサのいた場所でも司祭は尊敬を受け近くを通りかかったら聖句の一つも唱えるのが習慣になっていた。
ただ祈りの言葉は違う。
アリサの信じる神と違う神をこの場にいる者達は信じているのだろう。
髪には魂が宿るという。だからか宗教に携わる者達は髪を長く信じられないくらい長く伸ばすかそれともそり落としてしまうかの両極端に走る。
だから髪をそり落とした司祭が二つの大陸にいるのはおかしいことではない。
アリサの知識はそう言っている。
そう教えられた知識だが。それを間違っていると思ったことは無い。
そんなことを考えているうちに司祭だろうと思われる一団とザイーフ人たちが正面切って顔を合わせた。
氷が割れる音をそのときアリサは聞いた。
殺気にも似た敵意のぶつけ合いを感じたのだ。
和やかな雰囲気のそれをアリサは眺めている。
メイドたちはそれぞれ知り合い通しで固まっているが何故かアリサとネリーだけは遠巻きにされている。
アリサはこの国に来たばかりの新参者なのでそうなるのは仕方がないがどうして古参であるはずのネリーまでそうなるのだろう。
音楽とひそやかな笑い声が聞こえるその空間で不意に聞こえてきたのは
なんだろう。アリサはそっと入り口に向かって顔を出した。
「駄目よ」
ネリーがアリサを押しとどめようとする。
アリサは舞踏会の会場に新たに入ってきた男達の様子に目を見開いた。
アリサのいた大陸とこちら側の大陸の人種差はほんのわずかだ。
アリサの板地方では珍しい黒髪も別の国では珍しくない。
この大陸では珍しい薄い髪もいなくはない。
それを考えれば人種差はないと言ってもいいかもしれない。
だが、今アリサが目にしている男達は見上げるほどに背が高くそして肌は浅黒く黒々とした黒髪を肩に垂らしていた。
顔だちにも違和感を感じる。
「あれ?」
つい出てきてしまった疑問にネリーがあきらめたように答えてくれた。
「あれはザイーフ人よ、遠いどこかからやってきたという異邦人、ちょっと危ない人たちだからあんたみたいなちっちゃい子は近づいちゃだめよ」
ザイーフ人、その奇妙な音をアリサは心に刻む。
そして、旦那様がザイーフ人に近づいていく。そして聞き覚えのない言葉で会話を始めた。
まったく聞き取れないのでアリサは首をかしげた。
そして、何となくザイーフ人たちと旦那様を中心に少しずつ離れていく。
「なんだか引かれてない」
アリサの目には怯えと嫌悪のようなものが感じられる。
そして、反対側の扉から別の一団が入ってきた。
人種は同じだろうけれど着ているものは違う。硬いしっかりとした生地で作られた服は飾りは全くない詰襟でくるぶしまでの長さがある。
割合温暖なこのあたりではあの格好はかなり暑いのではないだろうか。
頭髪は確認できない。髪をすべてそり落とし、黒い頭にぴったりとした帽子をかぶっていた。
先を進むたびに人が割れ手を組んで祈りの聖句を唱える。
おそらく司祭か何かだろう。アリサのいた場所でも司祭は尊敬を受け近くを通りかかったら聖句の一つも唱えるのが習慣になっていた。
ただ祈りの言葉は違う。
アリサの信じる神と違う神をこの場にいる者達は信じているのだろう。
髪には魂が宿るという。だからか宗教に携わる者達は髪を長く信じられないくらい長く伸ばすかそれともそり落としてしまうかの両極端に走る。
だから髪をそり落とした司祭が二つの大陸にいるのはおかしいことではない。
アリサの知識はそう言っている。
そう教えられた知識だが。それを間違っていると思ったことは無い。
そんなことを考えているうちに司祭だろうと思われる一団とザイーフ人たちが正面切って顔を合わせた。
氷が割れる音をそのときアリサは聞いた。
殺気にも似た敵意のぶつけ合いを感じたのだ。
0
あなたにおすすめの小説
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
役立たずと追放された辺境令嬢、前世の民俗学知識で忘れられた神々を祀り上げたら、いつの間にか『神託の巫女』と呼ばれ救国の英雄になっていました
☆ほしい
ファンタジー
貧しい辺境伯の三女として生まれたリゼット。魔力も持たず、華やかさもない彼女は、王都の社交界で「出来損ない」と嘲笑われ、挙句の果てには食い扶持減らしのために辺境のさらに奥地、忘れられた土地へと追いやられてしまう。
しかし、彼女には秘密があった。前世は、地方の伝承や風習を研究する地味な民俗学者だったのだ。
誰も見向きもしない古びた祠、意味不明とされる奇妙な祭り、ガラクタ扱いの古文書。それらが、失われた古代の技術や強力な神々の加護を得るための重要な儀式であることを、リゼットの知識は見抜いてしまう。
「この石ころ、古代の神様への捧げものだったんだ。あっちの変な踊りは、雨乞いの儀式の簡略化された形……!」
ただ、前世の知識欲と少しでもマシな食生活への渇望から、忘れられた神々を祀り、古の儀式を復活させていくだけだったのに。寂れた土地はみるみる豊かになり、枯れた泉からは水が湧き、なぜかリゼットの言葉は神託として扱われるようになってしまった。
本人は美味しい干し肉と温かいスープが手に入れば満足なのに、周囲の勘違いは加速していく。
『異世界に転移した限界OL、なぜか周囲が勝手に盛り上がってます』
宵森みなと
ファンタジー
ブラック気味な職場で“お局扱い”に耐えながら働いていた29歳のOL、芹澤まどか。ある日、仕事帰りに道を歩いていると突然霧に包まれ、気がつけば鬱蒼とした森の中——。そこはまさかの異世界!?日本に戻るつもりは一切なし。心機一転、静かに生きていくはずだったのに、なぜか事件とトラブルが次々舞い込む!?
神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします
夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。
アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。
いわゆる"神々の愛し子"というもの。
神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。
そういうことだ。
そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。
簡単でしょう?
えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか??
−−−−−−
新連載始まりました。
私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。
会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。
余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。
会話がわからない!となるよりは・・
試みですね。
誤字・脱字・文章修正 随時行います。
短編タグが長編に変更になることがございます。
*タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。
アリエッタ幼女、スラムからの華麗なる転身
にゃんすき
ファンタジー
冒頭からいきなり主人公のアリエッタが大きな男に攫われて、前世の記憶を思い出し、逃げる所から物語が始まります。
姉妹で力を合わせて幸せを掴み取るストーリーになる、予定です。
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
3歳で捨てられた件
玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。
それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。
キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる