星の流れたその先に

karon

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かけっこ

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 子供たちが野原を駆けていく。野原と言っても森の中にぽっかりと開けた場所で、広さはせいぜい集会所くらい。
 この辺りは畑と街になっている場所以外はほとんど森になっている。
 国土が山岳地帯で開けた場所がほとんどないサン・シモンより平らな場所は少ないらしい。
 だから普通に走れる野原として、これは結構広い方だ。
「この辺りは林業が盛んなんですか?」
「そうね、でも森の奥の木は切ってはいけないとされているの、よくわからないけれど古くからの言い伝えなんですって」
「そうですか、うちの実家の方でもある場所の木は切ってはいけないと言われている場所がありますからそんなもんなんでしょうね」
 アリサの実家でそう言われているのはその場所の木々を伐採した後、土砂崩れが起きたからだが。木の根で土砂を抑えているのだからできるだけ根を長く伸ばす木を植えておかなければいけないと学校で習う。
 正しい知識はきちんと受け継がれて行くようにとのことだ。おそらく同じような理屈で切ってはいけないという言い伝えがなされたのだが、最初の理屈が失われてしまい。ただ切ってはいけないという慣習だけが残ったのだろう。
 まあ、それなら切らない方がいいとアリサは思った。
 そんな言い伝えがあること自体、切ると悪いことが起きたのだろうから。
 アリサはそれ以上考えるのをやめた。
「お坊ちゃま、お嬢様、そろそろ帰りますよ」
 空を見れば日がだいぶ高いところに登っている。そろそろおやつの時間だ。
 アリサはサクサク子供たちを捕獲し、二人を両方のわきに破産で馬車まで連れてきた。
「足が速いのね」
 シンシアは驚いたように目を見開いている。
 それにむしろアリサの方が驚いた。アリサは自分が足が速いという自覚はなかった。周りにアリサよりすばしこい人間はずっと多かったからだ。
「そうですか?むしろ坊ちゃんは運動不足では、うちの近所の連中に比べれば格段に足が遅いですよ」
 シンシアは眼を見開く。
「まあ、どうしましょう、旦那様に相談してみるべきかしら」
 そしてアリサからマティアスの身体を受け取って不安そうな顔をする。
「私に似てしまったのかしら、私は子供の頃よくとろいと言われてきたのよ」
「とろいってほどではないですけど、旦那様にお願いして体を鍛えたほうがいいかもしれませんね」
 シンシアがマティアスを、そしてアリサがマティルダを抱えたまま馬車に乗り込んだ。
「いや、ちょっとこの子基準がおかしいと思うわ」
 ネリーがため息をつく。
「安心なさってください、奥様、マティアス坊ちゃんは普通です。おそらくアリサの近所の子供はとんでもない俊足に違いありません」
「そうなのかしら」
 ネリーが行ってもシンシアは不安そうだった。
「前の候補者は、坊ちゃんたちに全く追いつけなかったんだけど」
 ネリーはむしろアリサのずれている感覚こそ問題だという。
「そうなんですかね」
 アリサは何となく納得できなかったが表面上は頷くことにした。

 
 
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