異世界転移したら(物理的に)傾国の美少女になりました

karon

文字の大きさ
2 / 15

魔法とは何ぞや

しおりを挟む
 侍女さんはちょいちょいとお茶を淹れてくれた。
 色は緑茶っぽいけど、味はハーブティ。そして私に求められているのは、国の代表として戦えというものだった。
 おいおい、私はか弱い文化系女子だよ、喧嘩なんて子供の頃の兄弟喧嘩しかしたことないよ、そんな私に何と戦えと?
 近隣に四つの国があり、私と同じように呼び出された、つまり異世界転移させられた人がいるらしい。その人と戦えということだ。
 なんで、見ず知らずの人のために、見ず知らずの人と戦わねばならないのだろう。それと私の戦闘能力は底辺なんだが。
 お茶に添えられたパウンドケーキみたいなものを口に入れる。
 もったりと重い感じ、バターをケチった味だ。はっきり言ってまずい
「もっとおいしいお菓子を作れるかもしれない」
 そう主張して台所に案内させた。
 ここにきて食生活も充実してないなんて理不尽な話だと思う。
 台所では魔法で食材を加熱していた。
 焜炉がないの、たぶんコックさんが鍋に直接魔法で出した火でお肉を焼いている。
 まんまファンタジーの世界だが、コックさんが普通に魔法を使う世界で、日本の普通の女子学生が何の役に立つの?
 そう思いながら、私は卵と小麦粉砂糖バターを用意させた。
 ちゃんとそれらしいのが出てきた。異世界だからこっちの想像を絶するものが出たらどうしようかと思った。
 さっきのお菓子の材料を出せと要求したのだ。
 秤は天秤だった。
 気を取り直して、卵の大きさを基準に材料を計る。
 泡だて器がないのでフォークを二本使って白身を泡立てる。
 日本の卵と同じように角が立つ。
 それに安心した私は砂糖を加えてさらに泡立て、小麦粉、溶かしバター取り除いておいた卵黄を加える。
 そして出来上がったものを型に流し込み、さっきのお菓子と同じように焼けとコックさんに要求した。だってこの世界の竈なんて使えそうにないもの。
 丸いドーム状のものに型を置き、コックさんが火を出して焼き始めた。
 いや、火だけ出して、適当な枝とかに燃え移らせればもっと簡単なんじゃね?
 汗だらだらなんだけど。
 このままに十分ぐらい火を出し続けて、コックさんが燃え尽きた。
 真っ白に燃え尽きたコックさんをほかのコックさんが片付けて、別のコックさんが、ドーム状のものをはずすと、なんとかスポンジケーキが焼けていた。
 ナイフで切り出すと、まあまあ焼けている。
 弾力のあるスポンジケーキを不思議そうにコックさんは見ていた。
 どうやらこの国にはメレンゲという概念はなかったようだ。
 それと効率悪すぎる魔法の使い方を聞くと、火の魔法が使える人間しかコックさんになれないらしい。
 だから薪に移してなんてやり方はしないと、効率悪すぎて眩暈がしてきた。
 一般家庭では火種を木や藁に移して料理しているらしい。まあそれが当たり前だが。
 魔法ありきなので料理人としてのセンスは二の次三の次、家庭料理のほうがおいしいらしい。本末転倒って言葉を知っているか?
「しかし、私がどんな役に立つと思う私魔法なんて使えないけど」
 本気で聞いてみた。しかし侍女さんは怪訝そうに言った。
「使えますよ、あちらの国の来訪者も使っているそうですし」
「もしかして地球人じゃないの?」
 思わず聞いたが全員日本人を名乗っているらしい。
 じゃあさっそく使ってみようとすると全員が慌てて止めた。
 もっと広いところでと言われたので中庭に行くと、でっかい木があった。樫ってこんな感じだったかなと思いながら、さっきの火を出すのをまねしてみた。
 木は跡形もなく消滅した。
 根だけが残っているが、真っ黒に炭化している。
 あまりの高熱に一瞬で蒸発してしまったらしい。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~

きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。 前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。

異世界転生ファミリー

くろねこ教授
ファンタジー
辺境のとある家族。その一家には秘密があった?! 辺境の村に住む何の変哲もないマーティン一家。 アリス・マーティンは美人で料理が旨い主婦。 アーサーは元腕利きの冒険者、村の自警団のリーダー格で頼れる男。 長男のナイトはクールで賢い美少年。 ソフィアは産まれて一年の赤ん坊。 何の不思議もない家族と思われたが…… 彼等には実は他人に知られる訳にはいかない秘密があったのだ。

神様の手違いで、おまけの転生?!お詫びにチートと無口な騎士団長もらっちゃいました?!

カヨワイさつき
恋愛
最初は、日本人で受験の日に何かにぶつかり死亡。次は、何かの討伐中に、死亡。次に目覚めたら、見知らぬ聖女のそばに、ポツンとおまけの召喚?あまりにも、不細工な為にその場から追い出されてしまった。 前世の記憶はあるものの、どれをとっても短命、不幸な出来事ばかりだった。 全てはドジで少し変なナルシストの神様の手違いだっ。おまけの転生?お詫びにチートと無口で不器用な騎士団長もらっちゃいました。今度こそ、幸せになるかもしれません?!

『身長185cmの私が異世界転移したら、「ちっちゃくて可愛い」って言われました!? 〜女神ルミエール様の気まぐれ〜』

透子(とおるこ)
恋愛
身長185cmの女子大生・三浦ヨウコ。 「ちっちゃくて可愛い女の子に、私もなってみたい……」 そんな密かな願望を抱えながら、今日もバイト帰りにクタクタになっていた――はずが! 突然現れたテンションMAXの女神ルミエールに「今度はこの子に決〜めた☆」と宣言され、理由もなく異世界に強制転移!? 気づけば、森の中で虫に囲まれ、何もわからずパニック状態! けれど、そこは“3メートル超えの巨人たち”が暮らす世界で―― 「なんて可憐な子なんだ……!」 ……え、私が“ちっちゃくて可愛い”枠!? これは、背が高すぎて自信が持てなかった女子大生が、異世界でまさかのモテ無双(?)!? ちょっと変わった視点で描く、逆転系・異世界ラブコメ、ここに開幕☆

無能と言われた召喚士は実家から追放されたが、別の属性があるのでどうでもいいです

竹桜
ファンタジー
 無能と呼ばれた召喚士は王立学園を卒業と同時に実家を追放され、絶縁された。  だが、その無能と呼ばれた召喚士は別の力を持っていたのだ。  その力を使用し、無能と呼ばれた召喚士は歌姫と魔物研究者を守っていく。

僕のギフトは規格外!?〜大好きなもふもふたちと異世界で品質開拓を始めます〜

犬社護
ファンタジー
5歳の誕生日、アキトは不思議な夢を見た。舞台は日本、自分は小学生6年生の子供、様々なシーンが走馬灯のように進んでいき、突然の交通事故で終幕となり、そこでの経験と知識の一部を引き継いだまま目を覚ます。それが前世の記憶で、自分が異世界へと転生していることに気付かないまま日常生活を送るある日、父親の職場見学のため、街中にある遺跡へと出かけ、そこで出会った貴族の幼女と話し合っている時に誘拐されてしまい、大ピンチ! 目隠しされ不安の中でどうしようかと思案していると、小さなもふもふ精霊-白虎が救いの手を差し伸べて、アキトの秘めたる力が解放される。 この小さき白虎との出会いにより、アキトの運命が思わぬ方向へと動き出す。 これは、アキトと訳ありモフモフたちの起こす品質開拓物語。

【完結済】私、地味モブなので。~転生したらなぜか最推し攻略対象の婚約者になってしまいました~

降魔 鬼灯
恋愛
マーガレット・モルガンは、ただの地味なモブだ。前世の最推しであるシルビア様の婚約者を選ぶパーティーに参加してシルビア様に会った事で前世の記憶を思い出す。 前世、人生の全てを捧げた最推し様は尊いけれど、現実に存在する最推しは…。 ヒロインちゃん登場まで三年。早く私を救ってください。

中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています

浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】 ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!? 激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。 目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。 もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。 セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。 戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。 けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。 「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの? これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、 ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。 ※小説家になろうにも掲載中です。

処理中です...