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過去の夢
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柳は自分の布団から這い出ると、軽く寝具を整えて、自分の部屋を出た。
同じ部屋で寝起きしている姉は既に着替えて食事の支度を手伝っている。
猫という奇妙な苗字は元々曽祖父の代に分家をした時、家業に必要なものという意味で付けられたという。
食料品を扱う商家にとって、鼠を取る猫は必需なのは間違いなく、数年前までは柳の家でも飼っていた。
姉の椿は柳に、店の前の掃除でもしていろと言った。
弟の鰹はまだ寝ているようだ。
箒片手に落ち葉をはいていれば、足早に進む人たちの姿が見えた。
役所に勤めに行くもの、そして、柳と違って学校に向かう子供達。
その一人が、柳に挨拶をしていく。
柳とそう年の変わらない少女はそれなりに親しくしている顔見知りだ。
少女が学校に行くのは珍しい。少年でも行かないほうが多いくらいなのに。
少女は月姫という。その名にふさわしい可憐な美少女と噂高い。
そして、彼女は学校で習ったことをよく、周りの学校に行っていない子供に教えてくれる。
柳は最低限の読み書き計算はできる。商家の一員たるもの、帳簿をつける技術がないでは済まされない。
しかしそれはあくまで最低限だ。そのため月姫の授業は新しいことを知る機会なので弟の鰹ともどもよく利用させてもらっていた。
元々月姫には母親がいない、そのため近所の主婦に救いを求め、その代償として、その主婦の子供たちに読み書きを教えるということを繰り返していた。
それが噂を呼び、結構な大所帯になった。
成長した月姫はもはや、よその主婦の助けを求めるほどではないのだが、好評ゆえ辞められないでいる。
それなので、たまに柳のような月姫と同年輩の女子は月姫の家で掃除などをやって、家事を助けている。
月姫の弟は柳の弟鰹と同年代なので、それも親しくしているゆえんだ。
昼過ぎに月姫の家、崔家に向かった。
月姫の家は父親が役人で、それなりに広いが、使用人などはいない。その広い家で、月姫が子供たちの授業をしている。
たまに食材などを置いていくこともあるようだが、最近の王都の食料事情の悪化でそんな家は減少の一途をたどっている。
食料品を扱う商家である、柳の家もその影響をまともに受けて絶賛財政難となっている。
そのため食い扶持を減らすため、前の猫が死んだ後、新しい猫を手に入れることをしなくなっていた。
月姫は授業もほとんど無料奉仕だ。そのため、今までは一日おきだったが、最近は三日おきぐらいに減っている。
それでも月姫のところに行けば同年代の子供も多い。少なくなった授業には参加し学び、ついでに柳は廊下を雑巾がけしておいた。
対価はきちんと、うちはまっとうな商売人なんだというのが父親の教えだ。
「ありがとうね」
月姫は相変わらず美しい笑みを浮かべる。
「ううん、そっちも忙しいでしょう」
授業が減った理由の一つに、月姫が、別の仕事を任されているというのがある。
このところ王都の治安は急速に悪化していた。
役人達は、賄賂ずくでしか仕事をしなくなり、犯罪者たちが完全野放し。
凶悪犯罪は日常茶飯事というありさまだ。
そして役人達は力のある商家に守ってほしければと賄賂を請求。
ほとんどそうした商家の雇われ人というありさまだった。
同じ部屋で寝起きしている姉は既に着替えて食事の支度を手伝っている。
猫という奇妙な苗字は元々曽祖父の代に分家をした時、家業に必要なものという意味で付けられたという。
食料品を扱う商家にとって、鼠を取る猫は必需なのは間違いなく、数年前までは柳の家でも飼っていた。
姉の椿は柳に、店の前の掃除でもしていろと言った。
弟の鰹はまだ寝ているようだ。
箒片手に落ち葉をはいていれば、足早に進む人たちの姿が見えた。
役所に勤めに行くもの、そして、柳と違って学校に向かう子供達。
その一人が、柳に挨拶をしていく。
柳とそう年の変わらない少女はそれなりに親しくしている顔見知りだ。
少女が学校に行くのは珍しい。少年でも行かないほうが多いくらいなのに。
少女は月姫という。その名にふさわしい可憐な美少女と噂高い。
そして、彼女は学校で習ったことをよく、周りの学校に行っていない子供に教えてくれる。
柳は最低限の読み書き計算はできる。商家の一員たるもの、帳簿をつける技術がないでは済まされない。
しかしそれはあくまで最低限だ。そのため月姫の授業は新しいことを知る機会なので弟の鰹ともどもよく利用させてもらっていた。
元々月姫には母親がいない、そのため近所の主婦に救いを求め、その代償として、その主婦の子供たちに読み書きを教えるということを繰り返していた。
それが噂を呼び、結構な大所帯になった。
成長した月姫はもはや、よその主婦の助けを求めるほどではないのだが、好評ゆえ辞められないでいる。
それなので、たまに柳のような月姫と同年輩の女子は月姫の家で掃除などをやって、家事を助けている。
月姫の弟は柳の弟鰹と同年代なので、それも親しくしているゆえんだ。
昼過ぎに月姫の家、崔家に向かった。
月姫の家は父親が役人で、それなりに広いが、使用人などはいない。その広い家で、月姫が子供たちの授業をしている。
たまに食材などを置いていくこともあるようだが、最近の王都の食料事情の悪化でそんな家は減少の一途をたどっている。
食料品を扱う商家である、柳の家もその影響をまともに受けて絶賛財政難となっている。
そのため食い扶持を減らすため、前の猫が死んだ後、新しい猫を手に入れることをしなくなっていた。
月姫は授業もほとんど無料奉仕だ。そのため、今までは一日おきだったが、最近は三日おきぐらいに減っている。
それでも月姫のところに行けば同年代の子供も多い。少なくなった授業には参加し学び、ついでに柳は廊下を雑巾がけしておいた。
対価はきちんと、うちはまっとうな商売人なんだというのが父親の教えだ。
「ありがとうね」
月姫は相変わらず美しい笑みを浮かべる。
「ううん、そっちも忙しいでしょう」
授業が減った理由の一つに、月姫が、別の仕事を任されているというのがある。
このところ王都の治安は急速に悪化していた。
役人達は、賄賂ずくでしか仕事をしなくなり、犯罪者たちが完全野放し。
凶悪犯罪は日常茶飯事というありさまだ。
そして役人達は力のある商家に守ってほしければと賄賂を請求。
ほとんどそうした商家の雇われ人というありさまだった。
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