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馬鹿どもの集い
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龍炎は天幕の中その報告を聞いていた。
報告する部下の顔は強張っている。天幕の中ぼろぼろの辛うじて敷物の体裁を保っているそれに胡坐をかいたまま無表情に聞いていた。
背後にいる部下たちは一様に眉を寄せ、苦悩の表情を浮かべていた。彼らはずいぶんと疲労がたまっていた。
最後に屋根のある部屋で眠ったのはいったいいつだったろうか。
ほとんど野外で過ごし、まともに風呂に入れない状況にさらされた彼らは余人が近づけばすさまじい異臭を感じただろうが、すでに嗅覚は麻痺している。
予定は次から次に狂った。
馬鹿どもは雨後の筍のようにわいてくる。
ある程度予測できたことだし、その馬鹿同士で食い合ってくれるという理想的展開もある程度起きた。
しかし、馬鹿が食い合った結果、一大勢力を築いてしまうところまでは予測できなかった。
龍炎の希望としては食い合った結果弱った相手を叩き潰したかったし、それはそれほど甘い展開ではなかったはずだ。
馬鹿どもの首謀者に無駄に人望のある馬鹿いたのが敗因だろうか。
韓将軍が苦い顔をしていた。
「昔、かかわりのあった奴の息子でした。優秀な奴で、できればこちらに引き入れたかったのですが」
「そんなものを引き入れたら、こちらの正当性まで疑われるだろう」
朱雷が嫌そうな顔をしてうなった。
くだんの、実に質の悪い最悪のどれほど言葉を連ねても足りないその馬鹿はまっすぐに首都を目指した。
あげく馬鹿がやらかしたのは首都近辺の住民の略奪と虐殺だった。
当たり前だが、今、国の状況はかなり逼迫している。何より困った事態は農民が疲弊しきってまともに働けないということだ。
農民が働かなければ食料状況は一気に悪化する。
その農民を虐殺するとはいったい何を考えているのか。
ずきずきと痛み始めたこめかみを抑える。
とっとと始末してしまいたいが、あいにく現在地との距離がありすぎた。
別件を何とかしているうちにそうした暴挙を働かれたのだ。
「このままいけば、首都でも同様の暴挙を働く可能性が」
「そこまで馬鹿か?」
「そこまで馬鹿だからそういう行動に移るんです」
傍らの側近が同じく頭痛をこらえている顔でそう進言した。
「間に合わないかもしれないが、とにかく急ぐぞ」
ぶすぶすとけぶるなか介達は部下の報告を聞いていた。
首尾よく食料は調達できた。この食料を出し惜しみ、これを渡したら飢えて死ぬだけだと泣き言を言っていた連中は飢え死ぬことなく彼岸に送ってやった。
屍と焼き払われれ蛸谷や建物、そして来年の実りを約束しない田畑。
中央にいる連中こそ、悪の巣窟である。これが彼らの論理だ。
実際に中央から派遣されてきた連中にろくな人間がいなかった。
彼らの取り分を搾取し、どれほどそれがなくて困ると縋り付く人間を蹴り飛ばし、従わねば死あるのみと脅す。
それぞれの差異はあれど、中央への憎しみは凝り固まって絶えることはなかった。
彼らの言う理不尽な連中というのが、中央のほんの一部の人間のことであり、それ以外の人間は地方で搾取されてきた食料にありつくことも難しかったという事情など知ったことではなかった。
彼らにとっては中央こそが悪であり、それを滅ぼすものが正義だった。
見る目さえ持っていれば、中央で会う者たちも決して楽な暮らしなどしていないのはすぐにわかる。地方以上に食うや食わずの人間も大勢いた。
しかし、中央すなわち悪という自らの視点を固定してしまった彼らにはそれらは見えていても見えなかった。
彼らは突き進む。首都を、そしてこの国の諸悪の根源のいる王宮へと。
皮肉なことに彼らが正しいのはこれだけだった。
報告する部下の顔は強張っている。天幕の中ぼろぼろの辛うじて敷物の体裁を保っているそれに胡坐をかいたまま無表情に聞いていた。
背後にいる部下たちは一様に眉を寄せ、苦悩の表情を浮かべていた。彼らはずいぶんと疲労がたまっていた。
最後に屋根のある部屋で眠ったのはいったいいつだったろうか。
ほとんど野外で過ごし、まともに風呂に入れない状況にさらされた彼らは余人が近づけばすさまじい異臭を感じただろうが、すでに嗅覚は麻痺している。
予定は次から次に狂った。
馬鹿どもは雨後の筍のようにわいてくる。
ある程度予測できたことだし、その馬鹿同士で食い合ってくれるという理想的展開もある程度起きた。
しかし、馬鹿が食い合った結果、一大勢力を築いてしまうところまでは予測できなかった。
龍炎の希望としては食い合った結果弱った相手を叩き潰したかったし、それはそれほど甘い展開ではなかったはずだ。
馬鹿どもの首謀者に無駄に人望のある馬鹿いたのが敗因だろうか。
韓将軍が苦い顔をしていた。
「昔、かかわりのあった奴の息子でした。優秀な奴で、できればこちらに引き入れたかったのですが」
「そんなものを引き入れたら、こちらの正当性まで疑われるだろう」
朱雷が嫌そうな顔をしてうなった。
くだんの、実に質の悪い最悪のどれほど言葉を連ねても足りないその馬鹿はまっすぐに首都を目指した。
あげく馬鹿がやらかしたのは首都近辺の住民の略奪と虐殺だった。
当たり前だが、今、国の状況はかなり逼迫している。何より困った事態は農民が疲弊しきってまともに働けないということだ。
農民が働かなければ食料状況は一気に悪化する。
その農民を虐殺するとはいったい何を考えているのか。
ずきずきと痛み始めたこめかみを抑える。
とっとと始末してしまいたいが、あいにく現在地との距離がありすぎた。
別件を何とかしているうちにそうした暴挙を働かれたのだ。
「このままいけば、首都でも同様の暴挙を働く可能性が」
「そこまで馬鹿か?」
「そこまで馬鹿だからそういう行動に移るんです」
傍らの側近が同じく頭痛をこらえている顔でそう進言した。
「間に合わないかもしれないが、とにかく急ぐぞ」
ぶすぶすとけぶるなか介達は部下の報告を聞いていた。
首尾よく食料は調達できた。この食料を出し惜しみ、これを渡したら飢えて死ぬだけだと泣き言を言っていた連中は飢え死ぬことなく彼岸に送ってやった。
屍と焼き払われれ蛸谷や建物、そして来年の実りを約束しない田畑。
中央にいる連中こそ、悪の巣窟である。これが彼らの論理だ。
実際に中央から派遣されてきた連中にろくな人間がいなかった。
彼らの取り分を搾取し、どれほどそれがなくて困ると縋り付く人間を蹴り飛ばし、従わねば死あるのみと脅す。
それぞれの差異はあれど、中央への憎しみは凝り固まって絶えることはなかった。
彼らの言う理不尽な連中というのが、中央のほんの一部の人間のことであり、それ以外の人間は地方で搾取されてきた食料にありつくことも難しかったという事情など知ったことではなかった。
彼らにとっては中央こそが悪であり、それを滅ぼすものが正義だった。
見る目さえ持っていれば、中央で会う者たちも決して楽な暮らしなどしていないのはすぐにわかる。地方以上に食うや食わずの人間も大勢いた。
しかし、中央すなわち悪という自らの視点を固定してしまった彼らにはそれらは見えていても見えなかった。
彼らは突き進む。首都を、そしてこの国の諸悪の根源のいる王宮へと。
皮肉なことに彼らが正しいのはこれだけだった。
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