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堂々巡り
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皇帝は韓将軍を見下ろしていた。
膝をついて彼は皇帝にとつとつと語っていた。
「お前が言いたいのは、恵介達を殺した男の話か?」
恵介達は巫女の予言を受けた。いずれ、この国の頂点に立つものと戦うと。
彼は単にその相手を倒せば自分がこの国の頂点に立てると思ったようだが、そんな意味はない。彼が戦う相手が昇り詰めると言っていただけだ。
「貴方様が斬ってくださればよろしかったのですが」
「無茶を言うな、俺のもとにたどり着く前に死んだ奴をどうやって斬るんだ?」
謀反人恵介達は死んだ、それはもうあっさりと。
彼は都で民間人の虐殺を行った。聞いた皇帝が呆れるくらい意味のない虐殺。
そして、民間人が暴動を起こし、そのさなかに惨殺されたらしい。
自業自得を絵にかいたような最後だった。
「それで、お前は何が言いたいんだ。まさか、暴動を起こした民間人達が今度は俺を倒すために暴動を起こし、俺は哀れにも討たれるのか?」
「そんなことは」
「そういっているのも同然だな、この俺の治世は、そのような暴動が起きかねないものなのか?」
韓将軍の背中に生ぬるい汗が伝った。
「陛下の治世は極めて安定しつつあります」
皇帝は鷹揚に頷いた。
「それならば俺の治世を危うくする存在などあるはずがないな」
そう言いつつ皇帝は気づかれないようにため息をついた。
この男は過剰にその巫女の予言を気にしている。そのため暴動に参加していた少年達を無理やり自らの部下に引き抜いたほどだ。
恵介達を殺めた男に関してはその少年達は黙秘を貫いているようだ。
それがますます韓将軍の焦燥を煽るのだが、決してその名前も容姿も年齢もこたえようとしないらしい。
それほどに人望のある人間だったのか、それとも混乱のさなか、誰がやったのかわからなかったのか。
皇帝自身は案外後者だったのではないかと思っている。
この男にも困ったものだと皇帝は思った。之が皇帝を心配しての行動だとわかる。しかしどう考えても杞憂としか思えない。
「何故そこまで気にするのだ?」
韓将軍は唇をかむ。
「私の調べた限りでは、一人の老軍人が少年達に軍事訓練を施していたという話です。治安が乱れ、それを正す役人も仕事をしないので自衛のために民間人の少年達にそれを任せたと。そして反乱軍に対し指揮を執ったのもその少年達であったと聞いています」
「となると、その老軍人は」
「すでに死亡が確認されています」
「それは残念だな」
優秀な指導者になりそうな人材だったのに。
「一軍人に指導を受けたとしてもその少年達が、正規の訓練を受けた軍隊相手に勝利を飾るとは考え難い事態です。そして、その指揮官を務めた者が、恵介達を殺めたと聞きました」
「なるほど、危惧するにふさわしい実力を持っていたというわけだ」
それだけの実力者ならこちらに引き入れて将軍職に就けるのもやぶさかではない。
「陛下、何か不穏なことを考えていませんでしたか」
「そんなことはないが」
「とにかく、民間人の反乱ぐらいで揺らぐ私の治世ではない、そしてそもそも反乱など置きようもないぐらい盤石な体制を整えている」
「だからこそ、それが覆るときは悲惨なことに、どれほどの被害が出るか」
「どうしてその巫女の予言を気にするのだ」
「その巫女を個人的に知っております。嘘をつくような娘ではありませんでした」
膝をついて彼は皇帝にとつとつと語っていた。
「お前が言いたいのは、恵介達を殺した男の話か?」
恵介達は巫女の予言を受けた。いずれ、この国の頂点に立つものと戦うと。
彼は単にその相手を倒せば自分がこの国の頂点に立てると思ったようだが、そんな意味はない。彼が戦う相手が昇り詰めると言っていただけだ。
「貴方様が斬ってくださればよろしかったのですが」
「無茶を言うな、俺のもとにたどり着く前に死んだ奴をどうやって斬るんだ?」
謀反人恵介達は死んだ、それはもうあっさりと。
彼は都で民間人の虐殺を行った。聞いた皇帝が呆れるくらい意味のない虐殺。
そして、民間人が暴動を起こし、そのさなかに惨殺されたらしい。
自業自得を絵にかいたような最後だった。
「それで、お前は何が言いたいんだ。まさか、暴動を起こした民間人達が今度は俺を倒すために暴動を起こし、俺は哀れにも討たれるのか?」
「そんなことは」
「そういっているのも同然だな、この俺の治世は、そのような暴動が起きかねないものなのか?」
韓将軍の背中に生ぬるい汗が伝った。
「陛下の治世は極めて安定しつつあります」
皇帝は鷹揚に頷いた。
「それならば俺の治世を危うくする存在などあるはずがないな」
そう言いつつ皇帝は気づかれないようにため息をついた。
この男は過剰にその巫女の予言を気にしている。そのため暴動に参加していた少年達を無理やり自らの部下に引き抜いたほどだ。
恵介達を殺めた男に関してはその少年達は黙秘を貫いているようだ。
それがますます韓将軍の焦燥を煽るのだが、決してその名前も容姿も年齢もこたえようとしないらしい。
それほどに人望のある人間だったのか、それとも混乱のさなか、誰がやったのかわからなかったのか。
皇帝自身は案外後者だったのではないかと思っている。
この男にも困ったものだと皇帝は思った。之が皇帝を心配しての行動だとわかる。しかしどう考えても杞憂としか思えない。
「何故そこまで気にするのだ?」
韓将軍は唇をかむ。
「私の調べた限りでは、一人の老軍人が少年達に軍事訓練を施していたという話です。治安が乱れ、それを正す役人も仕事をしないので自衛のために民間人の少年達にそれを任せたと。そして反乱軍に対し指揮を執ったのもその少年達であったと聞いています」
「となると、その老軍人は」
「すでに死亡が確認されています」
「それは残念だな」
優秀な指導者になりそうな人材だったのに。
「一軍人に指導を受けたとしてもその少年達が、正規の訓練を受けた軍隊相手に勝利を飾るとは考え難い事態です。そして、その指揮官を務めた者が、恵介達を殺めたと聞きました」
「なるほど、危惧するにふさわしい実力を持っていたというわけだ」
それだけの実力者ならこちらに引き入れて将軍職に就けるのもやぶさかではない。
「陛下、何か不穏なことを考えていませんでしたか」
「そんなことはないが」
「とにかく、民間人の反乱ぐらいで揺らぐ私の治世ではない、そしてそもそも反乱など置きようもないぐらい盤石な体制を整えている」
「だからこそ、それが覆るときは悲惨なことに、どれほどの被害が出るか」
「どうしてその巫女の予言を気にするのだ」
「その巫女を個人的に知っております。嘘をつくような娘ではありませんでした」
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