たとえるならばそれは嵐

karon

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進軍する

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 都に火の手が上がったという報告を受けて、龍炎は盛大に舌打ちをした。
「それで、常駐軍はどうした」
 むざむざと都に火をかけさせ、市民を虐殺させたのかと問うた。
「軍は皇宮にを囲んだまま動かず、彼らは皇帝とそれに属するものを守るのが使命ですから」
「つまり、都が焼かれるのを傍観したということか」
 苦虫を百匹かみしめたとしても及ばないようなしかめっ面で再び盛大に舌打ちをする。
「腐りきっているな」
 その呟きは龍炎のみならず、この場にいるものすべての実感だった。
 すでに目先のことしか、この国の上層部は考えられなくなっている。
 都がみすみす焼かれるということがどういうことなのかもわからなくなっているのだ。
 そうやって、守りを固めても、民という地盤が揺らいでいたらどのみち崩れるということをわかっていない。
「馬鹿ばっかりだ」
 龍炎はガシガシと、束ねた切りの髪をかきむしった。
「そして、再び虐殺を行うと宣言していますたっぷり恐怖を味合わせるために猶予を設けて」
「間に合うか?」
 龍炎は意気込んで聞いた。
「無理です、すでに北からやってきた反乱軍の相手をしなければならないのですよ、それがなくとも間に合う期日ではありませんが」
「まったく、何をやってもうまくいかない。あっちでもこっちでも問題が起こる」
 癇癪球を盛大に破裂させてから龍炎は息を吐いた。
「こうなれば、最速で片を付けるぞ、あっちもこっちもどちらも一思いに死んだがましな目に合わせてやる。盛大に見せしめになってもらわねばな」
 冷たい怒りを帯びた視線でを、劉延ははるか彼方に向ける。
「できることからだ、まず、邪魔物を最初に血祭りにあげてやらんとな」
 自らの愛剣を掴むと、それを肩にかけた。
「それじゃそろそろ出陣するか」
 反乱軍はとめどなく現れる。それをいちいち片付けなければ先にはとても進めない。
「地道にやるしかないよな、それがどんなに遠くても」

 海水が、部下たちに降りかけられる。ただの水と侮ったが、彼らは内陸出身。海水に対する耐性がなかった。
 目に入ればとてつもなくしみて、しばらく目を空けることができなくなるのだ。
 建物の中から刃物をつけた武器が付きだされる。
 決して表に出てこないが地味に人数を削っていく。
「何故だ?」
 平民が武官に反撃してくる可能性すら考えたことがなかった。
 にもかかわらず反撃はやまない。
 そして、部下たちが苦戦していることも信じられない。
 平野部での交戦の経験など都市部での奇襲戦には何の役にも立たないということを若い恵介達は知らなかったのだ。
「おそらく背後に軍関係者がいると思われます」
 ありそうなことを言う部下の進言も今の段階では役に立たない。
「そいつがどこにいるのかわかるか」
 積み上げたじゅうりょのあるものが崩れる音、そして悲鳴。
 悲鳴はおそらく部下のものだ。
 こんなはずではなかった、こんなじゅっぱひとからげの平民などに苦戦するはずがない。
 今までの自分に対する過大な評価がガラガラと崩れていく。
「こうなれば、ただでは済まさない、首謀者はとらえて、一思いに殺せと言わせてやる」
 そう言って前に踏み出す。
「蹴散らす」
 多少の犠牲はやむを得ない。そう開き直って、進もうとした。
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