たとえるならばそれは嵐

karon

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再びさらば

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 離宮のあった場所から強制送還された後、鈿花は風花のところで暮らしていた。
 都に戻り次第すぐに王宮で馘首を言い渡されたのだ。
 そして元にも会えていない。どうなったのかわからない。
 風花の仕事を手伝いながら、問わず語りのように王宮での物事を話した。
 風花は月姫にあった話を聞いた時はしばらくぽかんと口を開けて放心したようになっていたが、何とか持ち直した。
「つまり、月姫はお妃様になって、もしかしたら国母になっちゃうってこと?」
「男の子が生まれたらね」
 鈿花はそっとまなじりを抑えた。
 風花は両方の頬を押さえてしばらく考え込んでいた。
「あたし達ね、月姫のことできるだけ噂にのせないように努力してきたの。月姫みたいな美人で優秀な女性って、権力者にいいようにされてしまうんじゃないかって。なのになんでこの国の最高権力者の愛人なんかになってるわけ?」
「私もそれは言いたい」
 風花が嘆くのはよくわかる、本当にとんでもなく無駄な努力だ。
「まあ、もう昔馴染みが、月姫にあうことはもうないでしょうね」
 今後は厳重に周囲を固められるはずだ。月姫が要注意人物と正しい評価を得た以上それは仕方ない。
「問題は元が今どうしているかよ」
「消されたりして?」
「縁起でもないこと言わないで」
 そう言いつつ可能性が低くないことはわかっていた。

 元がやってきたのそれからさらに数日後のこと。
 ちょっとやつれているようだった。
「よかった、生きてた」
 思わず出てしまった言葉に元は苦笑した。
「そりゃないよ、だが、ここから離れることになった、地方に転勤だ、たぶん一生こっちに戻ってくることはないだろうな」
 つまりここにいる貴妃様から隔離するための転勤ということだ。
「それでだ、お前はどうする?」
 今風花に世話になっているが、いつまでもこうしているわけにもいかないと思う。しかし妓女に戻るわけにもいかないし。
「それなら、お前も一緒に来ないか?」
 何を言われたのかわからず首をかしげる。
「仕事と関係のない人間を連れて行ってもいいわけ?」
「家族なら問題ない」
 キョトンとした顔で元を見た。
「あのさ、つまりそういうこと?」
 横で聞いていた風花はうんうんと首を縦に振っていた。
「私がどういう仕事をしていたかわかってるよね」
「俺の仕事だって、褒められたもんじゃないさ、しょせんは人殺し、赴任先があのくそ野郎の出身地でな、俺はあのくそ野郎を殺した仲間だって、しょっちゅう狙われてどんだけ殺したか覚えてないぞ」
 元が軍に入れられた理由を聞いて鈿花は声も出なかった。
「ここで分かれたら、たぶん元に会うことはもうないってことだよね」
 そして小さく頷いた。
「わかった」
 風花がバンバンと鈿花の肩をたたいた。
「あんたあの当時、好かれてたの気が付いてなかったの」
 そう言いながらくすくすと笑った。
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