ダークアクターMOB

karon

文字の大きさ
2 / 14

宴会

しおりを挟む
 カーテンコールが終われば俺達は大部屋で、主役達はそれぞれの個室というわけにはいかず、ちょっと狭いが設備の整った部屋で着替える。
 俺はメイクをちゃちゃっと落としざっと着替えた。
 俺の所属しているのは一応芸能界。華やかな光の影には闇がある。
「ちょっといいかしら」
 俺の知り合いの芸能事務所の人。
 業界人らしく目立つメイクにブランド物のスーツ。
 仕事はたぶん何でも屋だ。なんでもやる、それも非合法なことまで。そして俺にとって顧客でもある。
 俺は彼を斎藤さんとだけ呼んでいる。下の名前は知らない。
「仕事を頼みたいんだけど」
 決めきめのブランドスーツに真っ黒じゃないブラウンのサングラス、もちろんブランド。
 それを軽く指先で押さえながら斎藤さんはそう言った。
「よかったな、M、またエキストラの仕事か」
 俺と話し込んでいる斎藤を三を見て敦がそう言った。
 まあ、それはそうだ。斎藤さんが俺に依頼する仕事はほとんどがテレビや映画のエキストラ。
 あんまり素人を使いたくない、それなりに演技力を必要とするが、台本には通行人Aとか目撃者Bとか名前すらない役ばかりだ。
 俺のくすみ具合はそうした役をやるのにうってつけなんだそうだ。それなりに回数をこなしているのにいまだに俺の名前は覚えられていない。
 だが今回は例外だった。
 俺に依頼された仕事はある意味演技であるが、映像には基本残らない。
「俺は渡されたメモをしばらく見ていた」
「返事は三日後で」
 俺はこれから忙しい三日間を過ごすことになる。
 救いは斎藤さんがこちらの仕事に理解があって今日が最終日、千秋楽だったということだ。
 しばらくは暇なのだ。
 これから打ち上げだ、今日はあまり飲みすぎないようにしなければ。
 俺の気持ちなど向こうもお見通しだ。
「あんまり飲んじゃだめよ」
 もともと俺は酒を美味しいと思って飲んだことはあまりない。弱くはないが美味しくない。そのあたりは下戸の綺羅と違うところだ。
 あいつは本当に飲めない。アレルギー体質だと言い張っているしかたくなに飲まない。
 以前あいつのウーロンをウーロンハイと入れ替える悪戯をしたやつがいたが飲む前に気づいて捨てられた。
 臭いでわかる当たり本当にアレルギーなんだろうな。
 そして俺はものすごく薄い水割りだけで打ち上げを終えた。
 綺羅はまるでスクリュードライバーでも飲んでいるような顔で百パーセントのオレンジジュースを飲んでいた。
 一応飲み物を手に持っているためどんどん注がれることは無かったがこういう時の飲み会はほとんどカオスだった。
 ほぼ素面の俺と完全に素面の綺羅が後片付けをする羽目になった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

診察室の午後<菜の花の丘編>その1

スピカナ
恋愛
神的イケメン医師・北原春樹と、病弱で天才的なアーティストである妻・莉子。 そして二人を愛してしまったイケメン御曹司・浅田夏輝。 「菜の花クリニック」と「サテライトセンター」を舞台に、三人の愛と日常が描かれます。 時に泣けて、時に笑える――溺愛とBL要素を含む、ほのぼの愛の物語。 多くのスタッフの人生がここで楽しく花開いていきます。 この小説は「医師の兄が溺愛する病弱な義妹を毎日診察する甘~い愛の物語」の1000話以降の続編です。 ※医学描写はすべて架空です。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。 そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

小児科での話

ゴマペースト
恋愛
小児病棟の子供のお話 文が幼稚なので見たい人だけ 覗けるようにしたいので詳しく書きません

処理中です...