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宴会
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カーテンコールが終われば俺達は大部屋で、主役達はそれぞれの個室というわけにはいかず、ちょっと狭いが設備の整った部屋で着替える。
俺はメイクをちゃちゃっと落としざっと着替えた。
俺の所属しているのは一応芸能界。華やかな光の影には闇がある。
「ちょっといいかしら」
俺の知り合いの芸能事務所の人。
業界人らしく目立つメイクにブランド物のスーツ。
仕事はたぶん何でも屋だ。なんでもやる、それも非合法なことまで。そして俺にとって顧客でもある。
俺は彼を斎藤さんとだけ呼んでいる。下の名前は知らない。
「仕事を頼みたいんだけど」
決めきめのブランドスーツに真っ黒じゃないブラウンのサングラス、もちろんブランド。
それを軽く指先で押さえながら斎藤さんはそう言った。
「よかったな、M、またエキストラの仕事か」
俺と話し込んでいる斎藤を三を見て敦がそう言った。
まあ、それはそうだ。斎藤さんが俺に依頼する仕事はほとんどがテレビや映画のエキストラ。
あんまり素人を使いたくない、それなりに演技力を必要とするが、台本には通行人Aとか目撃者Bとか名前すらない役ばかりだ。
俺のくすみ具合はそうした役をやるのにうってつけなんだそうだ。それなりに回数をこなしているのにいまだに俺の名前は覚えられていない。
だが今回は例外だった。
俺に依頼された仕事はある意味演技であるが、映像には基本残らない。
「俺は渡されたメモをしばらく見ていた」
「返事は三日後で」
俺はこれから忙しい三日間を過ごすことになる。
救いは斎藤さんがこちらの仕事に理解があって今日が最終日、千秋楽だったということだ。
しばらくは暇なのだ。
これから打ち上げだ、今日はあまり飲みすぎないようにしなければ。
俺の気持ちなど向こうもお見通しだ。
「あんまり飲んじゃだめよ」
もともと俺は酒を美味しいと思って飲んだことはあまりない。弱くはないが美味しくない。そのあたりは下戸の綺羅と違うところだ。
あいつは本当に飲めない。アレルギー体質だと言い張っているしかたくなに飲まない。
以前あいつのウーロンをウーロンハイと入れ替える悪戯をしたやつがいたが飲む前に気づいて捨てられた。
臭いでわかる当たり本当にアレルギーなんだろうな。
そして俺はものすごく薄い水割りだけで打ち上げを終えた。
綺羅はまるでスクリュードライバーでも飲んでいるような顔で百パーセントのオレンジジュースを飲んでいた。
一応飲み物を手に持っているためどんどん注がれることは無かったがこういう時の飲み会はほとんどカオスだった。
ほぼ素面の俺と完全に素面の綺羅が後片付けをする羽目になった。
俺はメイクをちゃちゃっと落としざっと着替えた。
俺の所属しているのは一応芸能界。華やかな光の影には闇がある。
「ちょっといいかしら」
俺の知り合いの芸能事務所の人。
業界人らしく目立つメイクにブランド物のスーツ。
仕事はたぶん何でも屋だ。なんでもやる、それも非合法なことまで。そして俺にとって顧客でもある。
俺は彼を斎藤さんとだけ呼んでいる。下の名前は知らない。
「仕事を頼みたいんだけど」
決めきめのブランドスーツに真っ黒じゃないブラウンのサングラス、もちろんブランド。
それを軽く指先で押さえながら斎藤さんはそう言った。
「よかったな、M、またエキストラの仕事か」
俺と話し込んでいる斎藤を三を見て敦がそう言った。
まあ、それはそうだ。斎藤さんが俺に依頼する仕事はほとんどがテレビや映画のエキストラ。
あんまり素人を使いたくない、それなりに演技力を必要とするが、台本には通行人Aとか目撃者Bとか名前すらない役ばかりだ。
俺のくすみ具合はそうした役をやるのにうってつけなんだそうだ。それなりに回数をこなしているのにいまだに俺の名前は覚えられていない。
だが今回は例外だった。
俺に依頼された仕事はある意味演技であるが、映像には基本残らない。
「俺は渡されたメモをしばらく見ていた」
「返事は三日後で」
俺はこれから忙しい三日間を過ごすことになる。
救いは斎藤さんがこちらの仕事に理解があって今日が最終日、千秋楽だったということだ。
しばらくは暇なのだ。
これから打ち上げだ、今日はあまり飲みすぎないようにしなければ。
俺の気持ちなど向こうもお見通しだ。
「あんまり飲んじゃだめよ」
もともと俺は酒を美味しいと思って飲んだことはあまりない。弱くはないが美味しくない。そのあたりは下戸の綺羅と違うところだ。
あいつは本当に飲めない。アレルギー体質だと言い張っているしかたくなに飲まない。
以前あいつのウーロンをウーロンハイと入れ替える悪戯をしたやつがいたが飲む前に気づいて捨てられた。
臭いでわかる当たり本当にアレルギーなんだろうな。
そして俺はものすごく薄い水割りだけで打ち上げを終えた。
綺羅はまるでスクリュードライバーでも飲んでいるような顔で百パーセントのオレンジジュースを飲んでいた。
一応飲み物を手に持っているためどんどん注がれることは無かったがこういう時の飲み会はほとんどカオスだった。
ほぼ素面の俺と完全に素面の綺羅が後片付けをする羽目になった。
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