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Gods' Funeral Procession

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 あの葬列を見よ。

 黒き影らが陰鬱に葬送歌を歌い上げるその様を。

 我らの首を刈り取りし者どもが大蛇に乗ってやってくる。

 荘厳たるその骸の仮面が、卑下し跪く我らを嘲笑う。それは意味無きこと、と。我らは枯草の如く容易く狩られる運命にある。

 あの叫びを聞け。

 大蛇が発するその軋んだ唸り声は、ほんの僅か聞いただけで身体が歪み精神に異常をきたす冒涜的な汚染だ。骨が鳴る耳障りな音は、大蛇が獲物に歓喜する声だ。

 毒と火花と轟音と死を撒き散らす鋼の蛇を我らは遠くより眺めることしか叶わぬ。

 あの鋼の塔を崇めよ。

 忌まわしき死神が住まうという尖塔を。

 我らが首を刺し、肉と腱で装飾されたあの難攻不落の棘を。

 我らは力無き者故、己の無力を嘆き悲しむ歌を死の直前まで捧げることしかできぬのだ。

 あのか弱き陽光を痴れ。

 かの尖塔より吐き出される黒き雲にさえ遮られてしまうかつての神々しき光のなんと情けないことか。

 我らは古き者ども。

 盲目にして悠久。

 この地のかつての明るさを希い。

 赤き花が腐った汚泥に咲く己の恥辱を我らに問う。

 我らは己の矮小さしか知らぬ故。

 奴らではなく我らが貧者の無知を恨むのみ。

 がたんごとん、そうして奴らは満足して去っていくのだ。
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