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1.【急募】コスプレイヤーを拾った場合の対処法
救急車、それは魅惑の響き
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「で、あの子は誰? なんであんな恰好であなたなんかに連れられていたの?」
「い、いや、ちょっと待てって、落ち着け、五日香。完全に疑っているみたいだけど、五日香が思っているようなことは決してない。オレはただ家の前に倒れていたその子を助けたかっただけなんだ」
救急車を待つ間、オレと五日香は子ども達をお風呂に入れる時間がないことに気付きながら、いや、人の命がかかってるかもしれないしそんな場合じゃないか、と半ば自分達を納得させるためだけの結論を導き出していた。
永々遠はもうすっかり眠気に負けてしまっていて、少女の横ですやすや寝息を立てていた。
「きゅうきゅうさくるの!?」
「うん、来るよ。現在も乗りたい?」
「うん! のるよ、ぜったいだよ!」
現在の方は知らない人が家にいることでまだ緊張しているらしく、しかも、救急車という単語を聞いて完全に目が覚めてしまっていた。逆に眠っていてくれた方がこっちは助かるんだけどな。
「ま、詳しいことはあの子が起きたらじっくり聞くわ。あなたは、こんなときどうすればいいか調べて」
オレは五日香に言われるがままに、さっき脱ぎ捨てたスラックスからスマホを取り出す。あぶな、そのまま洗濯されるところだった。ナイス、五日香。
「あとは警察よね。でも、どうしたらあなたの罪が軽くなるかしら」
あれ、まだ疑ってるどころか、これはもう完全に犯罪者として扱われてるな。
それにしても、いくら調べたってこんな時にどうすればいいのか、なんて信ぴょう性のありそうなことは何ひとつ出てきそうになかった。やれ早く逃げろとか、やれ放っておいた方がいいとか、はたまた自首した方が罪は軽くなるだとか、そんなのばかりだった。世知辛ぇ……
「あなただけじゃあ不安だから、私も行くわね」
「お、おい、子ども達はどうするんだ」
「そのへんは心配しないで。あなたが夜遅くまで帰って来ないときは私が二人とも見てるんだから」
「す、すいません」
結局、オレと現在がまだ目を覚まさない少女と一緒に救急車に乗り、五日香と永々遠は自家用車で病院に向かうことになった。連れていかなかったら現在が泣きそうだし。
もしも長引きそうなら五日香が子ども達を連れて帰る。そういう話でまとまった。
まあ、こういうときに誰かがそばにいてくれるのはそれだけで心強いしな。五日香が頼りになる人で本当に良かった。
救急隊員の皆様は少女のケガや状態を聞くだけで、この意味不明な事件性のある状況について深く聞いてくることはなかったけど、ときおりオレに刺さる視線はなんだか痛かった。
あんなに土砂降りだった雨は嘘みたいに晴れていた。
「い、いや、ちょっと待てって、落ち着け、五日香。完全に疑っているみたいだけど、五日香が思っているようなことは決してない。オレはただ家の前に倒れていたその子を助けたかっただけなんだ」
救急車を待つ間、オレと五日香は子ども達をお風呂に入れる時間がないことに気付きながら、いや、人の命がかかってるかもしれないしそんな場合じゃないか、と半ば自分達を納得させるためだけの結論を導き出していた。
永々遠はもうすっかり眠気に負けてしまっていて、少女の横ですやすや寝息を立てていた。
「きゅうきゅうさくるの!?」
「うん、来るよ。現在も乗りたい?」
「うん! のるよ、ぜったいだよ!」
現在の方は知らない人が家にいることでまだ緊張しているらしく、しかも、救急車という単語を聞いて完全に目が覚めてしまっていた。逆に眠っていてくれた方がこっちは助かるんだけどな。
「ま、詳しいことはあの子が起きたらじっくり聞くわ。あなたは、こんなときどうすればいいか調べて」
オレは五日香に言われるがままに、さっき脱ぎ捨てたスラックスからスマホを取り出す。あぶな、そのまま洗濯されるところだった。ナイス、五日香。
「あとは警察よね。でも、どうしたらあなたの罪が軽くなるかしら」
あれ、まだ疑ってるどころか、これはもう完全に犯罪者として扱われてるな。
それにしても、いくら調べたってこんな時にどうすればいいのか、なんて信ぴょう性のありそうなことは何ひとつ出てきそうになかった。やれ早く逃げろとか、やれ放っておいた方がいいとか、はたまた自首した方が罪は軽くなるだとか、そんなのばかりだった。世知辛ぇ……
「あなただけじゃあ不安だから、私も行くわね」
「お、おい、子ども達はどうするんだ」
「そのへんは心配しないで。あなたが夜遅くまで帰って来ないときは私が二人とも見てるんだから」
「す、すいません」
結局、オレと現在がまだ目を覚まさない少女と一緒に救急車に乗り、五日香と永々遠は自家用車で病院に向かうことになった。連れていかなかったら現在が泣きそうだし。
もしも長引きそうなら五日香が子ども達を連れて帰る。そういう話でまとまった。
まあ、こういうときに誰かがそばにいてくれるのはそれだけで心強いしな。五日香が頼りになる人で本当に良かった。
救急隊員の皆様は少女のケガや状態を聞くだけで、この意味不明な事件性のある状況について深く聞いてくることはなかったけど、ときおりオレに刺さる視線はなんだか痛かった。
あんなに土砂降りだった雨は嘘みたいに晴れていた。
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