上 下
2 / 2

TWILIGHT

しおりを挟む
 黄昏時は、誰そ彼時。

 何もかも、酸いも甘いも、人も獣も妖も、朱に染まって夜になるまで混ざり合う。

 あなたは誰で、わたしはアナタ?

 後ろの正面、泣いてるキミはさっきのだぁれ?

 狐面が打ち鳴らす囃子は、どこかの血祭り?

 さっきのあの子の貌がないのは三人目だから。

 あの黄泉橋をさあさ通りゃんせ、決して振り向かなければいきて帰れる。

 笑いましょ、笑いましょ、少女たちはもう迷子。

 戯言騙りはもうたくさん、言霊狩りは神にお任せ。

 夢が醒めたら素敵なことね、夜はすぐそこ、朝は来ない。

 集めて願いし羅刹卜骸、今はそれらと踊れや踊れ。

 螺旋が渦巻く不夜迷宮に、閉じ込められて、百鬼夜行もお気の召すまま。

 首吊りの正体見たり枯れ狸、ゆらゆらとゆらゆらと。

 さては赤い靴の少女は寫眞機拾肆號を使ったな?

 昏き眼差し、隣の隣の隣のだぁれ?

 三叉路の二又猫を追いかけて、いひひ、さようなら。

 掠れた放送が鳴り響く、夕焼け小焼けまた明日、どこに行ってもまた此処に。

 さあさ夜はもうすぐ、二人目置いて早くお帰り。

 鴉と一緒に真っ黒け、あの子はまだまだかくれんぼ。

 黄昏時なんて怖くない、さっぱり何にも起きやしないもの。

 だって、わたしは最初から一人きり独りきり。
しおりを挟む

この作品の感想を投稿する


処理中です...