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天羽12
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~前回の適当なあらすじ~
突如現れた熊男は引きこもりまっつんの進化系?だった。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
真継 空。
通称まっつんは、学園カースト第2位。青みがかった黒髪と色素の薄い茶色い瞳の大男だ。
『ヤンパラ』の攻略対象の1人でもある彼は、興味のないことに関しては心の片隅にも気に留めない曲者で、プライベートルームに引きこもる問題児の彼は、引きこもってばかりいてろくに陽にも当たらず、睡眠も食事もまともに取らないから睡眠不足に栄養不足の色白ヒョロヒョロ不健康児……っていう設定だったはずなんだけど――――
それなのにこの……がたいの良い、どちらかというと筋肉質でちょっと日焼け気味のワイルド系熊男がまさかのまっつんだというのか!!?
こんなの僕の知ってるまっつんじゃない!
……確かに顔色悪いし、目の下に隈もあるけれど、でもこんな――――何か違うっしょ!?
長い前髪をカチューシャであげてる姿はなんか男の色気を感じちゃうし、なんか琴吹さんと初めて会ったときのような違和感という名のデジャブを感じる……だいたい顔が強面すぎて冷や汗が止まらないよっ!
「素朴でシンプルな卵サンドイッチだったが、どこかホッとする味だった。また食いたい」
そう微笑んだまっつんは『ヤンパラ』の攻略対象にふさわしく、主人公の琴吹さんに引けを取らない輝きを放っていた。
惚れるかもしれない。イケメン好きの女の子だったら惚れてしまうかもしれない。
だけど僕は男だし、琴吹さんのデラックスBランチを食い荒らしたまっつんに惚れたりなんかしないからね!
僕は琴吹さんの手前、背中に冷や汗を流しながら、虚勢を張って無理矢理心を落ちつかせる。
大丈夫、顔は恐いけどまっつんからは怒りのオーラがでてない気がする。
「……僕の名は天羽結。普通クラスの5年生だよ。……真継君、僕のサンドイッチお口に合って良かった。また食べたいっていうのはひとまずおいといて、君は琴吹さんに言わなければならないことがあるんじゃないかな? 琴吹さんのデラックスBランチ……ほとんど君が勝手に食べちゃったんだよ?」
「デラックスBランチ……?」
嘘だろ。記憶にないのか?
まっつんは自分の足下に転がる空になったデラックスBランチの容器を見て琴吹さんに向き合い、素直に頭を下げた。
「悪かった……。腹が減り過ぎて記憶が飛んでしまったみたいだ」
「いや……もういいよ。今後気をつけてくれれば……」
「あ、ああ」
琴吹さんがぎこちないながらもまっつんに微笑んでみせた。
どうやら平和的に片が付きそうだ。
「まっつんはもっと健康に気をつけるべきだよ! 普段からちゃんと食べてればこんなことにならないし、その目の下の隈だって、まっつんがちゃんと睡眠をとれば――」
ほっとして、興奮状態から気持ちが一気に減速した僕は、勢い余ってまっつんにおせっかい風を吹かし―――
「そのまっつんっていうのは俺のことか?」
「え――?」
自爆した。
「だいたい、なんでお前が俺の日常の不摂生を知ってるんだ?」
「ちょっと待って! 天羽君は彼のことをまっつんと呼ぶのかい? もしかして2人は既に知り合いなのかい?」
琴吹さんが訝しげに僕とまっつんを見た。
まっつんも眉間にしわを寄せて僕を見ている。
やばいっ! 気が抜けて無意識に通称で呼んでしまった! 調子に乗りすぎた!
「違う。初対面だ」
「初対面です! 真継君のことは有名だから噂で知ってました! まっ、真継君、馴れ馴れしく呼んでごめんなさい!」
さっきとは真逆に一気に緊張状態に陥る。
プライベートルームを与えられるほどの学園カースト上位者の名は、学園内でもよく話題に上がるから、直接会ったことがなかったとしても、底辺の僕が彼のことを知っていても不自然ではないはずだ。
だが、それとこれとは別問題である。知っているからといって馴れ馴れしくしていいというわけではない。
土下座でも何でもするから殴るのだけは勘弁してください! not暴力!!
僕はきつく目をつむった。
「……まっつんでいい」
「へ?」
「まっつんでいいと言っている」
「……はい……?」
僕が呆けていると、琴吹さんがその横で高く手を挙げる。
「はいは~い! じゃあ、僕もそう呼ぶ! 僕の名前は琴吹輝。普通クラスの5年生、天羽君の隣のクラスだよ。まっつん、よろしくね」
輝く笑顔でそう言った琴吹さんに、僕は改めて主人公の行動力と心の切り替えの早さをすごいと思った。
~前回の適当なあらすじ~
突如現れた熊男は引きこもりまっつんの進化系?だった。
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真継 空。
通称まっつんは、学園カースト第2位。青みがかった黒髪と色素の薄い茶色い瞳の大男だ。
『ヤンパラ』の攻略対象の1人でもある彼は、興味のないことに関しては心の片隅にも気に留めない曲者で、プライベートルームに引きこもる問題児の彼は、引きこもってばかりいてろくに陽にも当たらず、睡眠も食事もまともに取らないから睡眠不足に栄養不足の色白ヒョロヒョロ不健康児……っていう設定だったはずなんだけど――――
それなのにこの……がたいの良い、どちらかというと筋肉質でちょっと日焼け気味のワイルド系熊男がまさかのまっつんだというのか!!?
こんなの僕の知ってるまっつんじゃない!
……確かに顔色悪いし、目の下に隈もあるけれど、でもこんな――――何か違うっしょ!?
長い前髪をカチューシャであげてる姿はなんか男の色気を感じちゃうし、なんか琴吹さんと初めて会ったときのような違和感という名のデジャブを感じる……だいたい顔が強面すぎて冷や汗が止まらないよっ!
「素朴でシンプルな卵サンドイッチだったが、どこかホッとする味だった。また食いたい」
そう微笑んだまっつんは『ヤンパラ』の攻略対象にふさわしく、主人公の琴吹さんに引けを取らない輝きを放っていた。
惚れるかもしれない。イケメン好きの女の子だったら惚れてしまうかもしれない。
だけど僕は男だし、琴吹さんのデラックスBランチを食い荒らしたまっつんに惚れたりなんかしないからね!
僕は琴吹さんの手前、背中に冷や汗を流しながら、虚勢を張って無理矢理心を落ちつかせる。
大丈夫、顔は恐いけどまっつんからは怒りのオーラがでてない気がする。
「……僕の名は天羽結。普通クラスの5年生だよ。……真継君、僕のサンドイッチお口に合って良かった。また食べたいっていうのはひとまずおいといて、君は琴吹さんに言わなければならないことがあるんじゃないかな? 琴吹さんのデラックスBランチ……ほとんど君が勝手に食べちゃったんだよ?」
「デラックスBランチ……?」
嘘だろ。記憶にないのか?
まっつんは自分の足下に転がる空になったデラックスBランチの容器を見て琴吹さんに向き合い、素直に頭を下げた。
「悪かった……。腹が減り過ぎて記憶が飛んでしまったみたいだ」
「いや……もういいよ。今後気をつけてくれれば……」
「あ、ああ」
琴吹さんがぎこちないながらもまっつんに微笑んでみせた。
どうやら平和的に片が付きそうだ。
「まっつんはもっと健康に気をつけるべきだよ! 普段からちゃんと食べてればこんなことにならないし、その目の下の隈だって、まっつんがちゃんと睡眠をとれば――」
ほっとして、興奮状態から気持ちが一気に減速した僕は、勢い余ってまっつんにおせっかい風を吹かし―――
「そのまっつんっていうのは俺のことか?」
「え――?」
自爆した。
「だいたい、なんでお前が俺の日常の不摂生を知ってるんだ?」
「ちょっと待って! 天羽君は彼のことをまっつんと呼ぶのかい? もしかして2人は既に知り合いなのかい?」
琴吹さんが訝しげに僕とまっつんを見た。
まっつんも眉間にしわを寄せて僕を見ている。
やばいっ! 気が抜けて無意識に通称で呼んでしまった! 調子に乗りすぎた!
「違う。初対面だ」
「初対面です! 真継君のことは有名だから噂で知ってました! まっ、真継君、馴れ馴れしく呼んでごめんなさい!」
さっきとは真逆に一気に緊張状態に陥る。
プライベートルームを与えられるほどの学園カースト上位者の名は、学園内でもよく話題に上がるから、直接会ったことがなかったとしても、底辺の僕が彼のことを知っていても不自然ではないはずだ。
だが、それとこれとは別問題である。知っているからといって馴れ馴れしくしていいというわけではない。
土下座でも何でもするから殴るのだけは勘弁してください! not暴力!!
僕はきつく目をつむった。
「……まっつんでいい」
「へ?」
「まっつんでいいと言っている」
「……はい……?」
僕が呆けていると、琴吹さんがその横で高く手を挙げる。
「はいは~い! じゃあ、僕もそう呼ぶ! 僕の名前は琴吹輝。普通クラスの5年生、天羽君の隣のクラスだよ。まっつん、よろしくね」
輝く笑顔でそう言った琴吹さんに、僕は改めて主人公の行動力と心の切り替えの早さをすごいと思った。
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