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第1話 女の子を拾う
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俺の名前はルーグ・アーデレン。冒険者として活動を始めてから三か月ほど経った今年で十八歳の青年だ。今日も今日とて依頼を受けるため、ギルドに向かっている最中だったりする。
依頼掲示板の前でしばらく悩んだ後、俺は一枚の依頼書を手に取った。
【依頼内容】
討伐対象:ゴブリン五体(群れ)
報酬:銀貨二十枚
場所:アゼルカ森林 【詳細情報】
アゼルカの森でゴブリンの群れを発見しました。
このままでは村の作物を荒らされてしまうため、討伐を依頼します。
「よし、これにしよう」
そう呟きながら受付嬢の方へと向かう。
「すみません。この依頼をお願いします」
「はい、かしこまりました……って、またあなたですか?」
俺の顔を見るなり呆れたような顔をする受付嬢さん。いつもの事なので気にしない。
「あー、はいはい。分かってますよ」
「はぁ……。それで、今回も一人で行くんですか? 仲間はいないんですか?」
「仲間ね……」
苦笑しながら頬を掻く。俺は人間不信なのだ。故にパーティを組むことができないし、組む気もない。
「いい加減、誰かと組むことをお勧めしますけどねぇ……。それに、あなたの実力ならもっと上のランクでも問題ないと思うのですけれど」
「いえ、上を目指して失敗するよりは、今のランクで堅実にやっていきたいんで」
「まあ、そういう考えもあるでしょうけど……。若いうちから楽するのに慣れると良くないですよ……」
「忠告ありがとうございます」
軽く頭を下げてからその場を離れる。それからギルドを出て町の外へと向かった。道中は特に何もなく、無事にアゼルカ森林に到着した。さっそく森の奥深くへと進んでいく。そして、奥へ奥へと進むうちにだんだんとモンスターの数が増えてきた。
そこでようやく目当てのゴブリンを発見することができた。数は全部で五体。おそらくこれが今回の依頼の群れだろう。ゴブリンたちは、手に持っている粗末な武器を振り回してこちらに襲い掛かってきた。俺は冷静に魔法を発動させる。
『氷槍』
魔法陣が展開されてそこから氷でできた巨大な槍が出現する。それはまっすぐ飛んでいき、先頭にいた一体を貫き殺した。突然の仲間の死を目の当たりにした残りの四体は慌てて逃げ出したが、それを見逃すはずがない。すかさず追撃を行い一匹ずつ仕留めていく。
最後の一体が絶命したと同時に、周囲に静寂が訪れた。戦闘が終了して少しすると、地面に光の粒子のようなものが集まり始める。これは倒した魔物たちが残した魔素と呼ばれるものだ。これをそのまま放置しておくとアンデッド化する恐れがあるらしい。だからこうして回収する必要があるのだ。俺は光が集まる中心に手を伸ばして掴み取るようにしてそれを回収する。これで今回の依頼は達成だ。後は報告をして報酬を受け取るだけだ。
「よし、帰るか」
俺は来た道を引き返し始めた。そのときだった――
「きゃあああっ!」
女性の悲鳴が聞こえてきた。俺はすぐに声が聞こえた方へと向かう。そこにはゴブリンに襲われている女性の姿があった。女性は必死に逃げているが、どう見ても逃げ切れそうになかった。
「チッ! 間に合えよ……!」
俺は即座に魔法を発動させた。
『氷壁!』
女性とゴブリンの間に大きな氷の壁が出現し、ゴブリンたちの攻撃を防ぐ。さらに続けて別の魔法を放った。
『氷柱弾雨』
無数の鋭い氷柱が発生して降り注ぐ。それらは次々とゴブリンたちに突き刺さり命を奪っていった。
「大丈夫ですか!?」
「は、はい……」
助けられた女性が震える声で返事をする。
「怪我はないみたいですね」
「あの、あなたは……?」
「ああ、すいません。名乗ってませんでしたね、俺の名前はルーグ・アーデレンと言います」
「私はレティシア・ルグリウスです」
「こんな森の奥で何をしていたんですか?」
「それは……、ちょっと薬草を採りに来ていて……」
「そうだったんですね。でも、どうして一人で来ていたんですか? 護衛くらい雇えばよかったのでは……」
「お金が無くて……、それに、私には仲間がいないから……」
レティシアはどこか寂しそうな表情を浮かべながらそう言った。
「そっか……、大変だったんだな」
彼女の言葉を聞いて胸を痛めながら、俺も似たようなものだったと思い出す。
「それで、その薬草っていうのはこれのことかな」
そう言いながら地面を指差す。そこに生えていたのは間違いなく目的の薬草だった。
「あ、はい。そうです。これを探してここまで来て……。まさかゴブリンに襲われるなんて思わなくて……」
「そうだな。俺もこの辺りは何度も通っているけど、ゴブリンの群れを見たのは初めてだよ」
「やっぱり珍しいことなんですか?」
「ああ、本来この森にはゴブリンは生息していないはずだよ」
「じゃあ、もしかして……」
「うん、たぶんだけど、森の中のどこかにダンジョンができたんじゃないかと思う」
ダンジョンというのは、魔物を生み出す不思議な空間だ。中には強力なモンスターが大量にいることもあるため、迂闊に入ることはできない。だが、中にあるアイテムや資源などはとても魅力的で、多くの冒険者が挑んでいる場所でもある。
「とりあえず今日は一緒に町まで戻ろうか」
「はい……。よろしくお願いします」
依頼掲示板の前でしばらく悩んだ後、俺は一枚の依頼書を手に取った。
【依頼内容】
討伐対象:ゴブリン五体(群れ)
報酬:銀貨二十枚
場所:アゼルカ森林 【詳細情報】
アゼルカの森でゴブリンの群れを発見しました。
このままでは村の作物を荒らされてしまうため、討伐を依頼します。
「よし、これにしよう」
そう呟きながら受付嬢の方へと向かう。
「すみません。この依頼をお願いします」
「はい、かしこまりました……って、またあなたですか?」
俺の顔を見るなり呆れたような顔をする受付嬢さん。いつもの事なので気にしない。
「あー、はいはい。分かってますよ」
「はぁ……。それで、今回も一人で行くんですか? 仲間はいないんですか?」
「仲間ね……」
苦笑しながら頬を掻く。俺は人間不信なのだ。故にパーティを組むことができないし、組む気もない。
「いい加減、誰かと組むことをお勧めしますけどねぇ……。それに、あなたの実力ならもっと上のランクでも問題ないと思うのですけれど」
「いえ、上を目指して失敗するよりは、今のランクで堅実にやっていきたいんで」
「まあ、そういう考えもあるでしょうけど……。若いうちから楽するのに慣れると良くないですよ……」
「忠告ありがとうございます」
軽く頭を下げてからその場を離れる。それからギルドを出て町の外へと向かった。道中は特に何もなく、無事にアゼルカ森林に到着した。さっそく森の奥深くへと進んでいく。そして、奥へ奥へと進むうちにだんだんとモンスターの数が増えてきた。
そこでようやく目当てのゴブリンを発見することができた。数は全部で五体。おそらくこれが今回の依頼の群れだろう。ゴブリンたちは、手に持っている粗末な武器を振り回してこちらに襲い掛かってきた。俺は冷静に魔法を発動させる。
『氷槍』
魔法陣が展開されてそこから氷でできた巨大な槍が出現する。それはまっすぐ飛んでいき、先頭にいた一体を貫き殺した。突然の仲間の死を目の当たりにした残りの四体は慌てて逃げ出したが、それを見逃すはずがない。すかさず追撃を行い一匹ずつ仕留めていく。
最後の一体が絶命したと同時に、周囲に静寂が訪れた。戦闘が終了して少しすると、地面に光の粒子のようなものが集まり始める。これは倒した魔物たちが残した魔素と呼ばれるものだ。これをそのまま放置しておくとアンデッド化する恐れがあるらしい。だからこうして回収する必要があるのだ。俺は光が集まる中心に手を伸ばして掴み取るようにしてそれを回収する。これで今回の依頼は達成だ。後は報告をして報酬を受け取るだけだ。
「よし、帰るか」
俺は来た道を引き返し始めた。そのときだった――
「きゃあああっ!」
女性の悲鳴が聞こえてきた。俺はすぐに声が聞こえた方へと向かう。そこにはゴブリンに襲われている女性の姿があった。女性は必死に逃げているが、どう見ても逃げ切れそうになかった。
「チッ! 間に合えよ……!」
俺は即座に魔法を発動させた。
『氷壁!』
女性とゴブリンの間に大きな氷の壁が出現し、ゴブリンたちの攻撃を防ぐ。さらに続けて別の魔法を放った。
『氷柱弾雨』
無数の鋭い氷柱が発生して降り注ぐ。それらは次々とゴブリンたちに突き刺さり命を奪っていった。
「大丈夫ですか!?」
「は、はい……」
助けられた女性が震える声で返事をする。
「怪我はないみたいですね」
「あの、あなたは……?」
「ああ、すいません。名乗ってませんでしたね、俺の名前はルーグ・アーデレンと言います」
「私はレティシア・ルグリウスです」
「こんな森の奥で何をしていたんですか?」
「それは……、ちょっと薬草を採りに来ていて……」
「そうだったんですね。でも、どうして一人で来ていたんですか? 護衛くらい雇えばよかったのでは……」
「お金が無くて……、それに、私には仲間がいないから……」
レティシアはどこか寂しそうな表情を浮かべながらそう言った。
「そっか……、大変だったんだな」
彼女の言葉を聞いて胸を痛めながら、俺も似たようなものだったと思い出す。
「それで、その薬草っていうのはこれのことかな」
そう言いながら地面を指差す。そこに生えていたのは間違いなく目的の薬草だった。
「あ、はい。そうです。これを探してここまで来て……。まさかゴブリンに襲われるなんて思わなくて……」
「そうだな。俺もこの辺りは何度も通っているけど、ゴブリンの群れを見たのは初めてだよ」
「やっぱり珍しいことなんですか?」
「ああ、本来この森にはゴブリンは生息していないはずだよ」
「じゃあ、もしかして……」
「うん、たぶんだけど、森の中のどこかにダンジョンができたんじゃないかと思う」
ダンジョンというのは、魔物を生み出す不思議な空間だ。中には強力なモンスターが大量にいることもあるため、迂闊に入ることはできない。だが、中にあるアイテムや資源などはとても魅力的で、多くの冒険者が挑んでいる場所でもある。
「とりあえず今日は一緒に町まで戻ろうか」
「はい……。よろしくお願いします」
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