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ある日のことです。ぼくは学校の授業を受けていました。

「りょうたくん! りょうたくん! 」

隣の席のみかちゃんが、ぼくに話しかけてきました。

「何、みかちゃん?」

「あのね、今日は授業参観があるんだよ!」

みかちゃんは、ワクワクしながら言いました。

「みかちゃんのお父さんとお母さんが見に来るってことだよね」

「うん! 楽しみなんだ」

「そうだね」

ぼくも、お父さんとお母さんに見に来て欲しいと思っていました。でも、お父さんは仕事で来れないかもしれません。それは寂しかったです。でも、ぼくにはせいぎのみかたがいます。せいぎのみかたは、きっと来てくれるはずです。

「りょうたくんのお父さんとお母さんは、どんな仕事をしているの?」

「うーん……普通のサラリーマンだよ」

「そうなんだ! うちのお父さんと同じだね」

「うん。そうだね」

「私のうちのお父さんも、普通のサラリーマンだから、りょうたくんの気持ち分かるかも」

「そっか」

ぼくたちは、お互いの家族について語り合いました。

「みかちゃんは、お父さんと仲が良いの?」

「いいよ。でも、最近は喧嘩ばっかりだけど」

「どうして、お父さんと喧嘩ばかりするの?」

「お父さんが、私のこと女の子らしくしろってうるさいの」

「そうなんだ」

ぼくは男の子らしいと言われます。せいぎのみかたは、ぼくのことを、男らしいと言ってくれます。ぼくは、お父さんみたいになりたいけど、まだまだ難しいみたいです。

「りょうたくんは、お父さんとお母さんのどっちに似てるのかな」

「ぼくは、お母さん似だって」

「お母さん、美人さんだもんね」

「うん。ありがとう」

「りょうたくんのお母さんも、優しい感じがするの」

「ぼくの自慢の母さんなんだ」

ぼくは、お母さんが大好きなのです。
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