脳筋が魔法使いじゃおかしい世界なんて大嫌いだ!!

Impulse

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何処からか聞こえる声

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 今凄い気まずい。
 隣にものすごい目で睨んできているクラウドは、[光魔法科]の偉い生徒らしい。偉いというのは良く分からない。
 周りから、「クラウド先輩カッコいい」とか「なんでクラウド先輩とあいつが?」とか、どこかで聞いた事のあるフレーズが数多く聞こえてきた。
 その度に、教室などから鋭い目線を感じる。俺はクラウドと一緒だとか思った。
 どんどんクラウドは俺から離れていく。俺はついていこうとするが睨まれる。

「なあ」
「喋りかけるな脳筋」

 冷酷な表情で言う。
 嫌われてるなと理解した。でも理由は理解できなかった。
 あと脳筋という呼び名。意味は分からないが、けなされている気がする。
 そうすると、周りの教室から「脳筋だって」とか「脳筋とかうけるわー」とか「クラウド様パフパフ」とか聞こえてきた。全部意味わからんが、最後のに関してはやばいだろ。そんな気がした。
 そんな事をしていると、前からおなじみの顔が見えた。
 たぶん先生の格好をしているフィーナだった。

「あ、今日赴任された―――」
「テスタ!」

 そう言って、紳士的? な対応をしたクラウドを無視し、俺に抱き着いてきた。
 すっごいいい匂いがした。優しい感触が俺を奮い立たせる。
 そしてクラウドの強烈な目で睨まれ体が震える。無視されたことに怒っているのだろう。
 そうして、俺も抱きしめた。もちろん抱き返したというべきだろう。
 竜人なので角があるが、今は消していた。
 抱き返すと、甘える声で「てぇすたぁ」と言ってきた。どう自分の感情を表せばいいが迷ったが、とにかく気持ちいい。
 そんな事をしていたら、クラウドがいなくなっていた。
 見渡してもどこにもいなく、二人取り残されてしまった。

「フィーナはどこに行ってたの?」
「え?………ああ、私が担任になった教室にね。」
「そっか。てか行っちゃったよ。ぷ、ぷろぐれむ? ってとこに行かないといけないのに………。」

 そう言うと、フィーナは満面の笑みを浮かべた。
 とても………うん。分からない。

「そうなの!? 私プログレムの担任になったの。一緒だね!」
「じゃあ連れてってよ」
「冷たいなぁ。じゃあ行こ」

 そう言ってフィーナは前に進み始めた。
 背中にはちっちゃい羽がある。角は消せるのだが、羽は小さくすることしかできない。だからパタパタしていても邪魔にはならない。小さくすると羽が良く動いている。


『ねえ、来て』

 そう聞こえたのは、ちょうど一階下に降りた時だった。
 頭に直接語り掛けてきているようだった。前にいるフィーナは何も反応しない。
 俺はその声がどこから来たものか分からず、困惑してしまった。
 俺は足を止めたが、フィーナは気付かず歩いて行ってしまった。さっきフィーナとはぐれたのもそれが原因だ。
 さあ一人になった。迷いに迷った結果、話しかけることにした。
 何処にいるかも分からない人に。人かも分からない。

「誰?」
『ねえ、来て』

 そいつはそれしか言わなかった。
 何処に来てほしいのかも言わずに、ずっと『ねえ、来て』とばっか言っている。
 俺はもっと困惑する。
 誰にも聞こえていないのだろうか。
 まず周りに人がいない。じゅぎょうというものが始まったのだろう。とても静かで人がいない。
 そんな中俺は誰か知らない奴と会話していた。

「どこに? てか誰?」
『ねえ、来て』
「だからどこに!?」

 流石に苛立ってくる。
 何処から聞こえているか分からない声に、踊らされている。
 しかも俺が喋りかけないと何も言ってこない。迷惑な事だ。
 そっちから話しかけてきたのに、理不尽だろ。
 無用な要件なら話しかけてくんなって。てか俺今置かれている状況の理解が出来てないんだが。

「行くから。場所を教えてくれ。」
『一番下に来て。階段降りればわかる』
「わーたよ」

 俺はゆっくりと階段を下りていく。
 俺は怪しいとは思わなかった。女の子の声だった。おとなしい声だった。か細い声だった。
 フィーナによく言われている。助けを求める人がいたら、絶対に助けなさいと。俺はそれを間違っているとは思わない。絶対にいいことだと思っている。
 でも困惑はしていた。経験が無いことは怖い。森にいた俺にとって初めてばっかりだ。こういう事も経験している人が多いのだろうか。――いません。


 階段を下りて行っても、何故か下につかない。
 ずっとずっとつかない。永遠と階段を下りている。
 流石におかしいと思いだす。ここまで高い学校ではなかったはずだ。俺は2、3階にいたはずなのだが、永遠と下り続けている。
 てか階段しかない世界になっている。道が無く、ずっと階段だ。

「おーい」
『……………』

 話しかけても応答が来なくなってきた。
 戻れるかも心配だ。一生ここにいるかもしれない。
 それでも俺は下に降り続ける。
 友達と魔法を求めてきたのに、永遠の階段は求めていない。
 今日は災難だらけだ。滅茶苦茶睨まれたり、友達じゃなくなったし。いや、もともと友達じゃなかったのか。
 
 下に行くうちに、どんどん力が高めってくる気がする。
 魔力かどうかは分からないが、そんな気がする。
 でも下は見えてこない。てかずっと同じ場所を通っている気がする。

(いっその事上行くか)

 逆転の発想だろう。
 だって下に行ったら道が見えない。だとしたら、上に行ったら道が見えてくるんじゃあないか。そう考えた。
 でも階段を上がるほどの気力はない。
 ではどうする。下に言っても無駄。上に行けない。ここで待ってても助けは来ないだろう。―――手が無い。
 でも俺は脳筋だ(本人は知らない)。物理的に解決するしかない。
 足は痛いのなら動かなければいい。無限に着かないのなら、無限を続ければいい。
 俺はこっから落ちる。
 階段と言っても、周りを守る柵などはない。周りは無空間だ。
 下に着かないとしたら、一生無空間に落ち続けるのだろうか。
 策が無い今、これしか方法が無いと思う。

 いざ飛び降りるとするとちょっと怖い。
 最後に謎の声に喋りかけてみる。

「おーい………」
『………』

 返答は来ない。
 まあ知っていた。
 てかここに来させたのが謎の声という証拠もない。
 何かに巻き込まれて、一番下にこれないだけかもしれない。
 ここに連れてきたのが謎の声だとすれば、一番下があるということだ。
 ならもう着いてておかしくないはずだ。
 あんまり頭を使わない俺がいきなり頭使ったから疲れる。
 さあ行こう。無限に続く真下へ。―――ださいな。
 でもやっぱり怖い。
 本当に下が見えないのに、落ちたら床がありましたとか、シャレにならない。
 でもやっぱり行かないといけない。
 俺は勇気を出して、その場から飛んだ。

「うぁあああああああああああああああああぁ」

 やっぱり高所恐怖症にはきつかった。
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