転生転移を司る女神は転生する

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勇者殺しの機械

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選抜式が一通り終わり、来週に剣魔闘技祭という頃。

一大式ということもあってか、学内の飾り付けに一年生は借り出され、他学年はお店の支度をテキパキと進めていた。

「メェルアー、そこの葉っぱをとってください」

「ん」

相変わらずのんびりとしたメェルアーは三年黒組の飾り付けを手伝っていた。

「まさか担当を先輩達の組にしてもらえるなんて」

「私が頼み込んだのよ。当日は四ヶ国で開催される国際的魔導祭に呼ばれてるから参加できなくてね…メェルアー成分の補充!」

「しゅせきせんぱいにそういわれるとうれしい」

「でも良かったのですか?この交渉をする為だけにアイアンベリー商会関連の事柄を一つ進めたって聞きましたわ」

アイアンベリー商会が一つ商談を終わらせると国が傾くと言われるほどもたらされる益はでかい。
逆に進めばそれだけの繁栄が望めるのだ。

「なーに、四等品以下学生証提示で一割引きなんて大したことないさ。なんなら勇者割でメェルアー君は五割引いちゃおうかな」

「それは助かる。ぜひわたしのいた礼拝堂にわりびきでおろしてほしい」

「ちょ、メェルアー調子にのらないの」

「そこの4人、無駄話をさせるためにこの配役を与えたわけではない。作業をしっかり進めろ、学生行事は授業より価値が高いものだ」

剣魔闘技祭を使って校内に一般人を入れるのは今年初の試みらしく、例年はアリーナのみの出店すらないものだったらしい。

そのせいもあってかムリアスは頻繁に各階、教室を見て周り進行状況の確認をしている。

「大丈夫、飾りはもう終わる」

「そうか。まぁオレンズ君は選手だからな、当日まで体調には気を使うように」

そう言い残すと颯爽と消えていった。

「会長やっぱかっこいい。私も来年立候補するからメェルアーよろしくね」

「しゅせきせんぱいがとっぷをとれるようにがんばる」

「アーフェいる?ちょっと飾り作る人足りないから頼める?」

エンリアルがアーフェリアを呼び出しアイアンベリー先輩も一緒に着いて行った。

「ちぇー、2人だと本格的にサボれなくなる」

「たしかに。わりとうえにてをあげるのはたいへん」

「疲れるよねー、私も腕鍛えるために大剣を空中でずっと持ってたけど次の日ったら苦痛でもうね」

「そんな訓練しないといけないのか、わたしはこんかいゆうしょうをめざしているから参考にする」

「一年生の動きは全部把握しているけどメェルアーなら勝てる!主席先輩が言うから間違いない!」

「いや、私は全学年のトップを倒すつもりでいる」

その言葉にニヤリと口元を歪める主席先輩。

「良いね、そうでなくっちゃ!ふふははは!!!やはり私の座を継げる人間はオレンズ君!君しかいないよ」

「会長のモノマネ下手。もっとこうださいかんじがたりない」

「まぁまぁ、でも行ける。なんせ私が一年生の時にそれを成し遂げたからね」

「わぉ主席先輩はやはりいじげんのおかただった」

「そんな凄いことないって、ちょっと剣才に長けてただけ。ほんとは剣術学園の方に行きたかったんだけどね」

「そっか、ケンサイをみがくならそっちのほうがりにかなう」

「親がね、私の家言ってなかったと思うけど。魔術の大手系譜なんだ。ワードルズ家は代々魔術を生業に生計を立てていた。だから今の時代だとちょっと価値観が違うよねって思った私は剣も極めてオールラウンダーを目指すことにしたんだ」

「そういえば魔術適性オールAってさいしょにいってたような」

「魔法適性ね。私撃てないのよ、道具経由じゃないと魔術が」

「なるほど、っておどろいた」

驚いたと言う割にあんまり変化のないメェルアー。

「辛気臭くなってごめんね。はっははー、私は最強のオールラウンダーだ!飾り付けをとっとと終わらせてしゃべりたおそー!!」

「お、おー」

一日中飾り付けとお喋りの連続でメェルアーは部屋に入るなり倒れ込んだ。

「むぇ…」

「どうしたのですかメェルアー、そんな普段出さない様な声を出して」

「しゅせきせんぱいから剣技ならいすぎた」

「そういえば飾り付けしながら計り器で遊んで2人とも怒られていましたわね」

「わたしのわざは洗礼されているし綺麗でとても貴賓をかじる?し弱々しいといわれた。だから力をなくして相手をぶちのめすわざをもらった」

「お手本通りってことですわ。だからカウンターなどの相手の勢いを使った技の伝授をしてもらったのですね、言ってもらえれば私も教えましたのに」

「うんこんどたのむ」

「はぁ、まったくですわ。ほらメェルアー服を着替えて布団の方に乗りなさい。ここは通路ですわ」

「まりょくぎれよりもつかれる、これがぞくにいわれる気疲れか」

「普通に1日はしゃぎすぎただけです。私も貴女と同じでクタクタですわ」

「明日も同じことをすると思うときがとおくなる」

「メェルアーは選手でしょ?自主練の為なら抜けれるのですし、せっかくならワードルズ先輩とやってみては」

「よのなかそんなにあまくない、ワードルズ先輩は遠いところ行くからあしたからもうしたく」

「そうでしたわね。私も本当はそっち側にお呼ばれしていましたが、メェルアーの勇姿を見届けたいので辞退しましたの」

「それはわるいことをした、でもそれなら期待に応える為にもぜんりょくをつくす。アラミシアのためにも…」

「メェルアー、」

「いや言わなくて大丈夫。この剣魔闘技祭の裏でいろいろなことがおきているのはしってる。選別式ではわたしとおなじかおをした魔王軍をなのるひととたたかったし」

「それは本当ですの?!ムリアス会長や先生に伝えました?」

「むり。向こうはそう思わせる動きをふだんとっていないとみえる。私と似た顔をした一年生がいるのにここまで何もなかったことを考えると、相手はひとすじなわじゃない」

「相手は何か言ってませんでした?勝ち負けに関わる事で」

「私を負かせる、私を倒せば崩壊がとまるって」

「崩壊?メェルアーが負けることにより止まる崩壊、王位争いですわ…つまり魔王軍と思われる組織の動きとあの下賤な貴族どもは繋がりがない。ですが、それは敵が増えるだけではありませんか」

「私が思うに、魔王軍は勇者としての在り方を終わらせようとしている」

「貴族連中も同じですわ。他国狙いですわねきっと。自分の国から勇者が出て欲しいから今の勇者には消えてもらうと」

「なるほど、国王が私を国交のきりふだにしたように他国もそれをねらっていると」

「そうなりますわね。特に王というより貴族ですわ、勇者候補を身内にすれば王族に取り入る隙ができますもの」

「だとすると、わたしはいまとてもきけんなたちばってこと?」

「だからムリアス会長や先生に相談したか聞いたのですわ!それから伏せて!」

「もう寝姿勢」

地面に這いつくばったアーフェリアの上を斬撃が横切る。

突然の襲撃に対して寮は混乱を極めた。

明かりが消され、煙幕が立ち込めて物々しさを一層に高めている。

「あれは、ウィルンズ王国の殲滅機器兵団ですわ?!でも、まさかそんな」

ガラスの仮面に黒い外套。

かつての魔王に一撃を入れたとされるウィルンズ王国の勇者愛剣、ラヴィンズソードの粉末が練り込まれた弾丸を撃てる銃。

『ユウシャを殺せ、魔兵装Bまで使用許可受理』

壊れた窓から見える無機質な赤い目、咄嗟に隠れたクローゼット内からでも見える異質な存在。

「(最初の技は空間ごと消し去る様な一撃、灯りが消えたのは強力な魔力、煙は科学的なもの)」

疲れ果ててメェルアー本体が眠りについた分、女神がフル稼働をし始めた。

「アーフェ、私が出るからここに隠れてて」

「だめよ…ウィルンズ王国は技術がとても高くて、あの装備一つについてもって」

ばん!とクローゼットを開けて背中の空いた殲滅機器兵に魔術を放った。

「勇者の名を持って魔術を行使します"爆滅"」

『殲滅対象確認・座標転送中ガガガ__交戦中ガガガ___』

寮内での行使ともあり破片の散らない魔術を放ったメェルアー。

「爆滅だと少し弱いですが、これじゃないと周りを巻き込みますね」

魔術の当たった部位は抉れ、中から回路が露出しているものの行動に問題はない様だ。

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