転生転移を司る女神は転生する

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剣魔闘技祭8

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一年の部が終わり、メェルアーは控え室に戻っていた。

「ゆうしょう、やった……やったよアラミシア」

剣を持ち疼くまるメェルアー。
涙を流し、歯を食いしばるように悲しみを噛み殺す。

「もうすこしで助けに行けるから」

開け放たれた扉からエンリアルとアーフェリアが顔を覗かせる。

「優勝者がそんな顔をしてどうするのですか」

「そうだぜメェルアー、まったく勝ったのに無表情で会場去るからスタッフ側もあたふたしてたぜ」

「ふたりともありがとう。すこしきをとりみだした」

涙を拭き軽く伸びをしていつも通りに戻るメェルアー。

「最後すごかったよな、メェルアーの剣は折れたままバロバロの眼前に。バロバロはメェルアーの掌に剣を突き刺したままで降参って」

「ですわね、きっと回避能力と魔力量というアドバンテージを掻い潜って、メェルアーが一矢入れたことに負けを認めざる得なかったのでしょう」

「でも良かったのかな、私の剣が折れてなければというけっかろんなきもする」

「メェルアーは止めたんだろ?あのまま刺せたのを、それに気付けないほどの間抜けが上まで来るとは思わない」

「たしかに、あのまま魔剣にしてたらころしていたかもしれないし」

「優勝おめでとうメェルアー•オレンズ君。まだ会場は沸き立ったままだ、君がトロフィーを受け取るのを待っている」

「ムリアスかいちょう。とりあえずいってくる」

メェルアーは控え室から闘技場の方へ消えていった。

「2人は気付いて居るだろうが、カナール嬢が消えてからのメェルアー•オレンズは情緒が安定していない。優勝という目的を果たした今、支えになるのは2人しかいない」

「あぁ、わかってる」

苦虫を噛み潰したような顔をするエンリアル。

「エンリアル……ムリアス会長、メェルアーのことは任せてください」

「兄貴、いやなんでもない」

「そうか、では私は見廻があるので失礼するよ。何かあれば教えてくれ」

「ふぅ……エンリアル、こっちに来なさい」

アーフェリアが椅子に座り、手招きをする。

「姉貴を止める手段が見つからない、昨日提案したのは全部却下された」

膝に頭を乗せ、すこし悔しい顔をするエンリアル。

「姉貴のことで頭がいっぱいだったのにメェルアーまであんなふうだと俺だって……」

「エンリアルは優しいから、だから悩めるのですよ。なので貴方のことは私がちゃんと支えます、壊れてしまう前にこうやって吐き出してください」

「ごめんよアーフェリア…」

「大丈夫ですから。それにメェルアーの事を解決するにも義姉様のことを解決するにも、ウィルンズ王国です。別々の問題に見えて同じ問題ですよ」

「ありがとう、ありがとう」

アーフェリアの膝枕でそのまま眠るエンリアル。




全決勝戦が終わり、騒がしかったアリーナも少しは落ち着いたようだった。
スカウトマンが選手に声かけをしたり、貴族達がつまらない政治話に花を咲かせたり。

「明日の上級生をぼこす会が来るまで、何をするか」

メェルアーは買い与えられた串などを食べながらアリーナ席に1人いた。

表彰式が終わってから二年生以降の試合をずっとアラミシアが座る予定だった席で見ていたのだ。

「うん、おいしい。きっとアラミシアも居たらいっしょにけんきゅうしながら見れてたのかな」

涙が頬を伝う。

「いけない、アラミシアもがんばっているからわたしも頑張らないと。ゆうしょうして力を誇示したうえで、確実にウィルンズ王国をほろぼす」

「それがいいよお姉ちゃん。アラミシアのために頑張ろう」

「マリアス、どうだった?ラズバ国は」

「弱いよ。だって相手は人だよ?」

「そっか……なんかふくざつなきぶん」

「ついでにカー帝国の戦力もけっこう削いだよ。まおうはかーていこくのとちが欲しくてたまらないんだよ」

「それは勇者のいる国にちかいから?それともなにかあるわけ」

「それはないしょ。あ、そうだお姉ちゃんにコレあげる。勇者原本勝手に全巻借りていったお詫び」

金色の短刀と銀色の短刀。
メェルアーはどこか見覚えがある気もしたが短刀の方から、拒否をされたような気持ちを覚える。

「マッスヤンもなくなってた、でも許そう。なにこれ」

「よく分からないけど、見つけた双剣。なんとなくお姉ちゃんにあげないとっておもった」

「ありがとう。でも銀色の方はマリアスが持ってて、対剣は結びつきを強くする」

「わかった。護身用にとっておく」

「それとこれあげる。いっぱいもらってたべきらないから」

肉串をマリアスの口に入れるメェルアー。

「よこすわるよ。しまいなのにこうやってゆっくり過ごす時間がないね」

「そもそもどうしてしまいなのにばらばらに?」

「赤ん坊で捨てられて、礼拝堂に拾われたはいいけど、私の場合はその後本家からひきもどされた」

「ほんけ?つまりえらい家系だったって事?」

「そういうこと。相続問題でイザコザが発生していたみたい。お姉ちゃんはその時、生死を彷徨う怪我を負っていて引き取るのを拒否されたから私だけ本家に」

「なるほど、それで私だけ」

「がっこうであったのは奇跡としかいいようがないけど。お姉ちゃんが勇者に選ばれた時点で接触することはきまっていた」

「私の家は魔王の眷属なの?」

「眷属とかではない、でも良き時代のために御先祖様がおこなったこういがうらめにでた感じかも」

「マリアス、わたしときょうとうしてせかいをたださない?まおうぐんでもゆうしゃぐんでもなく」

「そのていあんは嬉しいけど、もうすでに人を殺している私はそちら側に戻ることはできないよ」

「戦争が起きれば私だっておおぜい殺すことになる、先か後かだよ」

「お姉ちゃんらしいいけんだね。わかった、かんがえておく」

それからは一言も交わさない時間が続いた。
喋らなくとも意思疎通が出来ているようなそんな時間を過ごしたメェルアー。

「わたしはカー帝国と協定についてのはなしあいをしてくる」

マリアスが立ち上がる。

「この国の敵になるってこと?」

「むこうがもうしでてきただけ。カー帝国と組むメリットなんてないからね」

「ならよかった。マリアスと殺し合いになるのはほんいじゃない」

「魔王軍と勇者軍で割れている以上、どこかでやりあうのは必然。そのあまさをけさなければまおうにはかてないよお姉ちゃん」

マリアスは霧のように消えていった。

「マリアス…」
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