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ムノ
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非依存性物
簡単、明確。とりあえずそう述べればコイツやるな、とか思わせれると思う。「そこの君、そんな危ない物やめないか」そう言って殴られた。なんだ、彼らには私が妖怪にでも見えるのか。「やめたほうが身のためだ。辞めるだけ、簡単だろ?」
脳味噌をぶちまけたようなコンクリートの地面にのたばる。脳味噌は灰色と聞いたから間違いはない。それにぶちまけたのは硬い地面ってわかるだろ?臭い匂いは路地裏の恋人のような物、今更増えても問題はない。「おぇ」腐敗物の詰まったソーセージに吐きかける。正確には皮だが。
明日の天気を聞かれたら晴れと答える。根拠はない、今日が雨でも晴れでも晴れって答える。晴れと思い込んでいる方が気分がいいから。思い込みから覚めて失望しないか?それはない、雨なら雨で明日は晴れるさと思えばいい。
夕暮れ時の太陽は、赤に点滅する魂、をのせた白色の箱、が立てる騒音に黄昏る時間を邪魔された。そのことに怒るように雨を降らす。夕暮れの色は消え、涙は雨に紛れてしまう。白い箱も横を素通り消えて行く。
古い小説は好きか?と尋ねられる。好きか嫌いかなら好きである、ではどこが好きかと言われれば人と変わるかも知れないが、あの香りが好きなのだ、開いた時の埃っぽさと触り心地、色褪せてセピア色に煌めく紙質ときたら。その男は一冊の本をくれた、御礼だそう。あいにく私には一銭もないのでアレを渡しておいた。もう要らないものだ。
男から貰った小説を読んだ。ページはボロボロで文字は擦れている。焼けもひどく本当に火に焚べたと言わんばかり。内容は推理物だった。
登場人物のページは普通に読めた。有名セレブの乗った船で殺人が起こり、たまたま居合わせたウェイターが無実を証明する為に知恵を絞りなんてありふれた物だ。ウェイターの生い立ちが0歳から21歳まで明確に書かれているが、正直言ってこの場面は要らないだろ。それから殺されたセレブ、最初から死ぬまで嫌味しか言っていない。コイツが死ぬと明確に示されているような物だ。これではつまらない、推理小説は誰が何で死ぬかから始まるのだ。
しばし読み進めると面白い展開が見えてきた。ウェイターと殺されたセレブの首には同じ位置にホクロがあった。そうか、あの過去話が伏線だったのかと感心を得た。それに嫌味も立て続く殺害予告に精神を押し潰されての事、言うなれば事前にそうなるように仕組まれた罠だ。
一旦閉じよう。今日は帰宅するのが最優先だ。太陽も顔を出すのが億劫になって隠れてしまったし。いつもの公園横をすり抜けて、いつものコンビニに入る。帰宅が優先と言いながらも明かりには釣られる。暗がりに指す明かりが全て誘蛾灯に見える、そう私は蛾なのだと思う。
店内はこの時期に相応しい温度の空調だった。入ってすぐの入店音に店員の怠けた声が響く。私もかつては色々な国を体験した身だ、腑抜けていいタイミングや悪いタイミングを掴んでいる。このアルバイターはその点、プロだろう。私のような社会的弱者の時はその手を緩める呑気にゲームである。
トイレを借りたが石鹸が切れていて手が洗えない。詰まった物を無理やり流そうと押しやったせいで暖かいアレに触れてしまった。臭いが取れないと不審がられる。そんな時は商品を開ければいい、アルバイトの男は確か自由に使っていいからと呟いていた。ただ本部とやらに連絡がいるらしい、でもなんの悪戯か今彼は僕と入れ違いでトイレに入って寝ている。どうしたものか。
手を洗うのは諦めて家の方へ向かう。薄暗い住宅地にぼんやりと燃ゆる街灯はとてもありがたい。走り回る子供達も元気そうだ。一つ抜けるたびに身体は重身を増して行く。まるで肉をたくさん買った日みたいだ。帰宅してすぐに手を洗った。また汚れてしまったからね、鉄の匂いだけはどうも取れない。
目が覚めると朝になっていた。昨日はそのまま寝たみたいだ、腐った匂いのするこの家から出ないといけない。ハエやらが湧いてとても過ごせる場所ではない。なぜ帰らないとなんて思ったのか不思議でならない。もしかしたらあの誘蛾灯のせいかも知れない。原因が分かったら即座に対処しろと大人になるまでに散々と言われた、だからこれはその対策である。
街に出ると知らない国の人に道を聞かれた。英語は苦手だがちゃんと案内をした。最後の方は少し揉めたけど、言語の壁があるから仕方ない。そもそも郷に行っては郷に従うすら出来てない向こうが悪い。
日本人はよく寛容と言われる、言われてるだけだ。実際は嫌われたくないから取り繕って生きて行く。排他的では無い、優しさに触れるには優しさしか無いのだ。
どうやら昨日の朝から今朝までこれは持つようだ。突然視界が開けて驚き、腰を落とした。またアレをして私は落ち着いた。そうだ、私の使命はこれを彼らに与え彼等もあの苦しみから逃れられるようにするというもの。いつもの裏路地は黄色いテープで封鎖されていた、ヒソヒソ話の中にヒントはあったが起きた事件に首を入れても好い事はない。昔から免罪を押し付けられてきたから。違う路地裏ならいるかも。
案の定、昨日とは違うけど同じ人達だ。「それをやめよう、体に良く無い」緊張で声が裏返った。気持ち悪い笑顔でこちらをみる売り手と買い手。彼等も通じたのか僕の持ってる物を奪うように取って飲み干した。奪ってまでしなくても、あげるつもりだったのに。
簡単、明確。とりあえずそう述べればコイツやるな、とか思わせれると思う。「そこの君、そんな危ない物やめないか」そう言って殴られた。なんだ、彼らには私が妖怪にでも見えるのか。「やめたほうが身のためだ。辞めるだけ、簡単だろ?」
脳味噌をぶちまけたようなコンクリートの地面にのたばる。脳味噌は灰色と聞いたから間違いはない。それにぶちまけたのは硬い地面ってわかるだろ?臭い匂いは路地裏の恋人のような物、今更増えても問題はない。「おぇ」腐敗物の詰まったソーセージに吐きかける。正確には皮だが。
明日の天気を聞かれたら晴れと答える。根拠はない、今日が雨でも晴れでも晴れって答える。晴れと思い込んでいる方が気分がいいから。思い込みから覚めて失望しないか?それはない、雨なら雨で明日は晴れるさと思えばいい。
夕暮れ時の太陽は、赤に点滅する魂、をのせた白色の箱、が立てる騒音に黄昏る時間を邪魔された。そのことに怒るように雨を降らす。夕暮れの色は消え、涙は雨に紛れてしまう。白い箱も横を素通り消えて行く。
古い小説は好きか?と尋ねられる。好きか嫌いかなら好きである、ではどこが好きかと言われれば人と変わるかも知れないが、あの香りが好きなのだ、開いた時の埃っぽさと触り心地、色褪せてセピア色に煌めく紙質ときたら。その男は一冊の本をくれた、御礼だそう。あいにく私には一銭もないのでアレを渡しておいた。もう要らないものだ。
男から貰った小説を読んだ。ページはボロボロで文字は擦れている。焼けもひどく本当に火に焚べたと言わんばかり。内容は推理物だった。
登場人物のページは普通に読めた。有名セレブの乗った船で殺人が起こり、たまたま居合わせたウェイターが無実を証明する為に知恵を絞りなんてありふれた物だ。ウェイターの生い立ちが0歳から21歳まで明確に書かれているが、正直言ってこの場面は要らないだろ。それから殺されたセレブ、最初から死ぬまで嫌味しか言っていない。コイツが死ぬと明確に示されているような物だ。これではつまらない、推理小説は誰が何で死ぬかから始まるのだ。
しばし読み進めると面白い展開が見えてきた。ウェイターと殺されたセレブの首には同じ位置にホクロがあった。そうか、あの過去話が伏線だったのかと感心を得た。それに嫌味も立て続く殺害予告に精神を押し潰されての事、言うなれば事前にそうなるように仕組まれた罠だ。
一旦閉じよう。今日は帰宅するのが最優先だ。太陽も顔を出すのが億劫になって隠れてしまったし。いつもの公園横をすり抜けて、いつものコンビニに入る。帰宅が優先と言いながらも明かりには釣られる。暗がりに指す明かりが全て誘蛾灯に見える、そう私は蛾なのだと思う。
店内はこの時期に相応しい温度の空調だった。入ってすぐの入店音に店員の怠けた声が響く。私もかつては色々な国を体験した身だ、腑抜けていいタイミングや悪いタイミングを掴んでいる。このアルバイターはその点、プロだろう。私のような社会的弱者の時はその手を緩める呑気にゲームである。
トイレを借りたが石鹸が切れていて手が洗えない。詰まった物を無理やり流そうと押しやったせいで暖かいアレに触れてしまった。臭いが取れないと不審がられる。そんな時は商品を開ければいい、アルバイトの男は確か自由に使っていいからと呟いていた。ただ本部とやらに連絡がいるらしい、でもなんの悪戯か今彼は僕と入れ違いでトイレに入って寝ている。どうしたものか。
手を洗うのは諦めて家の方へ向かう。薄暗い住宅地にぼんやりと燃ゆる街灯はとてもありがたい。走り回る子供達も元気そうだ。一つ抜けるたびに身体は重身を増して行く。まるで肉をたくさん買った日みたいだ。帰宅してすぐに手を洗った。また汚れてしまったからね、鉄の匂いだけはどうも取れない。
目が覚めると朝になっていた。昨日はそのまま寝たみたいだ、腐った匂いのするこの家から出ないといけない。ハエやらが湧いてとても過ごせる場所ではない。なぜ帰らないとなんて思ったのか不思議でならない。もしかしたらあの誘蛾灯のせいかも知れない。原因が分かったら即座に対処しろと大人になるまでに散々と言われた、だからこれはその対策である。
街に出ると知らない国の人に道を聞かれた。英語は苦手だがちゃんと案内をした。最後の方は少し揉めたけど、言語の壁があるから仕方ない。そもそも郷に行っては郷に従うすら出来てない向こうが悪い。
日本人はよく寛容と言われる、言われてるだけだ。実際は嫌われたくないから取り繕って生きて行く。排他的では無い、優しさに触れるには優しさしか無いのだ。
どうやら昨日の朝から今朝までこれは持つようだ。突然視界が開けて驚き、腰を落とした。またアレをして私は落ち着いた。そうだ、私の使命はこれを彼らに与え彼等もあの苦しみから逃れられるようにするというもの。いつもの裏路地は黄色いテープで封鎖されていた、ヒソヒソ話の中にヒントはあったが起きた事件に首を入れても好い事はない。昔から免罪を押し付けられてきたから。違う路地裏ならいるかも。
案の定、昨日とは違うけど同じ人達だ。「それをやめよう、体に良く無い」緊張で声が裏返った。気持ち悪い笑顔でこちらをみる売り手と買い手。彼等も通じたのか僕の持ってる物を奪うように取って飲み干した。奪ってまでしなくても、あげるつもりだったのに。
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