邪剣を片手に、呪いを身体に

ソラ

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第七話 狙い通り

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ザクッ!

よし!奴は狙い通りリュータに攻撃を仕掛けた。そして奴のダガーがリュータの盾に引っかかった!

ここまでは計画通り。そして最後だ。

「これで終わりだ!!」

劇薬の瓶を奴に向け、かけようとする。しかしそこで異変に気づく。中身が出てこないのだ。

クソ!中身をさっきの戦闘で使い過ぎてしまったんだ!距離があるここからだと短刀は使えない。これではどうしようも・・・!


あった!!正直、俺が持ってきた短刀は投擲に向いていないが、ダガーなら!!

ビュン!風が切る音がした。投げつけたダガーはまっすぐ奴の横腹に刺さる。

奴は呻き声をあげ、その場で崩れ落ちる。これでもう戦えないだろう。俺たちは勝ったのだ。久しぶりに本当の死を感じた。あそこまで追い詰められたことは初めてだが、勝てたらなんでもいいだろう。

リュータも満面の笑みで、

「やったぞ!ドウキ、俺ら勝ったんだ!」

そう歓喜した。今すぐにでも帰って飯を食いたいくらいだ。

しかしそうは問屋が下さないようだった。

「ドウキ。俺のビックアックス知らねえか?さっきまで今殺った奴の後ろにあったんだが、見当たらねえんだ。」

「何言ってんだ。もっとよく探せ。あんな大きものがすぐ無くなる訳・・・!?」

後ろから唐突に殺気を感じた。

「下がれ!リュータ!」

バリーン。そう大きな音を立てて後ろで瓶が割れた。そして割れた場所では蒸気が立ち込めている。誰でもわかる。あれは劇薬だ。しかもさっきのとは比べ難いほど強力な。

「あ?避けちまったのか?今ので逝ってたら楽だったのになあ。」

スタッ。影が上から降りてきた。

「まさか!まだいたって言うのか!?」

リュータが叫ぶ。信じ難い状況だ。2人とも満身創痍の状態で戦える気がしない。

「俺の名はカイル。ここら辺の奴らをまとめているんだが・・。どうやらお客さんが来たようで、俺の仲間は全員やられちまったようだな。だが、最近鈍っていたんだ。久しぶりに戦えそうで嬉しいぜ。」

カイルが続ける。

「一度俺らがもらったモンだったら簡単に返す訳ねえよな?そんなビックアックスでも売ったら金になるんだ。手放さねえよ。じゃあさっさと返してもらうとするか。」

そう言うとカイルは妙に怪し気に黒光りするダガーを手に持った。やっと終わったと思ったらこれか。今日は最悪な日だ。
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