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第十八話 終戦
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「は、嘘、、だろ・・・。」
言葉が出ない。あんな傷、今既に死んでいてもおかしくない。運良く生き残れたとしても一生冒険者として働けないだろう。
「俺は・・・俺のミスで・・・リュータを・・・?」
膝から崩れ落ちる。横でカイルの叫びが聞こえた。
「リューターーー!!!!」
走ってカイルがリュータの元に向かう。
駄目だ・・・。今奴の近くに行ったら・・・カイル・・・お前までも・・・・・・!
しかし俺の声はあまりにもか細くカイルには届かない。
「リュータ!!大丈夫か!!すぐサンリに治療してもらうからな!!大丈夫だ!」
涙をぼろぼろこぼしながらリュータを必死に運ぼうとする。しかしその隙を見逃すモンスターではない。
「はぐッッ!?」
そんな声をあげて背中から切り上げられてしまった。
「カイルーーーーー!!!!!!!!」
終わった。何もかも終わった。もうどうすればいいんだ。俺たち仲間をあんなふうにしやがって。最初は敵対していた。しかし、今ではもう仲間なんだ。
一緒に酒だって飲んだじゃないか・・・。こんな終わり方ってあるかよ・・・?
ピクッ
少しだけカイルが動いた。
「カイル・・・!?死んでいなかったのか・・・?」
カイルらしくない形相でこっちを見る。そして大声で叫んだ。
「ドウキーーーー!!!!俺が囮になる!!!その隙に、お前ならあの時の力を出して勝てる!お前が殺るんだ!!!」
囮にする・・・?せっかく生きていることに喜んだのに、見捨てると言うのか・・・?
カイルとの思い出が脳裏をよぎる。嫌だ・・・。見捨てたくなんてない・・・!
他に方法はないのか・・・?考えろ。それが俺の役割だろ!!
しかし、何も思い浮かばない。どれも待ち受けるは最悪のシナリオだ。
それしか・・ないのか・・・?
「ドウキーーー!!何をしている!?早くしろ!」
カイルが渾身の力を振り絞って立ち上がり、奴に対峙する。
そうだ。あいつはあんな大傷を受けても勝つことを諦めていない。俺が諦めてどうする?
俺ができることはただひとつ。ソウルスレイヴの力を借りて奴をぶっ殺すことだけだ。
今の俺の怒りは奴に向いていない。ただただ不甲斐ない俺への怒りだ。
カイルやリュータをあんなふうにしたのは誰だ?誰のせいでこんな惨状が起きた?
そんな感情が込み上げるたびに、ソウルスレイヴとの一体化が進んでいるように感じる。順調にシンクロ率を上げられている。
「そうだ・・・。それで良い・・・!これで俺も終わりか。俺を育ててくれたあいつらに礼を言わずに逝くことになっちまったな。だが、それが俺が選んだ道だ・・・・!
来い!バケモン!!俺が相手だ!!!!!」
叫ぶと共にカイルは必死に走る。
「動け!俺の体!!このバケモンが通った場所はぬかるまなくなる!ドウキが通る道を俺が作るんだ!!!」
モンスターもカイルの動きに気づいた。当然カイルたちの狙いもわかっていた。しかし、ひとつ誤算があった。ドウキの存在だ。
ここでカイル、モンスター、ドウキが一直線上に並んだ。そしてドウキは走り出す。この走りが仲間の死に繋がることと分かっていても。
向こう側で嫌な音が鳴る。カイルが斬られてしまった音だ。しかし俺は止まらない。止まるわけにはいかないんだ。
「うおおおおお!!!!!!いっけえええええ!!!」
そしてドウキとソウルスレイヴとのシンクロ率が100%となった。
ソウルスレイヴは真の姿を解き放ち、ドウキと一体化した。そう、実際に一つの剣として。ドウキの意識はここで闇に落ちた。
一つとなったソウルスレイヴとドウキは目標を見定める。確実に葬れるように。
そして時は来た。
ザンッッ!!!!!
辺りに地が割れるほどの轟音が響いた。
そして、モンスターは真っ二つに斬られた。
あそこまで4人を圧倒したモンスターはたった一太刀によってこの世を去ったのだ。
☀️
サンリは鳴り響く轟音により目を覚ます。
「え・・・?終わったの・・・?」
戸惑いの色を隠せない。
見ると真っ二つになったモンスターと何故か体が溶け出しているドウキがいたからだ。
すぐさま駆け寄る。
「ドウキ・・・・・・!!!!私たち勝ったんだよね・・・・!勝ったんだよね!!!」
しかしドウキからの返答はない。
「どうしたの・・・?ドウキ!返事をしてよ!!」
「ゥ・・・。」
「大丈夫!?傷がひどいんだったら今すぐ治療するよ!ほら回復薬を・・・。」
「ゥオアアアアアアアアッ!!!!」
「キャー!!!」
サンリはドウキに振り払われ転んだ。
「どうしたの・・・?ねえ、そんな危ないもの置いて・・・!もう戦いは終わったんだよ・・・?」
しかしドウキは手に持つソウルスレイヴを離そうとしない。もうドウキの意識はそこにない。完全にソウルスレイヴに乗っ取られているのだ。
そしてその刃は躊躇いなくかつての仲間に向かう。振りかぶった刃が止まるわけもなく、サンリは斬られた。
「キャーーー!!!!!!」
「・・・。」
ドウキは微動だにしない。
「・・・なんで・・・?なんで私を・・・?」
サンリは瀕死にも関わらず涙が止まらない。
「なんで・・・?なんでよドウキ・・・?」
私、もうじき死ぬのかな、
ここまでの深傷だといくら私でも治しがないよね・・・。ドウキどうしちゃったんだろう?わかんないや。
だけどこれだけは最後にやっておかなきゃね。リュータとカイルが今生きているかもわからない。だけど、生きているならここから逃げてほしい。
私の最後の力で2人を生かすんだ・・・!
「・・・!」
声にならないような声で魔法を使った。
その魔法はカイルとリュータに届く。
そうそう、最後にこれは言っておかないとね。
「ドウキ・・・今まで・・・ありがとう!!」
そしてその瞬間、サンリは事きれた。
☀️
「・・・!?なぜ俺は生きている!?」
俺の横ではカイルが不思議な顔をしている。
「おい・・!ここに奴の死体があるぞ!やったんだ!!俺たちは勝ったんだ!!!」
また遠くに視線を移すと、サンリが、死んでいたのが見えた。
「・・・サンリ!?何故!?」
ドウキが血を付けた剣を持ってサンリを見下ろしている。
何だ・・・?いったい何が起きている・・・?
しかし、俺の直感がこう言っている。この場から逃げろと。
今何が起きているかは分からない。
だが、俺はその直観を信じてみることにした。
「カイル!逃げるぞ!あいつは何かおかしい!!何が起きているか分からないが、、!」
カイルも同じ気持ちだったようだ。
傷口は治っていないが、逃げる力だけは何故か残っている。
そしてカイルとリュータは走り出す。
しかしこれを見逃すソウルスレイヴではない。
着実に距離を詰める。そして確実に仕留める。今度は生き返らないように。
ザンッ!
そして二人は声をあげずに倒れふす。
順調かと思われた旅はここで幕を閉じた。
言葉が出ない。あんな傷、今既に死んでいてもおかしくない。運良く生き残れたとしても一生冒険者として働けないだろう。
「俺は・・・俺のミスで・・・リュータを・・・?」
膝から崩れ落ちる。横でカイルの叫びが聞こえた。
「リューターーー!!!!」
走ってカイルがリュータの元に向かう。
駄目だ・・・。今奴の近くに行ったら・・・カイル・・・お前までも・・・・・・!
しかし俺の声はあまりにもか細くカイルには届かない。
「リュータ!!大丈夫か!!すぐサンリに治療してもらうからな!!大丈夫だ!」
涙をぼろぼろこぼしながらリュータを必死に運ぼうとする。しかしその隙を見逃すモンスターではない。
「はぐッッ!?」
そんな声をあげて背中から切り上げられてしまった。
「カイルーーーーー!!!!!!!!」
終わった。何もかも終わった。もうどうすればいいんだ。俺たち仲間をあんなふうにしやがって。最初は敵対していた。しかし、今ではもう仲間なんだ。
一緒に酒だって飲んだじゃないか・・・。こんな終わり方ってあるかよ・・・?
ピクッ
少しだけカイルが動いた。
「カイル・・・!?死んでいなかったのか・・・?」
カイルらしくない形相でこっちを見る。そして大声で叫んだ。
「ドウキーーーー!!!!俺が囮になる!!!その隙に、お前ならあの時の力を出して勝てる!お前が殺るんだ!!!」
囮にする・・・?せっかく生きていることに喜んだのに、見捨てると言うのか・・・?
カイルとの思い出が脳裏をよぎる。嫌だ・・・。見捨てたくなんてない・・・!
他に方法はないのか・・・?考えろ。それが俺の役割だろ!!
しかし、何も思い浮かばない。どれも待ち受けるは最悪のシナリオだ。
それしか・・ないのか・・・?
「ドウキーーー!!何をしている!?早くしろ!」
カイルが渾身の力を振り絞って立ち上がり、奴に対峙する。
そうだ。あいつはあんな大傷を受けても勝つことを諦めていない。俺が諦めてどうする?
俺ができることはただひとつ。ソウルスレイヴの力を借りて奴をぶっ殺すことだけだ。
今の俺の怒りは奴に向いていない。ただただ不甲斐ない俺への怒りだ。
カイルやリュータをあんなふうにしたのは誰だ?誰のせいでこんな惨状が起きた?
そんな感情が込み上げるたびに、ソウルスレイヴとの一体化が進んでいるように感じる。順調にシンクロ率を上げられている。
「そうだ・・・。それで良い・・・!これで俺も終わりか。俺を育ててくれたあいつらに礼を言わずに逝くことになっちまったな。だが、それが俺が選んだ道だ・・・・!
来い!バケモン!!俺が相手だ!!!!!」
叫ぶと共にカイルは必死に走る。
「動け!俺の体!!このバケモンが通った場所はぬかるまなくなる!ドウキが通る道を俺が作るんだ!!!」
モンスターもカイルの動きに気づいた。当然カイルたちの狙いもわかっていた。しかし、ひとつ誤算があった。ドウキの存在だ。
ここでカイル、モンスター、ドウキが一直線上に並んだ。そしてドウキは走り出す。この走りが仲間の死に繋がることと分かっていても。
向こう側で嫌な音が鳴る。カイルが斬られてしまった音だ。しかし俺は止まらない。止まるわけにはいかないんだ。
「うおおおおお!!!!!!いっけえええええ!!!」
そしてドウキとソウルスレイヴとのシンクロ率が100%となった。
ソウルスレイヴは真の姿を解き放ち、ドウキと一体化した。そう、実際に一つの剣として。ドウキの意識はここで闇に落ちた。
一つとなったソウルスレイヴとドウキは目標を見定める。確実に葬れるように。
そして時は来た。
ザンッッ!!!!!
辺りに地が割れるほどの轟音が響いた。
そして、モンスターは真っ二つに斬られた。
あそこまで4人を圧倒したモンスターはたった一太刀によってこの世を去ったのだ。
☀️
サンリは鳴り響く轟音により目を覚ます。
「え・・・?終わったの・・・?」
戸惑いの色を隠せない。
見ると真っ二つになったモンスターと何故か体が溶け出しているドウキがいたからだ。
すぐさま駆け寄る。
「ドウキ・・・・・・!!!!私たち勝ったんだよね・・・・!勝ったんだよね!!!」
しかしドウキからの返答はない。
「どうしたの・・・?ドウキ!返事をしてよ!!」
「ゥ・・・。」
「大丈夫!?傷がひどいんだったら今すぐ治療するよ!ほら回復薬を・・・。」
「ゥオアアアアアアアアッ!!!!」
「キャー!!!」
サンリはドウキに振り払われ転んだ。
「どうしたの・・・?ねえ、そんな危ないもの置いて・・・!もう戦いは終わったんだよ・・・?」
しかしドウキは手に持つソウルスレイヴを離そうとしない。もうドウキの意識はそこにない。完全にソウルスレイヴに乗っ取られているのだ。
そしてその刃は躊躇いなくかつての仲間に向かう。振りかぶった刃が止まるわけもなく、サンリは斬られた。
「キャーーー!!!!!!」
「・・・。」
ドウキは微動だにしない。
「・・・なんで・・・?なんで私を・・・?」
サンリは瀕死にも関わらず涙が止まらない。
「なんで・・・?なんでよドウキ・・・?」
私、もうじき死ぬのかな、
ここまでの深傷だといくら私でも治しがないよね・・・。ドウキどうしちゃったんだろう?わかんないや。
だけどこれだけは最後にやっておかなきゃね。リュータとカイルが今生きているかもわからない。だけど、生きているならここから逃げてほしい。
私の最後の力で2人を生かすんだ・・・!
「・・・!」
声にならないような声で魔法を使った。
その魔法はカイルとリュータに届く。
そうそう、最後にこれは言っておかないとね。
「ドウキ・・・今まで・・・ありがとう!!」
そしてその瞬間、サンリは事きれた。
☀️
「・・・!?なぜ俺は生きている!?」
俺の横ではカイルが不思議な顔をしている。
「おい・・!ここに奴の死体があるぞ!やったんだ!!俺たちは勝ったんだ!!!」
また遠くに視線を移すと、サンリが、死んでいたのが見えた。
「・・・サンリ!?何故!?」
ドウキが血を付けた剣を持ってサンリを見下ろしている。
何だ・・・?いったい何が起きている・・・?
しかし、俺の直感がこう言っている。この場から逃げろと。
今何が起きているかは分からない。
だが、俺はその直観を信じてみることにした。
「カイル!逃げるぞ!あいつは何かおかしい!!何が起きているか分からないが、、!」
カイルも同じ気持ちだったようだ。
傷口は治っていないが、逃げる力だけは何故か残っている。
そしてカイルとリュータは走り出す。
しかしこれを見逃すソウルスレイヴではない。
着実に距離を詰める。そして確実に仕留める。今度は生き返らないように。
ザンッ!
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