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つまんねー人生。
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僕とキョウイは山に入った。土の坂を上り、頂上を目指していく。泣いた恥ずかしさで僕はキョウイの顔を見れなかった。
川で汲んだ水を飲む。竹筒でできた水筒はキョウイのものだ。
「キョウイはどこから来たんだ」
「海から」
キョウイは短く答える。僕はキョウイの後ろを歩いていたから表情が見えなかった。
「ここにも海があるんだ」
僕が起きた場所は草原だった。川や山を見たけど、海の姿はまだ見ていない。キョウイはかなり遠い場所から来たんだと思った。
「海か……僕がいた世界にもあったな」
成人してからは片手で数えるほどしか行っていないけど。
「海は好きか?」
キョウイに聞かれて僕は悩んだ。
「泳ぐのは苦手だけど、浜辺を歩くのは好きだったな」
波が打ち寄せる音が好きだった。
「そうか」
「キョウイは海が好き?」
「あぁ、ドラドと出会うまで海の上で生活していた」
キョウイは思い出すように空を見上げる。ザア、と風が吹いて木の葉が舞い降りてくる。今日は風が強い。パタパタと髪の毛が目にかかる。
「海の上か憧れだなぁ」
地平線を見て、優雅に船の上で生活をする。あいつといつかクルーズ船に乗りたいね、と会話したことを思い出す。……もう、叶わないけど。
太陽の光が雲に隠れた。辺り一面暗くなり、一気に冷え込む。一雨きそうだった。
「キョウイ、雨が降りそうだ」
「そうだな、雨宿りできそうな場所を探すか」
キョウイと僕は道をそれた。獣道を進み、岩場に出る。
「わ、もう降ってきた」
ポツポツ、と地面が濡れる。僕の髪の毛や犬耳に雨粒が当たった。
「あそこが使えそうだ」
キョウイが指さす先に洞窟が見えた。広くはないが、僕とキョウイが濡れずにすみそうなスペースがある。
僕とキョウイは走って洞窟の中に入った。風が吹き込み、洞窟の奥に誘われる。
キョウイは洞窟内に落ちていた小枝を集めると、火をつけた。暗い洞窟が明るくなる。
「名前の話だが、ワダツミはどうだ? 海の神様の名前」
キョウイは洞窟の壁にもたれるように座った。僕にこっちへ来いと手招きをする。
「どうして海の神様の名前を?」
僕が寝ていたのは草原だ。海と何も関係はない。
「お前の髪は海のように青いから」
キョウイは僕の頭を撫でた。撫でられて、僕のしっぽと耳はパタパタと揺れる。
「お前はさっき死んでいると言ったな。俺も同じだ」
キョウイの声のトーンが落ちる。僕は息を飲みこむ。キョウイの真面目な雰囲気にウソではないと感じた。
キョウイは腰に携えた刀を握る。カチャリ、とキョウイに答えるように刀が鳴いた。
「酷い嵐が来て船が転覆して波にもまれた。もがいても、もがいても、海の中から出れなくて、足掻くのをやめた。身体が動かなくなって自分が沈む先を見ようと、下を見たんだ。真っ暗だった。先に落ちた仲間が沈んでいくのを沈みながら見ていた。ああ、これで俺の人生が終わるのかと思った。つまんねー人生だったなって」
「それでどうなったの?」
ドクドクと僕の心臓が忙しない。この世界にいる人って……。
「起きたら浜辺に打ち上げられていた。赤いドラゴンが俺を食おうとしていたんだ。それがドラド」
変な話だろ、っと乾いた声でキョウイは笑った。
「変じゃないよ。じゃあ、キョウイは死んでこっちの世界に来たんだ」
「……そういうことになるな。俺はドラドがいたから人里や街に行くことがなかったから、気づかなかったけどお前の話を聞いて気づいた」
じゃあ、僕とドラゴンを攫おうとした魔族は何者なんだろう。僕は黒いフードを纏った男を思い出す。
川で汲んだ水を飲む。竹筒でできた水筒はキョウイのものだ。
「キョウイはどこから来たんだ」
「海から」
キョウイは短く答える。僕はキョウイの後ろを歩いていたから表情が見えなかった。
「ここにも海があるんだ」
僕が起きた場所は草原だった。川や山を見たけど、海の姿はまだ見ていない。キョウイはかなり遠い場所から来たんだと思った。
「海か……僕がいた世界にもあったな」
成人してからは片手で数えるほどしか行っていないけど。
「海は好きか?」
キョウイに聞かれて僕は悩んだ。
「泳ぐのは苦手だけど、浜辺を歩くのは好きだったな」
波が打ち寄せる音が好きだった。
「そうか」
「キョウイは海が好き?」
「あぁ、ドラドと出会うまで海の上で生活していた」
キョウイは思い出すように空を見上げる。ザア、と風が吹いて木の葉が舞い降りてくる。今日は風が強い。パタパタと髪の毛が目にかかる。
「海の上か憧れだなぁ」
地平線を見て、優雅に船の上で生活をする。あいつといつかクルーズ船に乗りたいね、と会話したことを思い出す。……もう、叶わないけど。
太陽の光が雲に隠れた。辺り一面暗くなり、一気に冷え込む。一雨きそうだった。
「キョウイ、雨が降りそうだ」
「そうだな、雨宿りできそうな場所を探すか」
キョウイと僕は道をそれた。獣道を進み、岩場に出る。
「わ、もう降ってきた」
ポツポツ、と地面が濡れる。僕の髪の毛や犬耳に雨粒が当たった。
「あそこが使えそうだ」
キョウイが指さす先に洞窟が見えた。広くはないが、僕とキョウイが濡れずにすみそうなスペースがある。
僕とキョウイは走って洞窟の中に入った。風が吹き込み、洞窟の奥に誘われる。
キョウイは洞窟内に落ちていた小枝を集めると、火をつけた。暗い洞窟が明るくなる。
「名前の話だが、ワダツミはどうだ? 海の神様の名前」
キョウイは洞窟の壁にもたれるように座った。僕にこっちへ来いと手招きをする。
「どうして海の神様の名前を?」
僕が寝ていたのは草原だ。海と何も関係はない。
「お前の髪は海のように青いから」
キョウイは僕の頭を撫でた。撫でられて、僕のしっぽと耳はパタパタと揺れる。
「お前はさっき死んでいると言ったな。俺も同じだ」
キョウイの声のトーンが落ちる。僕は息を飲みこむ。キョウイの真面目な雰囲気にウソではないと感じた。
キョウイは腰に携えた刀を握る。カチャリ、とキョウイに答えるように刀が鳴いた。
「酷い嵐が来て船が転覆して波にもまれた。もがいても、もがいても、海の中から出れなくて、足掻くのをやめた。身体が動かなくなって自分が沈む先を見ようと、下を見たんだ。真っ暗だった。先に落ちた仲間が沈んでいくのを沈みながら見ていた。ああ、これで俺の人生が終わるのかと思った。つまんねー人生だったなって」
「それでどうなったの?」
ドクドクと僕の心臓が忙しない。この世界にいる人って……。
「起きたら浜辺に打ち上げられていた。赤いドラゴンが俺を食おうとしていたんだ。それがドラド」
変な話だろ、っと乾いた声でキョウイは笑った。
「変じゃないよ。じゃあ、キョウイは死んでこっちの世界に来たんだ」
「……そういうことになるな。俺はドラドがいたから人里や街に行くことがなかったから、気づかなかったけどお前の話を聞いて気づいた」
じゃあ、僕とドラゴンを攫おうとした魔族は何者なんだろう。僕は黒いフードを纏った男を思い出す。
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