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キョウイの正体
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外から見れば、光の柱は明るいのに中はとてつもなく暗かった。
「キョウイ……?」
僕は暗闇に話かける。僕の手にはキョウイの手が握られていた。だけど、返事はない。キョウイは僕と一緒に来てくれたのだろうか。わからないからこそ、不安になる。
「大丈夫、一緒にいる」
キョウイは僕に近づいた。キョウイの顔が僕の真横に来て、抱きしめられていることに気づく。別れが近づいているからこそ、僕達は大胆に行動を起こすようになった。
暗闇に目が慣れてきた。少しずつ、キョウイの姿が浮かびあがってくる。
ドワーフも近くにいた。持ち前の俊敏さで、キョウイの後を追ったらしい。
ドワーフは魔法で火をつける。柱の中が見えるようになる。
「これは……」
そこは無数の墓石が並んでいた。その内の一つに僕の名前はあるのだろうか? 墓石に書かれた名前を見る。その中の一つに、見覚えがある名前があった。あいつの名前だ。やっぱり、あいつはこの世界に転生していた。
「俺の名前がある……」
キョウイは墓石を指さす。『京井嶺治 昭和24年 3月3日』と書かれてあった。
「昭和24年……京井は僕の世界だと71歳だ」
京井は見た感じ、二十代だった。到底、70代には見えない。
「そんな未来から来たのか、この世界は何でもありだな」
「昭和に日本にも海賊ってあったんだね」
「ああ、主に闇ブローカーや企業、官庁を標的にしていた。面白かったぞ、会社員に猟師に博徒までいろんなやつらと暴れ回った……まぁ、今生きていたとしてもみんなジジイだな」
京井は懐かしむように、目を伏せた。通りでかなりの筋力があるわけだ。日本刀を所持していたことも、これで解決する。
僕の墓石もあった。
「ほう、新しい年号は令和なんだな。令和じゃ、犬耳が生えているのか……未来人だな」
「ち、違うから! 獣人はこの世界に来た時に変化しただけで、現世にいた僕は人間だから」
慌てて僕は弁明をする。だけど、僕の本当の姿を京井は見ることはないと思えば悲しくなった。
「キョウイ……?」
僕は暗闇に話かける。僕の手にはキョウイの手が握られていた。だけど、返事はない。キョウイは僕と一緒に来てくれたのだろうか。わからないからこそ、不安になる。
「大丈夫、一緒にいる」
キョウイは僕に近づいた。キョウイの顔が僕の真横に来て、抱きしめられていることに気づく。別れが近づいているからこそ、僕達は大胆に行動を起こすようになった。
暗闇に目が慣れてきた。少しずつ、キョウイの姿が浮かびあがってくる。
ドワーフも近くにいた。持ち前の俊敏さで、キョウイの後を追ったらしい。
ドワーフは魔法で火をつける。柱の中が見えるようになる。
「これは……」
そこは無数の墓石が並んでいた。その内の一つに僕の名前はあるのだろうか? 墓石に書かれた名前を見る。その中の一つに、見覚えがある名前があった。あいつの名前だ。やっぱり、あいつはこの世界に転生していた。
「俺の名前がある……」
キョウイは墓石を指さす。『京井嶺治 昭和24年 3月3日』と書かれてあった。
「昭和24年……京井は僕の世界だと71歳だ」
京井は見た感じ、二十代だった。到底、70代には見えない。
「そんな未来から来たのか、この世界は何でもありだな」
「昭和に日本にも海賊ってあったんだね」
「ああ、主に闇ブローカーや企業、官庁を標的にしていた。面白かったぞ、会社員に猟師に博徒までいろんなやつらと暴れ回った……まぁ、今生きていたとしてもみんなジジイだな」
京井は懐かしむように、目を伏せた。通りでかなりの筋力があるわけだ。日本刀を所持していたことも、これで解決する。
僕の墓石もあった。
「ほう、新しい年号は令和なんだな。令和じゃ、犬耳が生えているのか……未来人だな」
「ち、違うから! 獣人はこの世界に来た時に変化しただけで、現世にいた僕は人間だから」
慌てて僕は弁明をする。だけど、僕の本当の姿を京井は見ることはないと思えば悲しくなった。
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