鬼のセンチネル

弓葉

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鬼のセンチネル

心中した鬼 参

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「冷たっ……」

 金属の装飾だろうか。壁ではないものが手に触れた。立ち止まると、陰陽寮の人間も立ち止まった。

「何の模様かわかるか?」

 陰陽寮の人間が藤に尋ねる。藤は金属の装飾をペタペタと触り形を把握しようとした。

「長細い形が均等……花びら……かな。中心は円をしたものだ」

 藤はこの先に何かがいることが匂いでわかっていた。この先から、切なくて甘い匂いが漂ってくる。その匂いの正体を知りたかった。

「菊……ですか?」

 藤が答えた途端、壁が動いた。暗闇でわからないが、目の前に空間が現れたようだ。奥からビュウっと風が吹いてくる。あの切なくて甘い匂いに包まれた。

「なんだ、この匂い」

 藤は匂いで頭がクラクラしてくる。思わず頭を抱えた。

「行くぞ」

 藤の異変を気にせずに、陰陽寮の人間は先へ行こうとした。藤は軍服の袖で鼻を覆い、陰陽寮の人間に付いて行く。

 藤たちが菊の空間へ足を踏み入れた途端、端に置かれた行灯の明かりが手前から奥へ順番に灯されていった。

「なんだこれ……」

 藤は怖くなって後ずさる。それを阻むのは陰陽寮の人間だ。

「匂いの正体が気になるんだろう?」

 藤は息を飲みこんだ。匂いの正体に興味をそそられている。好奇心には勝てない。藤はおそるおそる奥へと進んで行った。長細い廊下を進んだ先に障子が見える。

 陰陽寮の人間は躊躇なく障子を開けた。藤は人の間から中の様子を覗いていた。

 そこは和室だった。家具とかはなく、生活感は一切ない。あるのは畳に敷かれた布団だけ。布団の中に、誰かが寝ている。

「誰だ……?」

 藤が尋ねても陰陽寮の人間は何も言わない。藤は惹き寄せられるように、押しのけて和室へ入った。寝ている誰かの顔を覗き込もうと布団に近づく。緊張と恐怖で心臓の音が高まっていた。

「ヒッ……!」  

 寝ていたのは鬼だった。白髪で頭に二本の角が生えている。生きているのか、死んでいるのかわからないほど、生気がない。

「何をしている。さっさと役を果たせ」

「わっ……!」

 陰陽寮の人間に後ろから押されて藤はこけた。鬼の身体にのしかかる。

「す、すみません!!」

 慌てて藤は鬼の身体から離れた。上に乗ったのに、なぜか、鬼は寝たままだった。なにも反応を示さない。

「反応するわけないだろう。昏睡状態ということを忘れたのか?」

 陰陽寮の人間はあきれた様子だった。

「わ、わかっています」 

 藤は鬼の着物に手をかける。薄緑色の生地に灰色の帯。起きませんように、と心で念じながら灰色の帯をゆるめた。鬼が穿いているふんどしが現れる。藤はふんどしをゆるめて、中のものを取り出した。もちろん、反応はしていない。

 昏睡状態に陥っている鬼を念のために確認した。ごくり、と息を飲みこみ、鬼の逸物をパクりと口に咥える。咥えても生気は感じられなかった。舌を使って一生懸命に奉仕をする。すると、かすかに鬼が動いた。ピクリと指先が反応している。

 藤が咥えている逸物も少しずつ熱を帯びてきた。藤は怖くなり思わず口を離してしまう。藤の口からこぼれた銀糸が鬼の着物に落ちて色が変わった。

「ハァハァ……」

 恐怖に押されて息をするのもままならない。いつも以上に藤の息は浅かった。

 布団に陰陽寮の人影が映る。

 藤の陰陽師としての役目は鬼を昏睡状態から目覚めさせること。だが、昏睡状態の鬼を起こすには、まぐわう必要性がある。

「み、見守られながらって……ちょっと……」

 藤に破廉恥ハレンチな性癖はない。顔を赤らめて陰陽寮の人間を追い出そうとした。

「安心しろ、我々は何度も見慣れている」

 藤の思いは空しく拒否されてしまった。陰陽寮は障子を閉めようとする様子もない。

「いや、それはそれでどうかと思いますけど……」

 話を引き延ばそうとする藤に陰陽寮は軍刀を向けた。藤は両手を上げて降伏する。

「わ、わかりましたから……軍刀を収めてください」

 藤は支給された軍服のズボンを脱いだ。

 陰陽寮達に背中を向けて、鬼にまたがる。膝立ちになり、鬼の逸物の上で後孔をほぐしていく。

 陰陽師の身体はセンチネルを癒やせるように進化していた。たとえ、通和散がなくても後孔に触れれば、逸物を受け入れやすくなるように、ぬめぬめした液体があふれでてくる。

「はぁ、はぁ……これぐらいかな……」

 指に伝う液体が鬼の逸物にかかった。途端、鬼の身体が反応して、また動く。

「め、目覚めた瞬間、襲ってこないですよね……?」

 藤は怖くなり、後ろで見張っている陰陽寮に振り向いた。

「安心しろ、そのために我々がいる」

 陰陽寮は軍刀を構える。その行為は藤の下で眠る鬼よりも、藤に対して続きをしろと脅しているようだった。藤は向けられた刃の恐怖で萎えてしまった。だが、背後で刃物を向けられている以上、役目を果たさねばならない。藤は昂る鬼の逸物に向かってゆっくりと腰を下ろした。

「んっ……」

 くぷん、と先が入った。藤の後孔が鬼の逸物を包みこむ。

「全部入っていないではないか、さっさとよこせ」

 鬼が目覚めた。藤が驚き身体を仰け反らせるよりも先に、鬼が藤の腰を掴む。そのまま下へ押し込み、藤は鬼の逸物全てを飲みこんだ。

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