無表情な私と無愛想な君とが繰り返すとある一日の記録

四十九院紙縞

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(2)――そんな非現実的なことが起きてたまるか。

 いつも通り目を覚まし、身支度を整え、階下のリビングに行き、朝食を摂る。
 父は出勤済で、母も身支度を整え、出勤間近だ。
 私はテレビを見ながら母を見送る。
 テレビでは、相変わらず代わり映えしない内容が報道されていた。
 が。
 これはあまりにも昨日と内容が同じ過ぎやしないだろうか、なんて疑念が脳を過る。いや、考え過ぎか。きっとデジャブとかいうやつだろう。毎日飽きもせずに、似たような話題ばかり取り上げているテレビ番組が悪い。
 気にせず、今日も今日とて同じメニューだった朝食を食べ終えると、戸締まりをしっかりして、私は学校へ向かった。
 しかし、時間割を勘違いしていて、ものの見事に大半の教科書を忘れてしまっていた。おかしいな、変更はないと思っていたのだけれど。これじゃあまるで、昨日の時間割と同じではないか。
 果たして、そんな偶然があり得るのか?
 首を傾げた私に、しかし、遂に決定打が突きつけられる。
「ねえ、さっきの狐井さんの態度見た? マジありえんし」
「先生も気を利かせてるってわかんないのかね」
「あれで表情ひとつ変わんないとか、もう機械なんじゃね?」
 聞こえてくる悪口が昨日と全く同一なんてことは、流石に有り得ないだろう。彼ら彼女らの語彙は無駄に豊富で、昨日と一言一句同じことを言うなんて娯楽に欠ける真似は、しそうにない。
 まさか。
 まさか、そんな。
 そんなことが、起こり得るのだろうか。
 吐き気に似た感情を抱えながら、私は一日の授業を全て乗り切り、帰路に着いた。
 もしかしたら、昨日と同じ一日を繰り返しているなんて、そんな非現実的なことが起きてたまるか。そんなのはフィクションの中でだけ起こる現象だ。
 気の所為。
 全部、気の所為だ。
 そうやって自分を説得し、その日、私は早めに床についたのだった。
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