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過去と未来
少年は配属が決まった
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「えっ、斥候部隊ですか……?」
冒険者ギルドの窓口で伝えられた内容に、ロムは驚いた。
「そうなんです……誰かロムの事を知っている人でも居たのでしょうか……」
そんなの、あの騎士に決まってる。何の嫌がらせだ。そう思ったけれど、ロムの目的が討伐評価だとは知らないはずだ。だとしたら適材適所で、有能と言えるのかもしれない。
どっちにしろ、ロムにとっては嬉しくない配属になった。
「仕方ないです。とりあえず、やれるだけやってみます」
「そう……無理しないで下さいね。こちらが、準備していくものです」
そう言って渡された紙を、手に取って見た。
「食料が三日分ってことは、三日で終わるんでしょうか?」
「ちょっと意味が違いますね。通常、食事は四日目から支給されます。最初の三日分だけ持参して下さいねという意味です。今回は移動含めて四日……長くても五日程度になると思います。食料は、保護区で頼めば用意して頂けるのでしょう?」
「そうですね」
「斥候部隊なら、持ち物のほとんどは本隊に預けて偵察に行くはずです。何事も無いとは思いますが、あまりに貴重な品は入れない方がいいですよ」
今まで経験した戦いとは大分勝手が違った。自分の物はほとんど自分で用意しなければならない。これが傭兵というものなんだなと、改めて実感した。
受付の女性にお礼を言って、ギルドを出た。今戻るとお昼前だ。アイラスやトールと一緒に、お昼ご飯が食べられるかもしれないと考えていた。
保護区に戻って来ると、授業が終わって部屋に戻るアイラスと会った。
「おかえリ~」
「ただいま」
アイラスの顔を見て思い出した。大型討伐に応募した理由は、何も自分のためだけじゃない。あの騎士に認めてもらうためだ。それが、アイラスのためになると信じている。
だったら、別に討伐評価がもらえなくてもいい気がした。与えられた任務に全力を尽くそう。そう思うと、沈んでいた気持ちが浮上した。
じっと見つめていたら、アイラスが不思議そうな顔をした。
「どうしたノ?」
「何でもない」
そう言って、アイラスの頭をなでた。彼女は少し驚いて、少し照れくさそうに笑った。
そういえば、いつも頭をなでるのはアイラスの方だった。ロムが彼女の頭をなでるのは初めてだったかもしれない。なぜそうしたのかは、よくわからなかった。
アイラスは、どんな気持ちでなでてたんだろう。
「アイラスってさ……よく俺の頭なでてくれるけど、あれってなんで?」
「う~ん……そうネ。ロムが、可愛いナって、思ったら、なでたくなるノ」
「……男が可愛いって言われても、嬉しくないんだけど」
「そうだよネ! ごめんネ……。でもナンカ、そう思っちゃう時が、あるノ」
「ふ~ん……」
……あれ? じゃあ、つまり、自分がアイラスをなでたくなったのは……?
そこまで考えて、ロムの思考は停止した。
「どうしたノ?」
アイラスは再び聞いてきた。しかし、ロムは答える事ができなかった。火照った顔を見られないように、背けるので精一杯だった。
気づくと、二人の部屋の前まで来ていて、トールが呆れたような顔をして立っていた。
「おぬしも人の事言えんではないか。顔に気持ちがあらわれておるぞ」
「……余計な事言わないで」
「エッ? 何?」
「何でもない……早くお昼に行こう」
食堂でホークを見かけた。この前のレヴィの一件を思い出して、背筋が寒くなった。
大型討伐には明後日から行くのだから、その日以降の数回は授業に出られない。別に連絡の義務はないのだけど、言っておいた方がいいと思う。そうは思っても、話しかけるのが億劫だった。
ぐずぐずしていたら、ホークの方が先に話しかけてきた。
「やあ」
「コンニチハ!」
「……こんにちは」
「どうしたんだい? 元気がないね」
ホークが顔を覗き込んでくるので、近づかないでくれと思いながら、少し身を引いた。
「……何でもありません。それより俺、明後日から大型討伐に行くことにしたので、音楽の授業に出られないです」
「大型討伐? ゴブリンの集落かい?」
「はい」
「やはり討伐することになったのか。やつらは一体一体は弱いが、数で攻めてくる。囲まれないよう気を付けたまえ」
「俺は斥候部隊に配属されたので、前線に立つ事はそんなに無いと思います」
「君一人なら心配はないだろうが、何人かで一緒に行動するのだろう? 万が一の事があっても深追いはしないように」
「わかりました」
「立ち話もなんだから、座らないかね?」
誘われて、空いた席に三人で座った。
正直ロムは気が進まなかったが、断る理由を思いつかなかった。しかもホークと隣になった。アイラスと場所を変わって欲しい。こんな時、念話ができるトールが羨ましくなる。
そんなロムの様子には構わず、ホークは話を始めた。
「斥候部隊だと、討伐評価は貰えないかもしれないね」
「そこは気にしていません」
「応募用紙を正直に書いたのかい? 君の特性を知らなければ、年齢を考慮されて斥候部隊には配属しないと思うのだがね」
「技能については空欄で出しましたが……指揮官が俺の事を知ってる人で……」
「エッ、誰なノ?」
アイラスに問われ、本当の事を言うかどうか迷った。でも上手くいったら全部話すつもりだし、上手くいかなかった時の事を心配しても仕方がない。
「この前の騎士の人だよ。ほら、アイラスに絵を頼もうとしてた……」
思った通り、アイラスの目の色が変わった。その変化に気付いて、ホークが怪訝な顔をする。
「誰だい?」
「いや、名前はちょっと……知らないです。アイラスはわかる?」
「知らなイ!」
アイラスは突き放すようにいい、さっさとご飯を食べ始めた。溝はまだまだ深そうだ。
騎士の名前は、アドルからの手紙には書いてあったような気がするが、あの手紙は返してしまった。今日貰った用紙に名前が無いかと、ポケットに入れたままにしていた紙を広げてみたが、書いてなかった。
「ちょっとそれ、見せてもらえるかな」
「どうぞ」
「ふ~ん……なるほど。わかったよ」
「わかるんですか?」
「印章だよ。これで所属がわかる」
「詳しいですね」
「大型討伐には、何度か参加した事があるからね」
「……ねエ」
アイラスが、沈痛な面持ちで呟いた。
「……あの人、ロムを、危ない目ニ、合わせたリ、しなイ?」
「大丈夫だよ。俺が直接従うのは部隊長だし、一人で行動するわけじゃないから。部隊全員を見捨てるわけにもいかないだろうし」
「その騎士とやらは君に……」
言いかけたホークは、言葉を切ってアイラスの方を見た。アイラスの膝で丸くなっていたはずのトールは、今は起き上がって真っ直ぐホークの方を向いていた。何か会話をしているのは明らかだった。
「……いや、余計な詮索だったね」
「いえ……」
「大丈夫、何も聞いてないよ。余計な事を言うなと釘を刺されただけさ」
「ではアイラス、また後でね」
先に食べ終わったホークは、そう言って席を立った。
「午後、美術があるの?」
「ウン」
アイラスの受ける授業は、もうロムは把握していなかった。アイラスは保護区の中であれば、一人で何でもできるようになっていた。友達も増えたようだ。
今も、アイラスを見つけて急ぎ足で来る女の子達が居た。
「アイラス! 隣に座ってもいい?」
「いいヨー」
「……あ、ロム。お邪魔だったかな?」
「そんな事ないよ、大丈夫」
「ありがとう!」
アイラスの周りに人が集まると、自然と自分にも声がかけられるようになっていた。ロムにとって友達と言えるのは、相変わらずアイラスとトールと、後はアドルくらいだけれど、知り合いはこの数ヶ月でかなり増えたと思う。
最初は、アイラスは自分と似た孤独な子だと思っていた。実際そうだったんだと思う。でも、みるみるうちに環境に溶け込んでいった。
いや、アイラスが特別な訳ではないと思う。二年半ほど前、シンから一緒に逃れてきた子供達も、同じようにすぐ慣れていた。ロムだけが馴染めなかった。
——俺は、アイラスと一緒に居ても、いいのかな。
今更ながら、そんな事を考えた。アイラスは、もう一人で生きていける。言葉は不自由ではなくなったし、基礎教育も順調に進んでいる。お金もちゃんと自分の力で稼いでいる。
レヴィの工房への送り迎えだって、別に自分じゃなくても構わない。
この前の騎士はダメかもしれないけど、きっとまたアイラスの絵に惹かれる人は現れるに違いない。顧客がついていれば、成人してすぐにでも独立できると思う。レヴィが助けてくれるだろう。
アイラスにとって、自分は価値の無い人間に思えた。彼女から与えられるものはあるけど、逆に与えるものは何も無い。
ロムの夢も、友人も、全てアイラスが居たからこそ手に入ったのに。
——やばい、泣きそう。
「俺、先に戻ってるね」
すでに食事を終えていたロムは、慌てて立ち上がった。顔を見られないように気を付けて、振り向かずにそのまま立ち去った。
冒険者ギルドの窓口で伝えられた内容に、ロムは驚いた。
「そうなんです……誰かロムの事を知っている人でも居たのでしょうか……」
そんなの、あの騎士に決まってる。何の嫌がらせだ。そう思ったけれど、ロムの目的が討伐評価だとは知らないはずだ。だとしたら適材適所で、有能と言えるのかもしれない。
どっちにしろ、ロムにとっては嬉しくない配属になった。
「仕方ないです。とりあえず、やれるだけやってみます」
「そう……無理しないで下さいね。こちらが、準備していくものです」
そう言って渡された紙を、手に取って見た。
「食料が三日分ってことは、三日で終わるんでしょうか?」
「ちょっと意味が違いますね。通常、食事は四日目から支給されます。最初の三日分だけ持参して下さいねという意味です。今回は移動含めて四日……長くても五日程度になると思います。食料は、保護区で頼めば用意して頂けるのでしょう?」
「そうですね」
「斥候部隊なら、持ち物のほとんどは本隊に預けて偵察に行くはずです。何事も無いとは思いますが、あまりに貴重な品は入れない方がいいですよ」
今まで経験した戦いとは大分勝手が違った。自分の物はほとんど自分で用意しなければならない。これが傭兵というものなんだなと、改めて実感した。
受付の女性にお礼を言って、ギルドを出た。今戻るとお昼前だ。アイラスやトールと一緒に、お昼ご飯が食べられるかもしれないと考えていた。
保護区に戻って来ると、授業が終わって部屋に戻るアイラスと会った。
「おかえリ~」
「ただいま」
アイラスの顔を見て思い出した。大型討伐に応募した理由は、何も自分のためだけじゃない。あの騎士に認めてもらうためだ。それが、アイラスのためになると信じている。
だったら、別に討伐評価がもらえなくてもいい気がした。与えられた任務に全力を尽くそう。そう思うと、沈んでいた気持ちが浮上した。
じっと見つめていたら、アイラスが不思議そうな顔をした。
「どうしたノ?」
「何でもない」
そう言って、アイラスの頭をなでた。彼女は少し驚いて、少し照れくさそうに笑った。
そういえば、いつも頭をなでるのはアイラスの方だった。ロムが彼女の頭をなでるのは初めてだったかもしれない。なぜそうしたのかは、よくわからなかった。
アイラスは、どんな気持ちでなでてたんだろう。
「アイラスってさ……よく俺の頭なでてくれるけど、あれってなんで?」
「う~ん……そうネ。ロムが、可愛いナって、思ったら、なでたくなるノ」
「……男が可愛いって言われても、嬉しくないんだけど」
「そうだよネ! ごめんネ……。でもナンカ、そう思っちゃう時が、あるノ」
「ふ~ん……」
……あれ? じゃあ、つまり、自分がアイラスをなでたくなったのは……?
そこまで考えて、ロムの思考は停止した。
「どうしたノ?」
アイラスは再び聞いてきた。しかし、ロムは答える事ができなかった。火照った顔を見られないように、背けるので精一杯だった。
気づくと、二人の部屋の前まで来ていて、トールが呆れたような顔をして立っていた。
「おぬしも人の事言えんではないか。顔に気持ちがあらわれておるぞ」
「……余計な事言わないで」
「エッ? 何?」
「何でもない……早くお昼に行こう」
食堂でホークを見かけた。この前のレヴィの一件を思い出して、背筋が寒くなった。
大型討伐には明後日から行くのだから、その日以降の数回は授業に出られない。別に連絡の義務はないのだけど、言っておいた方がいいと思う。そうは思っても、話しかけるのが億劫だった。
ぐずぐずしていたら、ホークの方が先に話しかけてきた。
「やあ」
「コンニチハ!」
「……こんにちは」
「どうしたんだい? 元気がないね」
ホークが顔を覗き込んでくるので、近づかないでくれと思いながら、少し身を引いた。
「……何でもありません。それより俺、明後日から大型討伐に行くことにしたので、音楽の授業に出られないです」
「大型討伐? ゴブリンの集落かい?」
「はい」
「やはり討伐することになったのか。やつらは一体一体は弱いが、数で攻めてくる。囲まれないよう気を付けたまえ」
「俺は斥候部隊に配属されたので、前線に立つ事はそんなに無いと思います」
「君一人なら心配はないだろうが、何人かで一緒に行動するのだろう? 万が一の事があっても深追いはしないように」
「わかりました」
「立ち話もなんだから、座らないかね?」
誘われて、空いた席に三人で座った。
正直ロムは気が進まなかったが、断る理由を思いつかなかった。しかもホークと隣になった。アイラスと場所を変わって欲しい。こんな時、念話ができるトールが羨ましくなる。
そんなロムの様子には構わず、ホークは話を始めた。
「斥候部隊だと、討伐評価は貰えないかもしれないね」
「そこは気にしていません」
「応募用紙を正直に書いたのかい? 君の特性を知らなければ、年齢を考慮されて斥候部隊には配属しないと思うのだがね」
「技能については空欄で出しましたが……指揮官が俺の事を知ってる人で……」
「エッ、誰なノ?」
アイラスに問われ、本当の事を言うかどうか迷った。でも上手くいったら全部話すつもりだし、上手くいかなかった時の事を心配しても仕方がない。
「この前の騎士の人だよ。ほら、アイラスに絵を頼もうとしてた……」
思った通り、アイラスの目の色が変わった。その変化に気付いて、ホークが怪訝な顔をする。
「誰だい?」
「いや、名前はちょっと……知らないです。アイラスはわかる?」
「知らなイ!」
アイラスは突き放すようにいい、さっさとご飯を食べ始めた。溝はまだまだ深そうだ。
騎士の名前は、アドルからの手紙には書いてあったような気がするが、あの手紙は返してしまった。今日貰った用紙に名前が無いかと、ポケットに入れたままにしていた紙を広げてみたが、書いてなかった。
「ちょっとそれ、見せてもらえるかな」
「どうぞ」
「ふ~ん……なるほど。わかったよ」
「わかるんですか?」
「印章だよ。これで所属がわかる」
「詳しいですね」
「大型討伐には、何度か参加した事があるからね」
「……ねエ」
アイラスが、沈痛な面持ちで呟いた。
「……あの人、ロムを、危ない目ニ、合わせたリ、しなイ?」
「大丈夫だよ。俺が直接従うのは部隊長だし、一人で行動するわけじゃないから。部隊全員を見捨てるわけにもいかないだろうし」
「その騎士とやらは君に……」
言いかけたホークは、言葉を切ってアイラスの方を見た。アイラスの膝で丸くなっていたはずのトールは、今は起き上がって真っ直ぐホークの方を向いていた。何か会話をしているのは明らかだった。
「……いや、余計な詮索だったね」
「いえ……」
「大丈夫、何も聞いてないよ。余計な事を言うなと釘を刺されただけさ」
「ではアイラス、また後でね」
先に食べ終わったホークは、そう言って席を立った。
「午後、美術があるの?」
「ウン」
アイラスの受ける授業は、もうロムは把握していなかった。アイラスは保護区の中であれば、一人で何でもできるようになっていた。友達も増えたようだ。
今も、アイラスを見つけて急ぎ足で来る女の子達が居た。
「アイラス! 隣に座ってもいい?」
「いいヨー」
「……あ、ロム。お邪魔だったかな?」
「そんな事ないよ、大丈夫」
「ありがとう!」
アイラスの周りに人が集まると、自然と自分にも声がかけられるようになっていた。ロムにとって友達と言えるのは、相変わらずアイラスとトールと、後はアドルくらいだけれど、知り合いはこの数ヶ月でかなり増えたと思う。
最初は、アイラスは自分と似た孤独な子だと思っていた。実際そうだったんだと思う。でも、みるみるうちに環境に溶け込んでいった。
いや、アイラスが特別な訳ではないと思う。二年半ほど前、シンから一緒に逃れてきた子供達も、同じようにすぐ慣れていた。ロムだけが馴染めなかった。
——俺は、アイラスと一緒に居ても、いいのかな。
今更ながら、そんな事を考えた。アイラスは、もう一人で生きていける。言葉は不自由ではなくなったし、基礎教育も順調に進んでいる。お金もちゃんと自分の力で稼いでいる。
レヴィの工房への送り迎えだって、別に自分じゃなくても構わない。
この前の騎士はダメかもしれないけど、きっとまたアイラスの絵に惹かれる人は現れるに違いない。顧客がついていれば、成人してすぐにでも独立できると思う。レヴィが助けてくれるだろう。
アイラスにとって、自分は価値の無い人間に思えた。彼女から与えられるものはあるけど、逆に与えるものは何も無い。
ロムの夢も、友人も、全てアイラスが居たからこそ手に入ったのに。
——やばい、泣きそう。
「俺、先に戻ってるね」
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