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廉×碧
優しい先生
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なんだかんだで俺は助かった。
「神木碧(かみき あお)くん、具合はどうかな?」
「筒香先生!」
筒香 廉(つつごう れん)先生は俺の病室にノックして入ってきた。
あの日、俺が倒れた時にすれ違った人がたまたま筒香先生だったらしく、すぐさま救急車を呼んでくれた。持ち歩いてた薬から糖尿病だと判断してくれて、素早い処置で俺の体は直ぐに回復した。
まだ点滴は繋がっているけれど、飲み薬だけだった時より遥かに身体の調子は良かった。
「凄く元気です!ありがとうございます…!」
「そっか、良かった。だいぶ血糖値も良くなってきたね。けどもう少しだけ点滴は続けようね」
「はい」
俺はベッドの上に座っている状態だったけれど、筒香先生も俺のベッド端に腰掛けた。
こうやって近くで見ると余計に分かる。筒香先生はイケメンだ。それも、かなりの。筒香先生に付いてる看護師さんなんか目がハートになってることが多い。背も高くて、鍛えてるのか体格も良いし、その上イケメンでお医者さん。それに、
「本当に良かった。神木くんが無事で」
凄く優しい。性格も言うことなしって、完璧超人だ。
筒香先生は俺の頭に手を置いて、優しく撫でてくれた。少しくすぐったくて笑ってしまう。
「筒香先生のおかげです。本当にありがとうございます」
「いやいや、良かったよ。本当に。それにしても…その最初に診た先生も専門病院に紹介するとかしてくれれば良かったものの、どうして適当な薬で帰らせるかな……」
はぁ、と大きくため息をつく。筒香先生はそんな姿も絵になった。なんかドラマを見てる気分にさせられてしまう。
「俺も、もっとちゃんと調べれば良かったです……」
「いやいや! 必要な検査が足りてないのは病院側が良くない。 それに君はもう既に痩せていたし、インスリンが枯渇状態だったのは直ぐに想像つくはずだ。君のせいじゃないよ」
筒香先生が言うには、糖尿病というのはいくつか種類があるらしい。俺はその内の1型糖尿病というやつになっていた。小児の内に発見されることが多いみたいなんだけど、稀に俺みたく途中からインスリンが完全に無くなる人もいるみたい。身体の中にあるインスリンが足りないとかいうレベルではなく、『無い』のだ。だから本来なら外から補う必要があった。インスリンが無いと上手く身体に糖分が行き渡らず、痩せていったり、あんな風に倒れてしまったりするようだ。
「注射は慣れた?」
「……まだ、ちょっと怖いです」
「そっか。でも採血より痛くないだろう?」
「採血は看護師さんがやってくれるから痛くないです!」
ぷく、と膨れた。俺はインスリンを外から補う為に、自分で注射を打つ必要がある。毎食前必ずだ。
針はかなり細い。細いし、短い。けど怖いものは怖い。看護師さんがやってくれる採血の針の方が太いけど、看護師さんはちゃんと狙って勢いで刺してくれるから痛くない。注射を打つときに躊躇ってしまう僕のインスリン注射の方が何故か痛いのだ。
「ははは。じゃあ俺が打ちに来ようかな。毎食前に」
「! つ、筒香先生は痛くしそう……!」
「しないしない。痛くないよ。俺採血上手いって言われるし」
「ええー……」
ほんとかなぁ、なんて目で見ていると、筒香先生は信じて貰えないと肩を落として落ち込んでしまった。
「俺が神木くんに痛いことするわけないでしょー?」
インスリンはお腹に打っている。皮下脂肪があればどこでもいいらしいんだけど、今はお腹で統一して欲しいって言われてる。効きが微妙に早くなったり遅くなったりとほんの少し変わるらしい。
注射を打たれるということは筒香先生にお腹を見せることになるのだ。ちょっとそれは、だいぶ、恥ずかしい。意識のないときはいろんなところを見られたと思うけど、何となく嫌だ。
「あとさ神木くん、無理に敬語使わないで良いよ」
「え?でも」
「ね?」
「は、はい…あ、や、うん、分かった」
ニッコリと微笑まれ、俺は頷くことしか出来なかった。
筒香先生はそれからも、ことあるごとに俺の病室に来てくれた。忙しいはずなのに、現場に居合わせた責任からか、それとも医者としての責任からかは分からないけれどほぼ毎日来てくれたと思う。
そもそもお医者さんって休みあるのかな。なんか本当に毎日いるのだ。夜は帰って休めてるといいな。
そんなこんなで退院をした。筒香先生や看護師さんたちにお礼を言ってスタッフステーションを離れた。じーちゃんは仕事だったのに休んで退院手続きをしてくれて、恙無く退院することができた。
なんか余計な出費をさせてしまったけれど、保険があるから気にするなと睨まれた。じーちゃんはぶっきらぼうだけど、本当に優しい人だと思う。
「神木碧(かみき あお)くん、具合はどうかな?」
「筒香先生!」
筒香 廉(つつごう れん)先生は俺の病室にノックして入ってきた。
あの日、俺が倒れた時にすれ違った人がたまたま筒香先生だったらしく、すぐさま救急車を呼んでくれた。持ち歩いてた薬から糖尿病だと判断してくれて、素早い処置で俺の体は直ぐに回復した。
まだ点滴は繋がっているけれど、飲み薬だけだった時より遥かに身体の調子は良かった。
「凄く元気です!ありがとうございます…!」
「そっか、良かった。だいぶ血糖値も良くなってきたね。けどもう少しだけ点滴は続けようね」
「はい」
俺はベッドの上に座っている状態だったけれど、筒香先生も俺のベッド端に腰掛けた。
こうやって近くで見ると余計に分かる。筒香先生はイケメンだ。それも、かなりの。筒香先生に付いてる看護師さんなんか目がハートになってることが多い。背も高くて、鍛えてるのか体格も良いし、その上イケメンでお医者さん。それに、
「本当に良かった。神木くんが無事で」
凄く優しい。性格も言うことなしって、完璧超人だ。
筒香先生は俺の頭に手を置いて、優しく撫でてくれた。少しくすぐったくて笑ってしまう。
「筒香先生のおかげです。本当にありがとうございます」
「いやいや、良かったよ。本当に。それにしても…その最初に診た先生も専門病院に紹介するとかしてくれれば良かったものの、どうして適当な薬で帰らせるかな……」
はぁ、と大きくため息をつく。筒香先生はそんな姿も絵になった。なんかドラマを見てる気分にさせられてしまう。
「俺も、もっとちゃんと調べれば良かったです……」
「いやいや! 必要な検査が足りてないのは病院側が良くない。 それに君はもう既に痩せていたし、インスリンが枯渇状態だったのは直ぐに想像つくはずだ。君のせいじゃないよ」
筒香先生が言うには、糖尿病というのはいくつか種類があるらしい。俺はその内の1型糖尿病というやつになっていた。小児の内に発見されることが多いみたいなんだけど、稀に俺みたく途中からインスリンが完全に無くなる人もいるみたい。身体の中にあるインスリンが足りないとかいうレベルではなく、『無い』のだ。だから本来なら外から補う必要があった。インスリンが無いと上手く身体に糖分が行き渡らず、痩せていったり、あんな風に倒れてしまったりするようだ。
「注射は慣れた?」
「……まだ、ちょっと怖いです」
「そっか。でも採血より痛くないだろう?」
「採血は看護師さんがやってくれるから痛くないです!」
ぷく、と膨れた。俺はインスリンを外から補う為に、自分で注射を打つ必要がある。毎食前必ずだ。
針はかなり細い。細いし、短い。けど怖いものは怖い。看護師さんがやってくれる採血の針の方が太いけど、看護師さんはちゃんと狙って勢いで刺してくれるから痛くない。注射を打つときに躊躇ってしまう僕のインスリン注射の方が何故か痛いのだ。
「ははは。じゃあ俺が打ちに来ようかな。毎食前に」
「! つ、筒香先生は痛くしそう……!」
「しないしない。痛くないよ。俺採血上手いって言われるし」
「ええー……」
ほんとかなぁ、なんて目で見ていると、筒香先生は信じて貰えないと肩を落として落ち込んでしまった。
「俺が神木くんに痛いことするわけないでしょー?」
インスリンはお腹に打っている。皮下脂肪があればどこでもいいらしいんだけど、今はお腹で統一して欲しいって言われてる。効きが微妙に早くなったり遅くなったりとほんの少し変わるらしい。
注射を打たれるということは筒香先生にお腹を見せることになるのだ。ちょっとそれは、だいぶ、恥ずかしい。意識のないときはいろんなところを見られたと思うけど、何となく嫌だ。
「あとさ神木くん、無理に敬語使わないで良いよ」
「え?でも」
「ね?」
「は、はい…あ、や、うん、分かった」
ニッコリと微笑まれ、俺は頷くことしか出来なかった。
筒香先生はそれからも、ことあるごとに俺の病室に来てくれた。忙しいはずなのに、現場に居合わせた責任からか、それとも医者としての責任からかは分からないけれどほぼ毎日来てくれたと思う。
そもそもお医者さんって休みあるのかな。なんか本当に毎日いるのだ。夜は帰って休めてるといいな。
そんなこんなで退院をした。筒香先生や看護師さんたちにお礼を言ってスタッフステーションを離れた。じーちゃんは仕事だったのに休んで退院手続きをしてくれて、恙無く退院することができた。
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