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今日はベルンハルトと俺で、長期休みを取った。
ベルンハルトは長期と言っても、商会トップで忙しい身なので取れた休みは3日だけだった。
夏だし、暑いので避暑地に行こうということになった。やはり金持ちは言うことが違う。
馬車移動で半日かけて着いた先は、木々の生い茂る、若干標高の高い位置にある地域だった。
ポツンポツンと立っている家は、どれも豪邸……いや、別荘のようだ。俺は勝手にホテルでもあるのかな、なんて思っていたが、馬車が止まった位置はどうやら別荘というには広すぎる家だった。
まさかと思い、ベルンハルトに買ったんじゃないですよね?と尋ねると、ニッコリと何も言わなかった。
立ちくらみがしたのは気のせいじゃない。
食事の用意を自分でしなくてはならないのかと思えば、その時間だけ料理を作りに来てくれるらしい。
そして掃除や洗濯も勝手にされるらしい。
これだから金持ちは。その内にキャンプでもさせてやろうかと思ってしまった。
いや、普通に全てこなせそうでそれはそれでムカつくと思って止めることにした。
中に入ると、内装はそこそこ質素であった。
ベルンハルトが持っているホテル、あのホテルはベルンハルトの持ち物だと最近教えられた。そのホテルでは金銭感覚がバグっているとしか思えない内装をしていたのに。
この別荘は、無駄なものがなく、洗練された内装をしていた。もちろん絵画や花瓶はあったりするが、華美ではなく、内装に合わせた物であった。
しかし、そうは言ってもベルンハルトのことである。絶対絵画も花瓶も高いものには違いない。ただ、内装に合わせただけであって、安くはない。絶対にだ。
と言いつつ、この別荘の内装はどちらかと言うとテレビで見た日本の豪華な別荘という感じがあって、いつものホテルより親近感があって居心地が良かった。
あのホテルでは怖くてウロウロしたり出来なかったからありがたい。
「気に入った?」
「そうですね…なんか、日本っぽい感じがします」
「シオンがいた所? 異世界人に設計を頼んだからかなぁ」
やっぱり造っていた。散財なんて聞きたくなかった。
心の中で出るため息に、なんとか蓋をした。
「シオン、おいで」
手を握られて連れてかれたのは、リビングから続くベランダだった。
そのベランダには、檜で作られた露天風呂があった。
俺はそれはもう興奮した。目は完全にキラキラしていたに違いない。
この世界、湯船に浸かる習慣が平民にないのだ。
嬉しすぎて興奮して、ベルンハルトの方を見て飛びついた。
「っと」
「ベルンハルト~~~! 最高だー!」
「……シオンにそんなに喜んで貰えるなら作った甲斐があったね」
今すぐ入りたくてウズウズした。
今は昼で、外から丸見えなのではと思うが、標高もそこそこある所に作ったからなのか外からは簡単に見えないようになっていた。
「はぁー…入っていい? いい?」
「どうぞ」
この設計をした異世界人は絶対に日本人だ。ありがたい!ありがとう異世界人! ありがとうベルンハルト!
俺は速攻で服を脱いだ。タオルを持って露天風呂の横に膝をついて、桶を使って身体を少しお湯で流した。
熱さもちょうど良くて素晴らしい。語彙力なんかとうにない。いざ、入湯である。
「はぁーーーー」
「シオンがおじさんみたいな声出してるの面白いね」
ベルンハルトはクスクスと笑いながら、露天風呂の縁に腰掛けた。いつの間にかガウンを着ていて、濡れても大丈夫になっていた。
ベルンハルトは入らないのかなと思ったが、逆上せやすい体質らしい。
「足湯って言うのもあるから、足だけ入れれば良いんじゃないですか?」
「へぇ、そんなのあるの?」
「足湯カフェとかバーなんてのもあるくらい日本人は好きですよ」
「……それは面白そうだ。作ってみようか」
ベルンハルトの商魂に火をつけたらしい。後で色々聞かれそうだ。
それにしても涼しいし、露天風呂もあるし、別荘最高。さっきと言ってることが全然違うが、風呂があるのとないのではモチベーションが違う。根っこから日本人なのだと痛感させられた。
「これ、シオンの別荘だと思っていいからね」
「いやいや、それは」
「ね」
「ね、じゃない。おかしい、色々おかしい」
「嬉しい?」
「…………めちゃくちゃ嬉しいですけど」
ぶくぶくと、作法が悪いと言われても口元までお湯の中に入れる。俺のだったら気にしないことにした。
するとベルンハルトは微笑みながら、じっと俺を見た。
「な、なに」
「嬉しいなら、シオンからご奉仕してほしいな」
「ご奉仕」
「うん、そう。ご奉仕」
ベルンハルトはそう言うと、湯船に足だけ入れて俺をまたじっと見つめてきた。微笑んでるのがまたプレッシャーを感じさせてくる。
「シオン」
「~~~っ! わ、分かりました! 分かりましたよ!」
こうなりゃヤケだ。
自分からなんて恥ずかしさの極みだが、自分のためだけに露天風呂付きの別荘なぞ作られて見てほしい。言うことの一つや二つ、聞かなくては男が廃るというものだ。
いや、普通はそんなこと起きないと思うが。
ベルンハルトは長期と言っても、商会トップで忙しい身なので取れた休みは3日だけだった。
夏だし、暑いので避暑地に行こうということになった。やはり金持ちは言うことが違う。
馬車移動で半日かけて着いた先は、木々の生い茂る、若干標高の高い位置にある地域だった。
ポツンポツンと立っている家は、どれも豪邸……いや、別荘のようだ。俺は勝手にホテルでもあるのかな、なんて思っていたが、馬車が止まった位置はどうやら別荘というには広すぎる家だった。
まさかと思い、ベルンハルトに買ったんじゃないですよね?と尋ねると、ニッコリと何も言わなかった。
立ちくらみがしたのは気のせいじゃない。
食事の用意を自分でしなくてはならないのかと思えば、その時間だけ料理を作りに来てくれるらしい。
そして掃除や洗濯も勝手にされるらしい。
これだから金持ちは。その内にキャンプでもさせてやろうかと思ってしまった。
いや、普通に全てこなせそうでそれはそれでムカつくと思って止めることにした。
中に入ると、内装はそこそこ質素であった。
ベルンハルトが持っているホテル、あのホテルはベルンハルトの持ち物だと最近教えられた。そのホテルでは金銭感覚がバグっているとしか思えない内装をしていたのに。
この別荘は、無駄なものがなく、洗練された内装をしていた。もちろん絵画や花瓶はあったりするが、華美ではなく、内装に合わせた物であった。
しかし、そうは言ってもベルンハルトのことである。絶対絵画も花瓶も高いものには違いない。ただ、内装に合わせただけであって、安くはない。絶対にだ。
と言いつつ、この別荘の内装はどちらかと言うとテレビで見た日本の豪華な別荘という感じがあって、いつものホテルより親近感があって居心地が良かった。
あのホテルでは怖くてウロウロしたり出来なかったからありがたい。
「気に入った?」
「そうですね…なんか、日本っぽい感じがします」
「シオンがいた所? 異世界人に設計を頼んだからかなぁ」
やっぱり造っていた。散財なんて聞きたくなかった。
心の中で出るため息に、なんとか蓋をした。
「シオン、おいで」
手を握られて連れてかれたのは、リビングから続くベランダだった。
そのベランダには、檜で作られた露天風呂があった。
俺はそれはもう興奮した。目は完全にキラキラしていたに違いない。
この世界、湯船に浸かる習慣が平民にないのだ。
嬉しすぎて興奮して、ベルンハルトの方を見て飛びついた。
「っと」
「ベルンハルト~~~! 最高だー!」
「……シオンにそんなに喜んで貰えるなら作った甲斐があったね」
今すぐ入りたくてウズウズした。
今は昼で、外から丸見えなのではと思うが、標高もそこそこある所に作ったからなのか外からは簡単に見えないようになっていた。
「はぁー…入っていい? いい?」
「どうぞ」
この設計をした異世界人は絶対に日本人だ。ありがたい!ありがとう異世界人! ありがとうベルンハルト!
俺は速攻で服を脱いだ。タオルを持って露天風呂の横に膝をついて、桶を使って身体を少しお湯で流した。
熱さもちょうど良くて素晴らしい。語彙力なんかとうにない。いざ、入湯である。
「はぁーーーー」
「シオンがおじさんみたいな声出してるの面白いね」
ベルンハルトはクスクスと笑いながら、露天風呂の縁に腰掛けた。いつの間にかガウンを着ていて、濡れても大丈夫になっていた。
ベルンハルトは入らないのかなと思ったが、逆上せやすい体質らしい。
「足湯って言うのもあるから、足だけ入れれば良いんじゃないですか?」
「へぇ、そんなのあるの?」
「足湯カフェとかバーなんてのもあるくらい日本人は好きですよ」
「……それは面白そうだ。作ってみようか」
ベルンハルトの商魂に火をつけたらしい。後で色々聞かれそうだ。
それにしても涼しいし、露天風呂もあるし、別荘最高。さっきと言ってることが全然違うが、風呂があるのとないのではモチベーションが違う。根っこから日本人なのだと痛感させられた。
「これ、シオンの別荘だと思っていいからね」
「いやいや、それは」
「ね」
「ね、じゃない。おかしい、色々おかしい」
「嬉しい?」
「…………めちゃくちゃ嬉しいですけど」
ぶくぶくと、作法が悪いと言われても口元までお湯の中に入れる。俺のだったら気にしないことにした。
するとベルンハルトは微笑みながら、じっと俺を見た。
「な、なに」
「嬉しいなら、シオンからご奉仕してほしいな」
「ご奉仕」
「うん、そう。ご奉仕」
ベルンハルトはそう言うと、湯船に足だけ入れて俺をまたじっと見つめてきた。微笑んでるのがまたプレッシャーを感じさせてくる。
「シオン」
「~~~っ! わ、分かりました! 分かりましたよ!」
こうなりゃヤケだ。
自分からなんて恥ずかしさの極みだが、自分のためだけに露天風呂付きの別荘なぞ作られて見てほしい。言うことの一つや二つ、聞かなくては男が廃るというものだ。
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