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学園編

間接的に私にも責任あるかもだけど何で?いやほんとなんで?

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リークスに残りの薬草の入手を頼んだので、私はそのことをメイシェル大臣に知らせに行こうと、三度王宮の門の前に来ていた。
最初のひと悶着で覚えられたのか、ほぼ顔パスで門を通ることができた。
あれ、でも今回は逆に入る許可を取ってないから確認しなきゃいけないはずだけど、、、。
うん、私は知ーらない。
門番の兵士はずっとびくびくしてた。
まるで私が何かしたかのような態度はやめてもらいたい。

王宮に入ってすぐ、別の兵士が大臣のところへ案内してくれる。
すれ違う人全員に疑問を持った視線で見られて居心地悪かった。
「モルト様をお連れしました。メイシェル大臣、おられますか」
宰相の執務室よりは質素なつくりの扉の前で兵が入室の許可を願い、中から許可がされたので、兵士はでは私はここでと言ってこの場を離れていった。
私は扉を開けて入室する。
中は宰相の執務室と同じようなつくりだけどちょっとだけ材質が違うっぽい。
権威とかの問題なんだろうなあ。
「失礼します、リア・モルトです。メイシェル大臣」
「うむ、よく来てくれた。来てくれて悪いのだか少し待ってくれ。この仕事を終わらせねばいかんのでな」
「あ、いえ、薬草の手配は最低でも三日以内にできると報告しに来ただけなので、おかまいなく」
メイシェル大臣は執務机に山と置かれた書類と格闘していた。
そりゃそうだよね。
宰相が不在で王も政治に無頓着だと大臣とかえっぐい仕事量になるのは当たり前か。
本当に言いに来ただけだし、邪魔しても悪いから早々に帰ろうと退室の許可を取ろうと口を開いたら、扉がノックされて王子が入ってきた。
タイミング悪い。
「メイシェル大臣、私だ入るぞ」
「これは殿下、申し訳ございません、おもてなしできず」
大臣は机から立ち上がって王子を出迎える。
「いや、このようなことになっては仕方ないことだ。私も大臣に直接確認しないといけない書類を持ってきたので確認してほしい」
どうやらレオン王子もえっぐい仕事量を押し付けられているらしい。
まあ王太子だし、学園にいる頃から公務してたもんね。
ゲームでもエンカウント率が低いキャラでまあまあ攻略難易度高かったし。
「む?どうしてモルト嬢がここにいるんだ?」
ぼけーと二人の会話を聞いていたら王子になぜいるか聞かれてしまった。
王子も大臣も話すためにソファに向かい合ってる。
ぽつんと私だけ立ってるのは間抜けっぽいだけど。
「えっと、薬草の手配が最低でも三日以内には何とかなりそうなのでそれをお伝えしようと来たのです。お忙しいようですし、お伝え終わったのでもう帰ろうと退室の許可をいただきたいのですが」
「ああ、それはご苦労だな。報告ありがとう。いやでも待て。君は確かヒオウギの学習院に通っていたんだよな、それで薬学の博士免許も持っている」
「あの、はい、そうですが、、」
何が言いたいんだろう?なんかめんどくさそうなことになりそうな気が。
「ヒオウギの学習院は広い範囲を学ぶと聞いたが、薬学以外は何を学んだのだ?」
「えと、だ、大体の学門は学びました」
「具体的には?」
「?政治、経済、経営、薬学、医学、戦史、多言語、他国の歴史等、数論など、ほぼすべて博士免許を取得しましたが」
あれ、なんだか王子の瞳が怖いぞ?
「なるほど。では君はそれなりに国の政治を知っているということだな?」
「ええと、まあ、そうですね、、」
「わかった。君は何かこのあと外せない予定などはあるか?」
「あ、ありません」
「では、君に新しい仕事を用意しよう。今、王宮はかなり大変なのでな。猫の手も借りたいほどなのだ。ヒオウギの学習院出身の君がいれば百人力だろう」
「え?あの、え?」
「そうと決まればメイシェル大臣、彼女が仕事をできるように整えてくれるか?」
「おお!殿下確かに、ヒオウギの学習院で学んでいる彼女に仕事を手伝ってもらうのはいい考えですね。わかりました、すぐに手配致します」
「え?あの、ちょっと!」
大臣は王子の言葉ですぐにソファから立ち上がって執務室を出て行ってしまった。
私は出ていく大臣に手を伸ばした格好のまま放置されてしまった。
「さて、私はもう行くが、モルト嬢、君の働きに期待しているぞ」
「っちょ、待ってください!王子!ただの小娘に仕事ができるはずないじゃないですか!」
勢いのままに私は王子に抗議するが。
「ヒオウギの学習院出身者をただのとは評せない。それにこの状況の当事者を放置するのもいただけない。今はとりあえず大騒ぎにならないように情報規制しているが、どこから漏れるかもわからない状態だ。幸い君は優秀なようだし、監視ついでに仕事を手伝ってもらうのは良い考えだろう?」
「で、でも私はスターズ国の政治を知りません!それに体面というものもあるのでは?」
「そんなものはわかっている、任せる仕事はこちらで決めるし、表に出なければ体面など気にするだけ無駄だ。それに今の状況自体、既にこの国の面子は丸つぶれ状態と言ってもいい。宰相が死んでしまうか回復するかはまだ定かではないが、どちらにしても国を維持することが現段階では最重要項目。あと、安心していい。私とて鬼ではない。到底無理であれば帰ってもらう。まあできなければ国が傾くかもしれないが、実力であれば仕方ないし、できると予想したことしか回さない。君もこの国の貴族であれば、国に尽くすのは当たり前だと思うが?」
王子に脅し紛いの言葉と貴族の義務を立てにやり込められてしまった。


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