悪役に転生したけど親バカが優秀過ぎてシナリオ通りにならない

ライ

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第四幕

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「ああ、仕事なんて辞めてメリアと一緒に旅とかしたい」
「旦那様?何をふざけたことをぬかしているんですか?メリアはまだ動くこともままならない赤子なのですよ、それに貴方が仕事を辞めては国が傾きます」
「いやいや、そんな簡単に壊れるならそれまでじゃないか。俺一人の力が抜けたところで多少まごつくだけだろ」
「はあー旦那様は自分の力を過小評価し過ぎです。そんなことを言っては部下の方々が泣きますよ」
「若いうちの苦労は買ってでもしろと言うだろう、部下の大半はまだまだ若いんだから文句なんて言わせないよ」
「まあ!それを言うなら、旦那様だって部下の方々と同じくらいにはお若いでしょう?その理屈が通るなら旦那様とて苦労は買ってでもしなくては、じゃありませんか?」
「うっ、そ、それは…」

起きたら私を挟んで父親と多分母親?な人が話をしていた。
内容は仕事を辞めたい父親を多分母親が言い負かすという感じのもの。
母親の容姿は、茶髪に所々銀が混ざった、元日本人としてはおそらくメッシュと表現するのが一番近いような髪型に、見ているとほんわかするというか、とても優しそうな性格をしていそうな見た目をしている。
会話の様子からすると、父親よりも多分母親のほうが立場は上のようだ。
どの世界でも女は強し、ということか。
私が起きたことで、父と母の関心は私に向かってくる。
「ああ!俺の可愛いメリア!起きたのかい」
いっそ芝居がかっていると言っても良いくらい、一つ一つの動作が大袈裟な、父(仮)。
はっきり言うと、とても存在がうざい。
設定資料では冷徹無慈悲な国の重臣として書かれていたはずだが、ここにいる人はただの親バカにしか見えない。
こんなんでこの国大丈夫なのだろうかと、どうでもいいことを考えてしまう。
私がしょうもないことを考えていると、母(仮)が父とは違ってゆったりとした動作でこちらに手を伸ばす。
「起きたのね、メリア」
そう言いながら、私を自分の腕の中に抱いた。
第一印象は包み込む優しさがある、といったところか。
しかし、先ほどの父とのやり取りを見ると、優しさだけではないのは明らかだが。
無言で見つめ合う母と私。
一切泣かない私に何を思ったのか、母はニコニコしながらゆっくりとベッドに戻す。
「今は眠りなさい、子供の仕事は寝ることよ」そう言い、私の腹に手を置いてとんとんしてくる。
その手つきは優しく、壊れ物を扱うように繊細であった。
私は抵抗する間もなく、赤ん坊の本能に負け、深い眠りについた。
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