不毛な恋

ライ

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1章

この国の仕組み

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この国には昔から吸血鬼がいると考えられています。
しかし吸血鬼が存在しているのは分かっているのに、彼らはとても巧妙に自分たちの存在を隠すので、本物の吸血鬼をこの国の国民は見たことがありません。
いや見たことがあってもその記憶を消されているだけかもしれません。
しかし誰も吸血鬼が恐ろしいとは思いません。
彼らは人間を食料と考える輩もいますが、ほとんどの者たちは人間と可能な限り友好的な関係を築き上げたいと考え、それを実行しているのです。
まず彼らは人の血を吸いますが、献血の要領で血液をパック詰めにしてそれを食事とするので、噛みついて吸う行為は、今の時代では禁止されてはいませんが、相手の了承を得ずにやることは絶対にありません。
こう言った行動で、彼らは人間と共存し自分たちの存在を隠しています。
しかしこう言った行動で、彼らがいくら人間に心を砕いてもやはり捕食者と被捕食者の間には、越えられない壁があるのでしょう。
彼らはそのことを大昔に学びならばと思い彼らは、できうる限り人間の前にその姿を現さず、生きるために必要な血も人間の同意なしでは食べないと決めたのです。
だからこの国には吸血鬼がいるが、彼らの存在を見たことがある人間がいないのです。
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