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とある滅亡
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ああ、あの国が滅んだのだね。まあ、予想されたことではあるが……思いの外早かった、というべきかな。
おや、おまえ達の中には、あの国を知らない者もいるのか。
そうだねえ……まあ、それじゃあ昔話に付き合ってもらえるかな。
その国の興りは私も知らない。知っている者は全て亡くなっているのではないかな。
ただ異世界から召喚された聖女と何やら功績をたてた勇者が興したと聞いたことがある。
ん?
仮にも『勇者』ならその功績が明らかになっていないのはおかしい?
その通り、私もそれを聞かされた時は変だなと思ったものさ。ただあの国の人間はそう信じていたし、そんな大昔の話を追求するのも野暮だと思っていたからね、敢えて突っ込まなかった。
ただ問題は、勇者じゃなく聖女の方だった。
異世界から来た聖女は勇者を愛し、彼の子孫を護る国の守護神になったという。それが『愛の女神』。
念のために言っとくけど、他の国で信仰されてる愛の女神とは別の神様だよ。それも、おそろしく依怙贔屓の神様だ。
依怙贔屓。うん、神様だから。
本当なら神様は、信仰を捧げる者には平等にその恩恵を与えるものなんだが。
今考えれば到底神様のやることではない。
だが当時のあの国では、それが常識だった。
あの国の名は、多分おまえ達には聞かされていなかろうね。北の大山脈と東大洋に挟まれた、小さな国だった。国土はささやかだったが肥沃で、それも守護神の恵みと言われていた。
だが他の国との間に魔物の多く棲む大森林を挟み、街道も整備が疎かにされて他国との交流は僅かだった。そうだね、自分達の世界にとじ込もっていたのは確かだ。
全くなかった訳ではないよ。ただ他の国にとっても、その国は旨味がなかった。そこそこ豊かではあっても他国へ食料等輸出できる程ではなし、人材や文化も大陸全体からみれば中の下といったところ。
……うん、そうとも。当時の私はその国の人間だった。そんなこともあの国を出て初めて知ったのだけれど。
狭い世界に閉じ籠ったあの国の住民は、その国内の考えが全てだった。他から見れば呆れるしかないものでもね。
具体的には?
そうだね、さっきの依怙贔屓の話かな。
愛の女神さまは、とりわけ若い娘の守護神と言われてはいたが。こちらも依怙贔屓が激しかった。
具体的には、かの女神が加護を与えるのは決まって若い、また見目の美しい娘ばかり。そうとも、若い娘。
つまり加護を与えた相手が年をとると、その加護を引き上げたりしていた。うん、普通はあんまりしないことだね。
神様の加護というのは有り難い恵みであると同時に、神様ご自身がその対象にある程度責任を負うことになる。無論幾ら加護が篤くとも、人間が神様の意思のまま動く訳ではない。その意を汲んで極力その意思に沿うようにするのが精一杯。
ところがあの国の女神様はずいぶんと気性の激しい方で。加護相手でさえ彼女の意に染まない行いをすればさっさと加護を外してお仕舞いになるし、そうでない者には更に容赦がなかった。
女神に供えるための花畑に、うっかり迷い込んだ子どもが生きたまま野獣に食い殺されたのも女神様の思し召しだったということだ。
女神様は若い娘、特に見目良い娘に加護を与えることがあったが、その対象は美しいというより可愛らしい者ばかり、あまり物を知らない身分のない娘を守護なさった。特に美しい娘や身分の高い娘、そして頭の良い娘は好かれなかった。
後にそうした加護を望めない娘達は国外に出るようになった。おまえ達も知っているだろう、その頃時の賢者様が転移の魔法陣を開発され、一気に国同士の距離が縮まった頃。あの国や東大洋の島国など、あまり他国との交流が盛んではなかった国もその中に組み込まれ、行き来は増えた。
それでようやく、あの国の住民達は自分達が取り残されていたことを知ったのだよ。
女神様はその国の者を守護すると言ってはいたが、守りはしても育てはしなかった。
他の国では技術の進歩や変革があり、国力を増す策が奨められたりで、それまでは実力があっても捨て置かれた者達が重用されたり。それによってどこの国もずいぶんと進んでおり、あの国はすっかり時代に乗り遅れ、辺鄙な田舎に成り果てていた。
一般の民草はともかく、上層部には衝撃だったようだね。それまでは狭い世界で、自分達は女神様の守護の元進んだ文化を享受する優れた民だ、と思い込んでいたのだから。
動揺が広がるうち、女神の存在を疑問視する者も出た。もちろん大っぴらではないが、守護していると言いながら他の国より状況が悪いなんて、という漠然とした不安だね。
依怙贔屓も良くなかった。今までは国を栄えさせてくれる神様だし、多少理不尽でも受け入れていたけれど実際は大したこともしていないんじゃないか、とね。
他の国も神様の守護がなかった訳ではない。ただあの国よりずっとその存在は薄かった。加護を与える人間もごく限られていたし……。
神様という存在に対し敬意は払うが重きは置かない、ところが殆どだったね。政治に宗教を絡めるのは災いになるという考えが主流だった。一部の宗教国家を除いてね。
いっそそういう国であれば良かったのかもしれない。女神を讃えその守護のもとに在る国家。
そうならなかったのは、一般的に宗教国家は清貧を以て尊しとするのが常だったため。少なくとも女神様の大好きな華やかなドレスだの綺羅綺羅しく豪華な宝飾品だの、宗教国家ではあり得なかったからねえ。もちろん、それ以上に好んでおられた男女の色恋沙汰等ご法度だもの。到底そんな体制は選べなかった。
その空気を感じ取ったのか、ある日女神様は神託を下された。その内容もまた、実にこの女神らしいものだった。
曰く、自身の守護する国は他国との交易を最小限度とし、他国の者を移住させないと誓約を結ぶのなら、これまで以上の加護を授けよう、と。土地は豊かに恵みあふれ、災害は起こらぬよう守護を強めてやる、ただし他国との付き合いは禁止し、入国する者は皆審査を受ける必要がある、と述べたてた。
いやもちろんその頃だって、外国から来た者が審査を受けるのは当たり前だった。無制限に人を受け入れて何かあったら困るのだもの。さすがに街道のないところから密入国すればその審査はないのだが、そういうのはそもそも人目を憚る犯罪者か何かの事情持ち。
そうでない者達には今更何を、と首を傾げる話だ。
大方がそんな反応だったので、女神様は更に『国のためになる特典』を語ったそうだ。その具体的な内容は私も知らない、けれどその後に起きたことから想像はつく。
さて、女神の宣言に国の上層部は鳩首会議、色々論議もあったそうだ。
そんな折から、神殿の神官長が女神様にお伺いを立てたそうな。つまり、神様の好まないであろう見た目の冴えない者や年老いた者、そして彼女の加護に合わない利発な娘。そうした者達は国に必要ないのだから、国から出してしまえばいいのではないか、とね。
女神様はその提案に飛び付いた。自分の美意識にそぐわない者には苛烈な性質で、そうした者に加護を与えないのはもちろん、些細な不運や行き違いを味あわせて悦に入るようなとこうろがあった。
言ってみれば、ある意味とても『女性らしい』神格だったね。
だからこそ、彼女の悋気を被る羽目になりかねない娘達の安全を確保するために、その神官が他の者達と図って申上したのさ。そんな国でも、自分の娘を愛する親はいた。外の世界を見たからこそ、国内の状況が真っ当ではないと気づいて、せめて娘を逃がそうとしたのだね。
幸い、女神もその敬虔な信者も、その思惑には気づかなかった。或いは女神様のもたらす平和な素晴らしい世界を信じ、出ていきたければとっとと出ていけ、という心情だったのかもしれない。
女神様の許可を得て、国境近くに転移の魔法陣が置かれた。一方通行のそれは、他国の所有で、勝手に壊したり使えなくしたりは出来ないものにされたのは、先々を見越してのこと。
この先、他国との交易を縮小するなら、なおのこと行き場を失う者が出るだろう。そんな者に逃げ場を与えるためだ。周辺国にも秘かに協力を要請していたようだね、他国もまだ人を受け入れる余地はそこそこあったのが幸いだった。
国境を閉ざす間際までに、総国民の3割は出国したそうな。女神様のお嫌いな、身分ある貴族の娘ばかりではない。あちこちの町や村に暮らす、見た目は美しくなく平凡な女達が揃って国を出た。
年老いた女達は、今更外へ行っても、とそれほど熱心ではなかったけれど。後は見目の良くなく身分のない男達も、ここにいてもどうにもなるまいと諦めて逃げた者が多かった。
王宮のある中心部はともかく、田舎はあちこちで村が無くなったそうだよ。貴族達も領地に人がいなければ幾ら実りがあろうとも無意味なことに気づいて流出を止めようとしたが、そのうち自分達も逃げる準備を始める者が増えた。
その間、王家や女神神殿が何をしていたかと言えば。
女神の能力を国内に行き渡らせるために、と称して大規模な儀式の準備をしていた。何でも、女神の能力の媒介として最高の存在を顕現させるという話だった。
その儀式の当日。
平民は多く国を出たものの、貴族はまだ大半が国内に留まっていた。生活必需品や嗜好品が手に入り難くなっていることに気づいている者も多かったが、皆あまり深刻にとらえていなかった。大貴族の領地はあまり流出も起きていなかったこともある。
そうした貴族達を集めて神殿が行った儀式は、『召喚』だった。
女神の力を受け止める器を、この世界に呼び寄せるという儀式。
それに応じて現れたのが、一人の少女。如何にも女神様のお好きそうな、可愛らしく物事を知らず、見目良い男達にちやほやされることのみ求める新しい『聖女』が現れた。
まあ可愛らしい娘だったよ。王子や他の貴族令息が、丁寧に挨拶するのに戸惑いながら目を輝かせていた。異世界から持ち込んだ何と言ったかな、物事を調べる道具が使えなくなった時はずいぶんふくれていたが。
食べ物や衣類、身の回りのこと全てが彼女からしたら不便でどうしようもなかったらしいが。その代わりになるものも思い付かなくて頻りに愚痴をこぼしていた。
清潔や利便を望むのならば、それに応じた魔法はあるのだけれどね。彼女はそちらの素養も無くて、付けられた侍女がそちらを対応していた。
何でも魔法の無い世界から来たそうで、魔法自体には興味津々だったよ。興味の向くものにはかなり熱心だったけれど、それが自分の手に負えないとなると、あっさり切り捨てる。その辺なかなか切り替えが早かった。
魔法を教えていた教師役の青年とは親しくしていたね。まあ彼は見た目も良い上に魔法では国内でも随一と言われた天才、でなければ女神の愛し子として召喚された聖女の教師等なれない。
彼女の周りには、見目良く才能あって身分も高い青年が集められていた。もちろん彼女をこの世界に繋ぎ止めるために。女神様が彼女にどういう話をなさったのかは知らないが、彼女自身あの国のためにと意気込んでいるようでもあったよ。
ただ、女神様が約束されたように、他国より優れた生活という訳にはいかなかった。実り豊かな大地も増えた家畜も、目覚ましい程ではなく……それに何より人が減ったからねえ。実りを収穫する者、家畜を養い供する者、そうした働き手が少なくなっていた。
女神様はご自身のために作られる織物や装飾品の職人、花々を育てる者等は出国を許されなかったのだが。そんな者の中にも、国に見切りをつけてこっそり脱出する者がいた。もちろん残って女神のために腕を振るっていた者もあったけれど。
さて聖女を取り囲む青年は、国でも人気の貴公子揃いだった。さっき言った魔法使いも身分こそ低いがその才能は折り紙付きだし、何より見た目が良かった。
これも女神様のお好みなのだろう、見目麗しい男性は特に女神様に愛されていた。金髪碧眼、眉目秀麗、少し線の細い文官肌が特にお好きだったようだね。騎士でも鍛えて筋骨隆々、といった類いには冷淡だった。
そして聖女様も、そうした好みは女神様とそっくり同じだったのだよ。ただし彼女の場合、自分以外の女性は基本的に嫌いだったのだけれど。
この世界にやってきた彼女の身の回りの世話をするために、僅かに残っていた侍女を付けたのだけど。聖女様はその彼女達をことのほかお嫌いになられた。ドレスを着るためにコルセットを締めるのが乱暴だ、髪をとかすのが雑だとか文句が絶えなかった。
そうした侍女達も、その頃にはかなり減っていたのだけれどね。皆国を出て行ってしまったから。
私はその頃になって初めて直接聖女様にお会いした。実に可愛らしい方だったよ、如何にも女神様のお好みの。
侍女がいなくなって本来ならその職務に就くはずのなかった者が、代わりにそこに充てられた。それが私達だったのだよ。
五人で持ち回りに彼女の面倒を見ることになったのだけれど……聖女様は私達のような娘を嫌ってらしたからね。最初はずいぶんご機嫌斜めだった。
私達かい?あの国の貴族令嬢だったのだよ。その、聖女様に付けられた貴公子達と縁の深い者ばかり。一人は貴族ではなく魔法使いの恋人で、やはり優秀な魔女だったけれど。
それも女神様のご指示だったのかな、今ではわからないけれどそうだったとしても驚かないね。
その娘達をこき使い、難癖をつけるのが聖女様は大変お好きだった。
いや本当に。
些細な、例えば朝起こす際の声のかけ方が煩いとかカーテンの開け方が乱雑だとかから始まって朝食のメニューがお好みとは違う、いつも同じものだとか……後は髪を梳かす際に櫛の使い方が悪いだとか。
どうしろとかどこが悪いとは言わないのだね、決して。ただ嫌だ、煩い、乱暴だと言うだけ。他から見れば乱暴とも煩いとも取れないので、直しようがない。
まあ、概ね難癖を付けたいだけだったのだろうね。皆それをわかっていたし、だからといって聖女様を咎めることも出来ない。
私達は女神様のお嫌いな、そして聖女様も好かない、美しい娘や身分の高い娘、そして頭の良い娘だったからね。
……いやいや、そこまで自惚れているわけではないよ、これ笑うでない。
私達は皆貴族令嬢だったのだから、少なくとも身分の高いことだけは確かじゃないか。
そうこうするうちに、女神様と約束したもう一つの儀式の日が近づいてきた。
この儀式については私達もずいぶんと後になってから詳細を伺ったのだった。何でも王宮と神殿の本当に上層部だけで綿密な打ち合わせをしていたそうだ。極秘でね。
何しろ儀式の内容が内容だ、女神様をこの地に顕現さしめるためのものだというのだから。
これは女神様ご自身のお言葉だったそうだが、聖女様には内密にされていた。
何故かと言えば、その儀式は女神様を聖女様の肉体に取り憑かせるためだったから。
最初からそのために、聖女様をこの世界に召喚したのだって。
女神様と相性の良い、彼女の好みそうな少女を選んで呼び寄せた。それには容姿も含まれるし、声音とか髪質など、細かい女神様なりの拘りがあって召喚陣を作成した神殿の神官達も大変な苦労だったそうだよ。
聖女様を呼び出してからも女神様は色々彼女の様子を調べていたそうだ。前提条件は確かに彼女の指示通りではあっても、実際のところ魂と肉体の相性はその場になってみないとわからない部分があるらしい。
其処らはいかに神官様といえど、徒人には窺い知れぬ。何より聖女様のその持って生まれた魂がどれくらい女神様と近しいか、それが鍵なのだとか。
幸い、と言うべきかな、聖女様は女神様の望みに大変相応しく、滞りなく儀式を行えそうだ、と言うことになって。
我々、彼女の侍女になっていた娘達は国境まで移動させられた。その時点では何も聞かされていなかったから、ずいぶん不安だったのだけどね……すぐに隣国の街へ行くように言われたけれど、頼み込んで拝み倒して翌朝まで移動を待ってもらった。貴族の娘を複数連れて夜間行軍を避けたい気持ちもあったのだろう。
国境の移動魔方陣は山の中腹にある。目を凝らせば、遙か遠くに王都が窺えるような立地だ。
何が起こるのかは知らされていなかったが、何かが起こるとは全員思っていた。
今でも目の前に浮かぶようだよ。
鬱蒼と茂る森の向こう、石造りの街。その中でも比較的高いところにあった神殿に、夜明けの最初の光が射す頃だった。
まるでその朝日に呼応するかのように、神殿が光を放つのが国境からでも見えた。
女神様の降臨だ、と護衛の騎士が呟いて始めて私達は何が起こっているのかを察したのだ。
思えば聖女様には本当に申し訳ないことをした。
生まれ育った世界から無理矢理この世界に呼び出され、慣れない生活を送らされ。
貴公子達にちやほやされるのは楽しそうだったし、我が儘を楽しんでらっしゃるようだったけれど、まさかにその肉体を女神様に召し上げられるとは思ってもいなかっただろうに。
それを見届けて我々は人の住む街へと向かった。
故国は本当の意味で女神様の国になるのだから、我々が住み暮らす場では無くなったのだとね。
もっとも、私達が隣国に落ち着いてまもなく、故国から王子達がやってきたのには驚いた。何でも、女神様はこれからお気に入りの男達と楽しく過ごすから、国を護れだの仕事をしろだの煩いことを言う者は出て行け、と追い出されたのだって。
当人達は肩の荷が下りた、と本当に疲れても安堵している風だったけれど。
「あら、お帰りなさい」
「ただいま」
疲れたように笑って男は妻の身体に手を回した。
「……お疲れ様。後始末は、お仕舞いですの?」
「うん、とりあえずは。……もうあのクソ女神に付き合わなくて済むだけで此処は天国だよ」
「それが母国が滅んだ日の言葉でございましょうか、亡国の王子様」
「もう俺王族じゃないし。……大事な奥さんとこの子だけで精一杯だよ、俺の守るべき民は」
言いながら膨らんだ妻の腹をなぞる。その手つきは実に愛おしそうなものだ。
「……ふふ」
妻はちょっと笑う。出自のせいで些か時代がかった物言いの癖が付いているが、まだ若い。初産に不安はあるが、夫がいてくれ、また友人や故国の仲間もいる。きっと何とかなる、と思うのだ。
例え生まれ育った国が滅んだと言っても。
おや、おまえ達の中には、あの国を知らない者もいるのか。
そうだねえ……まあ、それじゃあ昔話に付き合ってもらえるかな。
その国の興りは私も知らない。知っている者は全て亡くなっているのではないかな。
ただ異世界から召喚された聖女と何やら功績をたてた勇者が興したと聞いたことがある。
ん?
仮にも『勇者』ならその功績が明らかになっていないのはおかしい?
その通り、私もそれを聞かされた時は変だなと思ったものさ。ただあの国の人間はそう信じていたし、そんな大昔の話を追求するのも野暮だと思っていたからね、敢えて突っ込まなかった。
ただ問題は、勇者じゃなく聖女の方だった。
異世界から来た聖女は勇者を愛し、彼の子孫を護る国の守護神になったという。それが『愛の女神』。
念のために言っとくけど、他の国で信仰されてる愛の女神とは別の神様だよ。それも、おそろしく依怙贔屓の神様だ。
依怙贔屓。うん、神様だから。
本当なら神様は、信仰を捧げる者には平等にその恩恵を与えるものなんだが。
今考えれば到底神様のやることではない。
だが当時のあの国では、それが常識だった。
あの国の名は、多分おまえ達には聞かされていなかろうね。北の大山脈と東大洋に挟まれた、小さな国だった。国土はささやかだったが肥沃で、それも守護神の恵みと言われていた。
だが他の国との間に魔物の多く棲む大森林を挟み、街道も整備が疎かにされて他国との交流は僅かだった。そうだね、自分達の世界にとじ込もっていたのは確かだ。
全くなかった訳ではないよ。ただ他の国にとっても、その国は旨味がなかった。そこそこ豊かではあっても他国へ食料等輸出できる程ではなし、人材や文化も大陸全体からみれば中の下といったところ。
……うん、そうとも。当時の私はその国の人間だった。そんなこともあの国を出て初めて知ったのだけれど。
狭い世界に閉じ籠ったあの国の住民は、その国内の考えが全てだった。他から見れば呆れるしかないものでもね。
具体的には?
そうだね、さっきの依怙贔屓の話かな。
愛の女神さまは、とりわけ若い娘の守護神と言われてはいたが。こちらも依怙贔屓が激しかった。
具体的には、かの女神が加護を与えるのは決まって若い、また見目の美しい娘ばかり。そうとも、若い娘。
つまり加護を与えた相手が年をとると、その加護を引き上げたりしていた。うん、普通はあんまりしないことだね。
神様の加護というのは有り難い恵みであると同時に、神様ご自身がその対象にある程度責任を負うことになる。無論幾ら加護が篤くとも、人間が神様の意思のまま動く訳ではない。その意を汲んで極力その意思に沿うようにするのが精一杯。
ところがあの国の女神様はずいぶんと気性の激しい方で。加護相手でさえ彼女の意に染まない行いをすればさっさと加護を外してお仕舞いになるし、そうでない者には更に容赦がなかった。
女神に供えるための花畑に、うっかり迷い込んだ子どもが生きたまま野獣に食い殺されたのも女神様の思し召しだったということだ。
女神様は若い娘、特に見目良い娘に加護を与えることがあったが、その対象は美しいというより可愛らしい者ばかり、あまり物を知らない身分のない娘を守護なさった。特に美しい娘や身分の高い娘、そして頭の良い娘は好かれなかった。
後にそうした加護を望めない娘達は国外に出るようになった。おまえ達も知っているだろう、その頃時の賢者様が転移の魔法陣を開発され、一気に国同士の距離が縮まった頃。あの国や東大洋の島国など、あまり他国との交流が盛んではなかった国もその中に組み込まれ、行き来は増えた。
それでようやく、あの国の住民達は自分達が取り残されていたことを知ったのだよ。
女神様はその国の者を守護すると言ってはいたが、守りはしても育てはしなかった。
他の国では技術の進歩や変革があり、国力を増す策が奨められたりで、それまでは実力があっても捨て置かれた者達が重用されたり。それによってどこの国もずいぶんと進んでおり、あの国はすっかり時代に乗り遅れ、辺鄙な田舎に成り果てていた。
一般の民草はともかく、上層部には衝撃だったようだね。それまでは狭い世界で、自分達は女神様の守護の元進んだ文化を享受する優れた民だ、と思い込んでいたのだから。
動揺が広がるうち、女神の存在を疑問視する者も出た。もちろん大っぴらではないが、守護していると言いながら他の国より状況が悪いなんて、という漠然とした不安だね。
依怙贔屓も良くなかった。今までは国を栄えさせてくれる神様だし、多少理不尽でも受け入れていたけれど実際は大したこともしていないんじゃないか、とね。
他の国も神様の守護がなかった訳ではない。ただあの国よりずっとその存在は薄かった。加護を与える人間もごく限られていたし……。
神様という存在に対し敬意は払うが重きは置かない、ところが殆どだったね。政治に宗教を絡めるのは災いになるという考えが主流だった。一部の宗教国家を除いてね。
いっそそういう国であれば良かったのかもしれない。女神を讃えその守護のもとに在る国家。
そうならなかったのは、一般的に宗教国家は清貧を以て尊しとするのが常だったため。少なくとも女神様の大好きな華やかなドレスだの綺羅綺羅しく豪華な宝飾品だの、宗教国家ではあり得なかったからねえ。もちろん、それ以上に好んでおられた男女の色恋沙汰等ご法度だもの。到底そんな体制は選べなかった。
その空気を感じ取ったのか、ある日女神様は神託を下された。その内容もまた、実にこの女神らしいものだった。
曰く、自身の守護する国は他国との交易を最小限度とし、他国の者を移住させないと誓約を結ぶのなら、これまで以上の加護を授けよう、と。土地は豊かに恵みあふれ、災害は起こらぬよう守護を強めてやる、ただし他国との付き合いは禁止し、入国する者は皆審査を受ける必要がある、と述べたてた。
いやもちろんその頃だって、外国から来た者が審査を受けるのは当たり前だった。無制限に人を受け入れて何かあったら困るのだもの。さすがに街道のないところから密入国すればその審査はないのだが、そういうのはそもそも人目を憚る犯罪者か何かの事情持ち。
そうでない者達には今更何を、と首を傾げる話だ。
大方がそんな反応だったので、女神様は更に『国のためになる特典』を語ったそうだ。その具体的な内容は私も知らない、けれどその後に起きたことから想像はつく。
さて、女神の宣言に国の上層部は鳩首会議、色々論議もあったそうだ。
そんな折から、神殿の神官長が女神様にお伺いを立てたそうな。つまり、神様の好まないであろう見た目の冴えない者や年老いた者、そして彼女の加護に合わない利発な娘。そうした者達は国に必要ないのだから、国から出してしまえばいいのではないか、とね。
女神様はその提案に飛び付いた。自分の美意識にそぐわない者には苛烈な性質で、そうした者に加護を与えないのはもちろん、些細な不運や行き違いを味あわせて悦に入るようなとこうろがあった。
言ってみれば、ある意味とても『女性らしい』神格だったね。
だからこそ、彼女の悋気を被る羽目になりかねない娘達の安全を確保するために、その神官が他の者達と図って申上したのさ。そんな国でも、自分の娘を愛する親はいた。外の世界を見たからこそ、国内の状況が真っ当ではないと気づいて、せめて娘を逃がそうとしたのだね。
幸い、女神もその敬虔な信者も、その思惑には気づかなかった。或いは女神様のもたらす平和な素晴らしい世界を信じ、出ていきたければとっとと出ていけ、という心情だったのかもしれない。
女神様の許可を得て、国境近くに転移の魔法陣が置かれた。一方通行のそれは、他国の所有で、勝手に壊したり使えなくしたりは出来ないものにされたのは、先々を見越してのこと。
この先、他国との交易を縮小するなら、なおのこと行き場を失う者が出るだろう。そんな者に逃げ場を与えるためだ。周辺国にも秘かに協力を要請していたようだね、他国もまだ人を受け入れる余地はそこそこあったのが幸いだった。
国境を閉ざす間際までに、総国民の3割は出国したそうな。女神様のお嫌いな、身分ある貴族の娘ばかりではない。あちこちの町や村に暮らす、見た目は美しくなく平凡な女達が揃って国を出た。
年老いた女達は、今更外へ行っても、とそれほど熱心ではなかったけれど。後は見目の良くなく身分のない男達も、ここにいてもどうにもなるまいと諦めて逃げた者が多かった。
王宮のある中心部はともかく、田舎はあちこちで村が無くなったそうだよ。貴族達も領地に人がいなければ幾ら実りがあろうとも無意味なことに気づいて流出を止めようとしたが、そのうち自分達も逃げる準備を始める者が増えた。
その間、王家や女神神殿が何をしていたかと言えば。
女神の能力を国内に行き渡らせるために、と称して大規模な儀式の準備をしていた。何でも、女神の能力の媒介として最高の存在を顕現させるという話だった。
その儀式の当日。
平民は多く国を出たものの、貴族はまだ大半が国内に留まっていた。生活必需品や嗜好品が手に入り難くなっていることに気づいている者も多かったが、皆あまり深刻にとらえていなかった。大貴族の領地はあまり流出も起きていなかったこともある。
そうした貴族達を集めて神殿が行った儀式は、『召喚』だった。
女神の力を受け止める器を、この世界に呼び寄せるという儀式。
それに応じて現れたのが、一人の少女。如何にも女神様のお好きそうな、可愛らしく物事を知らず、見目良い男達にちやほやされることのみ求める新しい『聖女』が現れた。
まあ可愛らしい娘だったよ。王子や他の貴族令息が、丁寧に挨拶するのに戸惑いながら目を輝かせていた。異世界から持ち込んだ何と言ったかな、物事を調べる道具が使えなくなった時はずいぶんふくれていたが。
食べ物や衣類、身の回りのこと全てが彼女からしたら不便でどうしようもなかったらしいが。その代わりになるものも思い付かなくて頻りに愚痴をこぼしていた。
清潔や利便を望むのならば、それに応じた魔法はあるのだけれどね。彼女はそちらの素養も無くて、付けられた侍女がそちらを対応していた。
何でも魔法の無い世界から来たそうで、魔法自体には興味津々だったよ。興味の向くものにはかなり熱心だったけれど、それが自分の手に負えないとなると、あっさり切り捨てる。その辺なかなか切り替えが早かった。
魔法を教えていた教師役の青年とは親しくしていたね。まあ彼は見た目も良い上に魔法では国内でも随一と言われた天才、でなければ女神の愛し子として召喚された聖女の教師等なれない。
彼女の周りには、見目良く才能あって身分も高い青年が集められていた。もちろん彼女をこの世界に繋ぎ止めるために。女神様が彼女にどういう話をなさったのかは知らないが、彼女自身あの国のためにと意気込んでいるようでもあったよ。
ただ、女神様が約束されたように、他国より優れた生活という訳にはいかなかった。実り豊かな大地も増えた家畜も、目覚ましい程ではなく……それに何より人が減ったからねえ。実りを収穫する者、家畜を養い供する者、そうした働き手が少なくなっていた。
女神様はご自身のために作られる織物や装飾品の職人、花々を育てる者等は出国を許されなかったのだが。そんな者の中にも、国に見切りをつけてこっそり脱出する者がいた。もちろん残って女神のために腕を振るっていた者もあったけれど。
さて聖女を取り囲む青年は、国でも人気の貴公子揃いだった。さっき言った魔法使いも身分こそ低いがその才能は折り紙付きだし、何より見た目が良かった。
これも女神様のお好みなのだろう、見目麗しい男性は特に女神様に愛されていた。金髪碧眼、眉目秀麗、少し線の細い文官肌が特にお好きだったようだね。騎士でも鍛えて筋骨隆々、といった類いには冷淡だった。
そして聖女様も、そうした好みは女神様とそっくり同じだったのだよ。ただし彼女の場合、自分以外の女性は基本的に嫌いだったのだけれど。
この世界にやってきた彼女の身の回りの世話をするために、僅かに残っていた侍女を付けたのだけど。聖女様はその彼女達をことのほかお嫌いになられた。ドレスを着るためにコルセットを締めるのが乱暴だ、髪をとかすのが雑だとか文句が絶えなかった。
そうした侍女達も、その頃にはかなり減っていたのだけれどね。皆国を出て行ってしまったから。
私はその頃になって初めて直接聖女様にお会いした。実に可愛らしい方だったよ、如何にも女神様のお好みの。
侍女がいなくなって本来ならその職務に就くはずのなかった者が、代わりにそこに充てられた。それが私達だったのだよ。
五人で持ち回りに彼女の面倒を見ることになったのだけれど……聖女様は私達のような娘を嫌ってらしたからね。最初はずいぶんご機嫌斜めだった。
私達かい?あの国の貴族令嬢だったのだよ。その、聖女様に付けられた貴公子達と縁の深い者ばかり。一人は貴族ではなく魔法使いの恋人で、やはり優秀な魔女だったけれど。
それも女神様のご指示だったのかな、今ではわからないけれどそうだったとしても驚かないね。
その娘達をこき使い、難癖をつけるのが聖女様は大変お好きだった。
いや本当に。
些細な、例えば朝起こす際の声のかけ方が煩いとかカーテンの開け方が乱雑だとかから始まって朝食のメニューがお好みとは違う、いつも同じものだとか……後は髪を梳かす際に櫛の使い方が悪いだとか。
どうしろとかどこが悪いとは言わないのだね、決して。ただ嫌だ、煩い、乱暴だと言うだけ。他から見れば乱暴とも煩いとも取れないので、直しようがない。
まあ、概ね難癖を付けたいだけだったのだろうね。皆それをわかっていたし、だからといって聖女様を咎めることも出来ない。
私達は女神様のお嫌いな、そして聖女様も好かない、美しい娘や身分の高い娘、そして頭の良い娘だったからね。
……いやいや、そこまで自惚れているわけではないよ、これ笑うでない。
私達は皆貴族令嬢だったのだから、少なくとも身分の高いことだけは確かじゃないか。
そうこうするうちに、女神様と約束したもう一つの儀式の日が近づいてきた。
この儀式については私達もずいぶんと後になってから詳細を伺ったのだった。何でも王宮と神殿の本当に上層部だけで綿密な打ち合わせをしていたそうだ。極秘でね。
何しろ儀式の内容が内容だ、女神様をこの地に顕現さしめるためのものだというのだから。
これは女神様ご自身のお言葉だったそうだが、聖女様には内密にされていた。
何故かと言えば、その儀式は女神様を聖女様の肉体に取り憑かせるためだったから。
最初からそのために、聖女様をこの世界に召喚したのだって。
女神様と相性の良い、彼女の好みそうな少女を選んで呼び寄せた。それには容姿も含まれるし、声音とか髪質など、細かい女神様なりの拘りがあって召喚陣を作成した神殿の神官達も大変な苦労だったそうだよ。
聖女様を呼び出してからも女神様は色々彼女の様子を調べていたそうだ。前提条件は確かに彼女の指示通りではあっても、実際のところ魂と肉体の相性はその場になってみないとわからない部分があるらしい。
其処らはいかに神官様といえど、徒人には窺い知れぬ。何より聖女様のその持って生まれた魂がどれくらい女神様と近しいか、それが鍵なのだとか。
幸い、と言うべきかな、聖女様は女神様の望みに大変相応しく、滞りなく儀式を行えそうだ、と言うことになって。
我々、彼女の侍女になっていた娘達は国境まで移動させられた。その時点では何も聞かされていなかったから、ずいぶん不安だったのだけどね……すぐに隣国の街へ行くように言われたけれど、頼み込んで拝み倒して翌朝まで移動を待ってもらった。貴族の娘を複数連れて夜間行軍を避けたい気持ちもあったのだろう。
国境の移動魔方陣は山の中腹にある。目を凝らせば、遙か遠くに王都が窺えるような立地だ。
何が起こるのかは知らされていなかったが、何かが起こるとは全員思っていた。
今でも目の前に浮かぶようだよ。
鬱蒼と茂る森の向こう、石造りの街。その中でも比較的高いところにあった神殿に、夜明けの最初の光が射す頃だった。
まるでその朝日に呼応するかのように、神殿が光を放つのが国境からでも見えた。
女神様の降臨だ、と護衛の騎士が呟いて始めて私達は何が起こっているのかを察したのだ。
思えば聖女様には本当に申し訳ないことをした。
生まれ育った世界から無理矢理この世界に呼び出され、慣れない生活を送らされ。
貴公子達にちやほやされるのは楽しそうだったし、我が儘を楽しんでらっしゃるようだったけれど、まさかにその肉体を女神様に召し上げられるとは思ってもいなかっただろうに。
それを見届けて我々は人の住む街へと向かった。
故国は本当の意味で女神様の国になるのだから、我々が住み暮らす場では無くなったのだとね。
もっとも、私達が隣国に落ち着いてまもなく、故国から王子達がやってきたのには驚いた。何でも、女神様はこれからお気に入りの男達と楽しく過ごすから、国を護れだの仕事をしろだの煩いことを言う者は出て行け、と追い出されたのだって。
当人達は肩の荷が下りた、と本当に疲れても安堵している風だったけれど。
「あら、お帰りなさい」
「ただいま」
疲れたように笑って男は妻の身体に手を回した。
「……お疲れ様。後始末は、お仕舞いですの?」
「うん、とりあえずは。……もうあのクソ女神に付き合わなくて済むだけで此処は天国だよ」
「それが母国が滅んだ日の言葉でございましょうか、亡国の王子様」
「もう俺王族じゃないし。……大事な奥さんとこの子だけで精一杯だよ、俺の守るべき民は」
言いながら膨らんだ妻の腹をなぞる。その手つきは実に愛おしそうなものだ。
「……ふふ」
妻はちょっと笑う。出自のせいで些か時代がかった物言いの癖が付いているが、まだ若い。初産に不安はあるが、夫がいてくれ、また友人や故国の仲間もいる。きっと何とかなる、と思うのだ。
例え生まれ育った国が滅んだと言っても。
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