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アラシはにやりと笑いますが、ナギにはどうして彼らが砂漠を思い出すのかわかりません。
「ナギも食べてごらん」
アラシに言われ、ナギもパンケーキをひとくち食べてみました。
すると、なにか固いものがジャリッという音とともに砕けたのです。
「なあに、これ」
驚くナギの口に、ほんのりと優しい甘さが広がっていきます。
「まぁ、これ、ザラメね」
アラシが最後に入れたものは、ザラメという砂糖の大きな粒だったのです。
ザラメは噛むたびにザリザリしていて、まるで砂が口にはいったよう。
姫君の金色の目が、どこか遠くを見つめました。
「ああ、あの砂漠は今日もこのパンケーキみたいな色をしているのかしら。相変わらず退屈なくらい真っ平らなのかしら」
「砂漠が恋しいとおっしゃっておいでです」
姫君はキッとラクダを睨みつけ「余計なことは言わないの」と叱り飛ばしました。けれど、すぐに黙り込み、やがてこう言ったのです。
「次は草原に行く予定だったわね? ゆっくり向かいましょう」
ラクダの説明を聞かなくても、アラシはにんまりしてしまいました。だって、草原の手前には砂漠があるのです。きっと、砂の魚の王様はすぐに姫君に会えることでしょう。
「ナギも食べてごらん」
アラシに言われ、ナギもパンケーキをひとくち食べてみました。
すると、なにか固いものがジャリッという音とともに砕けたのです。
「なあに、これ」
驚くナギの口に、ほんのりと優しい甘さが広がっていきます。
「まぁ、これ、ザラメね」
アラシが最後に入れたものは、ザラメという砂糖の大きな粒だったのです。
ザラメは噛むたびにザリザリしていて、まるで砂が口にはいったよう。
姫君の金色の目が、どこか遠くを見つめました。
「ああ、あの砂漠は今日もこのパンケーキみたいな色をしているのかしら。相変わらず退屈なくらい真っ平らなのかしら」
「砂漠が恋しいとおっしゃっておいでです」
姫君はキッとラクダを睨みつけ「余計なことは言わないの」と叱り飛ばしました。けれど、すぐに黙り込み、やがてこう言ったのです。
「次は草原に行く予定だったわね? ゆっくり向かいましょう」
ラクダの説明を聞かなくても、アラシはにんまりしてしまいました。だって、草原の手前には砂漠があるのです。きっと、砂の魚の王様はすぐに姫君に会えることでしょう。
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