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第1章 世界の果てと老騎士
第4話 闇が蠢く森ー後編ー
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苔の生えた地面に足を滑らせる、両手で剣を抱えているのでバランスをとるのが難しく転びそうになる。足を運ぶたびに金属音が近くそして激しくなる。
「そこにいろ」といわれたところから、音がするほうへ5分程進んでいくとそれまだ鬱蒼と生えていた、大木、巨木がなくなり、見上げると青い空が見える。
前方には僕の背丈と同じぐらいの草が、びっしりと生えた草むらが現れる。音は明らかに草の向こう側から聞こえるため、僕は草むらをかき分けてゆっくりと進んでいく。
不意に目の前から草が消え、置くべきはずの足が空を切った。僕は足を踏み外しており、そこは急な崖のような窪地になっていたようで僕は急斜面を転げ落ちる。
落ち先の目の前にアルファルドさんと全身甲冑姿の騎士が対峙している。
その騎士は身長や体格ははアルファルドさんとほぼ同じなのだが一見するだけで異様な雰囲気をしており、鈍く光る銀色の甲冑の隙間から黒い煤のようなものが、体のうごきにあわせてあふれ出ている。
兜の顔の部分は顔当てで隠れているが、眼の部分は亡者と同じように赤く光っていおり、人間のそれではないことが分かる。右手には大人の身長ほどある長身の剣を右手で持ち、だらりと手を下げ、剣を引きずっている。
アルファルドさんが一瞬こっちを向き叫ぶ。
「小僧!逃げろ!!」
叫んだ瞬間、その騎士が高く飛び上がり、アルファルドさんに斬りかかる!
カキーン!!という金属音が響く。
アルファルドさんがそれを剣で受け止めた瞬間、騎士が右手を振り回す。
アルファルドさんは、その不規則な剣の動きを読んでいるのか、ただの一発も当たることなく、確実に受け止めている。
大人の足で30歩くらい離れている距離にもかかわらず、その騎士が放つ、その一発一発の重さはその衝撃波がこちらまで伝わってくるほどで、攻撃を受けるアルファルドさんもずいぶん疲弊しているように見える。
それも無理はない、僕がここに来るまでの間ずっとあの騎士と戦い続けていたんだ。あの化け物のような騎士と。
アルファルドさんが疲弊しているためか、押され気味になっているのが素人の僕の目から見てもわかる。そして鍔迫り合いのような形になり、アルファルドさんが騎士のお腹に蹴りを入れた。するとその騎士は後ろに飛び上がり、左手を地面につけ、肉食獣が獲物を狙うかのような低い姿勢になる。アルファルドさんは肩で呼吸をしており、消耗の激しさが分かる。
アルファルドさんが再び叫ぶ。
「小僧…なにをしている早くにげろ!」
僕は二人の戦いがあまりにも凄くただ茫然と眺めていた、それに気が付きアルファルドさんが叫んだのだ、その声で僕はハッとし逃げようとする。
一歩動こうとした瞬間、その騎士はこちらをくるりと向く。
あいつと目が合ったその瞬間、僕は尻餅をつき体が動かなくなってしまった。
ゆっくりとその騎士はこちらに歩いてきている。
「おおおおお!」
アルファルドさんが叫びながら騎士に斬りかかる、アルファルドさんに背を向けたままその騎士はその一撃をかわし、クルリと振り返って左手でアルファルドさんの首を掴んだ。
そして右手の剣で刺そうとしている。
僕のせいだ…僕さえいなければ…
僕以外にアルファルドさんを助けられる人はいない!!!
アルファルドさんを助けないと!でもどうやって…
僕は勇気を振り絞る。
体は動く!なら立ち上がれる。
そして僕は立ち上がる。僕の手に持っているものはなんだ?
剣だ、人を守る剣だ!
そして僕は大事抱えていた剣を鞘から抜く。
シャーンと心地よい金属音が聞こえ、その銀色に眩しく輝く細身の剣身が姿を現す。
アルファルドさんの胸に剣が刺さろうといしているその瞬間、僕はその剣先を騎士に向け走り出していた。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」
己を鼓舞するように自然と声がでていた。
剣は甲冑の間をすり抜け、体の中にすっと入っていく。
僕は力の限り、その剣を体の中に押し込む。
「うぎりぃぃぃいいぃぃぃぃぃぃぃいぃぃぃ」
その剣が差し込まれた場所から黒い煤のようなものがあふれ出だし、騎士は声にならない声を上げ、アルファルドさんから手を離すのが見えた、その瞬間僕の体は宙を舞っていた。
どうやらその騎士は僕の体を掴んで投げたようだ。
僕は気が付くと、窪地の切りったた淵までとばされていた。
その手にはまだ剣を握りしめている。
ボロボロのアルファルドさんが手を差し出してくれている。
「小僧、良い勇気をみせてもらった」
「あいつは?」
「逃げたよ」
僕はアルファルドさんの手を取り引き起こしてもらった。
そして二人で馬の所に戻る。
「アルファルドさんあの騎士って何?」
「あれかあれは覚者」
「覚者?」
「そうあれはこの世に強り未練や思いを残したものが覚者へとなる、そして覚者は亡者を喰らい力を蓄える」
「アルファルドさんの目的って…」
アルファルドさんは真剣な表情になり呟く。
「覚者を解放すること…」
おそらく過去になにか合ったんだろう、でも僕は今それを聞くことができなかった。
「ところで小僧、お前には剣の才能があるようだが、私が教えようか」
僕はその言葉を聞いて目を丸くさせる。
「え?本当に?」
「剣の本当の強さとは己の恐怖に勝つ勇気なんだ」
「あの時は、アルファルドさんを助けなきゃと思って無我夢中で」
「あの場面、恐怖で足がすくんで動けなかっただろ?」
「うん…」
「でもその恐怖に勝てたのはお前の勇気の強さだよ、その勇気を持っている人間は強くなる」
「僕もアルファルドさんみたいに強くなれるかな」
「ああなれるさ、ずっと強くなる。私なんかよりずっとな」
そういってアルファルドさんは笑っていた。
「そこにいろ」といわれたところから、音がするほうへ5分程進んでいくとそれまだ鬱蒼と生えていた、大木、巨木がなくなり、見上げると青い空が見える。
前方には僕の背丈と同じぐらいの草が、びっしりと生えた草むらが現れる。音は明らかに草の向こう側から聞こえるため、僕は草むらをかき分けてゆっくりと進んでいく。
不意に目の前から草が消え、置くべきはずの足が空を切った。僕は足を踏み外しており、そこは急な崖のような窪地になっていたようで僕は急斜面を転げ落ちる。
落ち先の目の前にアルファルドさんと全身甲冑姿の騎士が対峙している。
その騎士は身長や体格ははアルファルドさんとほぼ同じなのだが一見するだけで異様な雰囲気をしており、鈍く光る銀色の甲冑の隙間から黒い煤のようなものが、体のうごきにあわせてあふれ出ている。
兜の顔の部分は顔当てで隠れているが、眼の部分は亡者と同じように赤く光っていおり、人間のそれではないことが分かる。右手には大人の身長ほどある長身の剣を右手で持ち、だらりと手を下げ、剣を引きずっている。
アルファルドさんが一瞬こっちを向き叫ぶ。
「小僧!逃げろ!!」
叫んだ瞬間、その騎士が高く飛び上がり、アルファルドさんに斬りかかる!
カキーン!!という金属音が響く。
アルファルドさんがそれを剣で受け止めた瞬間、騎士が右手を振り回す。
アルファルドさんは、その不規則な剣の動きを読んでいるのか、ただの一発も当たることなく、確実に受け止めている。
大人の足で30歩くらい離れている距離にもかかわらず、その騎士が放つ、その一発一発の重さはその衝撃波がこちらまで伝わってくるほどで、攻撃を受けるアルファルドさんもずいぶん疲弊しているように見える。
それも無理はない、僕がここに来るまでの間ずっとあの騎士と戦い続けていたんだ。あの化け物のような騎士と。
アルファルドさんが疲弊しているためか、押され気味になっているのが素人の僕の目から見てもわかる。そして鍔迫り合いのような形になり、アルファルドさんが騎士のお腹に蹴りを入れた。するとその騎士は後ろに飛び上がり、左手を地面につけ、肉食獣が獲物を狙うかのような低い姿勢になる。アルファルドさんは肩で呼吸をしており、消耗の激しさが分かる。
アルファルドさんが再び叫ぶ。
「小僧…なにをしている早くにげろ!」
僕は二人の戦いがあまりにも凄くただ茫然と眺めていた、それに気が付きアルファルドさんが叫んだのだ、その声で僕はハッとし逃げようとする。
一歩動こうとした瞬間、その騎士はこちらをくるりと向く。
あいつと目が合ったその瞬間、僕は尻餅をつき体が動かなくなってしまった。
ゆっくりとその騎士はこちらに歩いてきている。
「おおおおお!」
アルファルドさんが叫びながら騎士に斬りかかる、アルファルドさんに背を向けたままその騎士はその一撃をかわし、クルリと振り返って左手でアルファルドさんの首を掴んだ。
そして右手の剣で刺そうとしている。
僕のせいだ…僕さえいなければ…
僕以外にアルファルドさんを助けられる人はいない!!!
アルファルドさんを助けないと!でもどうやって…
僕は勇気を振り絞る。
体は動く!なら立ち上がれる。
そして僕は立ち上がる。僕の手に持っているものはなんだ?
剣だ、人を守る剣だ!
そして僕は大事抱えていた剣を鞘から抜く。
シャーンと心地よい金属音が聞こえ、その銀色に眩しく輝く細身の剣身が姿を現す。
アルファルドさんの胸に剣が刺さろうといしているその瞬間、僕はその剣先を騎士に向け走り出していた。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」
己を鼓舞するように自然と声がでていた。
剣は甲冑の間をすり抜け、体の中にすっと入っていく。
僕は力の限り、その剣を体の中に押し込む。
「うぎりぃぃぃいいぃぃぃぃぃぃぃいぃぃぃ」
その剣が差し込まれた場所から黒い煤のようなものがあふれ出だし、騎士は声にならない声を上げ、アルファルドさんから手を離すのが見えた、その瞬間僕の体は宙を舞っていた。
どうやらその騎士は僕の体を掴んで投げたようだ。
僕は気が付くと、窪地の切りったた淵までとばされていた。
その手にはまだ剣を握りしめている。
ボロボロのアルファルドさんが手を差し出してくれている。
「小僧、良い勇気をみせてもらった」
「あいつは?」
「逃げたよ」
僕はアルファルドさんの手を取り引き起こしてもらった。
そして二人で馬の所に戻る。
「アルファルドさんあの騎士って何?」
「あれかあれは覚者」
「覚者?」
「そうあれはこの世に強り未練や思いを残したものが覚者へとなる、そして覚者は亡者を喰らい力を蓄える」
「アルファルドさんの目的って…」
アルファルドさんは真剣な表情になり呟く。
「覚者を解放すること…」
おそらく過去になにか合ったんだろう、でも僕は今それを聞くことができなかった。
「ところで小僧、お前には剣の才能があるようだが、私が教えようか」
僕はその言葉を聞いて目を丸くさせる。
「え?本当に?」
「剣の本当の強さとは己の恐怖に勝つ勇気なんだ」
「あの時は、アルファルドさんを助けなきゃと思って無我夢中で」
「あの場面、恐怖で足がすくんで動けなかっただろ?」
「うん…」
「でもその恐怖に勝てたのはお前の勇気の強さだよ、その勇気を持っている人間は強くなる」
「僕もアルファルドさんみたいに強くなれるかな」
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そういってアルファルドさんは笑っていた。
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