45 / 120
第2章 騎士学校
第45話 パックの実力
しおりを挟む
「じゃあシャウラ、パックと戦ってみて」
俺達は学校の道場に戻り、2人に声を掛ける。
驚きの表情を見せシャウラが口を開く。
「え?僕と?」
「苦手でも基本は出来てるでしょ?パックの実力を測るにはちょうどいいと思うんだ。俺やマーフだと強すぎるしなぁ」
「そっか…じゃあやってみるよ」
シャウラはしょうがないという感じで、木剣を持ち道場の中央に立つ
俺はパックに話しかける。
「それじゃパックも思うように一回戦ってみて」
「はい!」
目を輝かせながらパックは返事をシャウラの向かい側に立つ。
「素人と立たせて大丈夫なの?構えもなってないし」
心配そうな口ぶりでマーフが俺に話しかけてくる。
確かにパックの構えは腰が引け、その構えでは打ち込むことも難しいといった感じでマーフが心配するのも分かる。
俺の合図で試合が始まった。合図を出した途端、シャウラから仕掛ける。思いっきり剣を振りあげながら間合い詰め、一気に振り下ろす。なかなか鋭い振りだ。パックはそれを逃げるようにかわす。そしてシャウラもそれを追いかけて剣を振る。必死な表情でそれをかわすパック。ただ逃げ回るパックに剣を振るシャウラ、シャウラが次第にパックを追い詰める。
追い詰められたパックはヤケクソのように剣を振るった。それをシャウラにかわされシャウラの一撃がパックの頭の上でピタリと止まる。
嬉しさからか、少し顔を綻ばせたシャウラが声を上げる。
「僕の勝ち!」
パックは肩で息をし悔しそうな表情を見せる。
「これじゃ素人いじめてるだけじゃないのよ」
呆れたような目でマーフが俺のことを見る。
「あいつ…森で学んだこと何もしてないな」
そう呟き俺は手をあげ、パックに近づき耳打ちをする。それを聞いたパックは頷く。
「じゃあ、始めようか」
そう言って俺が中央から離れる。
怪訝そうな顔したマーフが俺に話しかける。
「なにを吹き込んで来たのよ?」
「まあ、見てろって次パックが勝つぞ」
「それはないわよ」
俺はマーフに試合を見るように促す。
パックは一旦目を閉じ、呼吸を整えている。さっきの構えとは違い自然体で突っ立っている。それを見たシャウラは
「ラグウェルから何を吹き込まれたのか知らないけど、これほどの実力差は埋まらないよ!」
さっきと同じように剣を振り上げ間合いを詰めてくる。シャウラの剣がパックの間合いに入った瞬間、パックは目を開く。
シャウラの振り下ろされた剣はパックの体をかすめるように空を切る。その瞬間、シャウラは驚きの表情をみせ、体勢を崩したシャウラにパックの剣が胴体に当たる前でピタッと止まる。
シャウラと勝ったパックも二人してきょとんした表情をし、マーフは驚きの表情で俺のことを見る。
それを見て俺はしたり顔をでマーフに話しかける。
「だから勝つって言ったろ?」
「動きが全然ちがうじゃない」
「これがパックの実力ってことさ」
肩を落としたシャウラはパックに話しかける。
「さっきと全く動きが違うんだけど、ラグウェルはなんて言ったの?」
「師匠があの森でウサギを捕まえたと時を思い出せって」
「それだけ?」
「うん。それだけ」
その会話を聞いたマーフが俺に話しかける。
「どういう意味よ」
「動物を捕まえるときって、動物の気配や息遣いを感じるまで集中をする。そして逃げる動物の一歩先を読んで捕まえるんだ」
「パックはそれをやったってこと?」
「うん。それができるようになると、相手の動きが読める。一歩先を読んで勝てる」
「それを鍛えるために、5日間の森生活をやったのね」
「一か八かの賭けだったけどな」
パックとシャウラがこっちにやってきて、シャウラが俺に話しかけてくる。
「パック君凄いよ…本当に優勝できるかもしれない」
パックの方を見ると頭を掻いて照れているような素振りを見せそしてポツリと呟く。
「イヴァンにも勝てるかな…」
「イヴァン?」
「うん…この間、俺のことを殴った奴」
「ああ、あのデカイ奴か」
「うん、あいつ去年のちびっこ剣術大会でも優勝したんだ」
それを聞いたマーフが会話に入ってくる。
「それってもしかしてライコフ家の?」
「うん」
「マーフ知ってんの?」
「ええ、知ってるわよ。うちとも付き合いのある貴族だし、あそこの嫌味なオヤジがずっと息子のこと自慢してたから覚えちゃったわよ」
マーフはパックの背中をパーンと叩き
「絶対優勝しなさい!あのクソオヤジをギャフンと言わせたいわ」
パックはマーフを真っ直ぐに見つめ
「うん、絶対イヴァンにも勝って優勝してみせる」
力強く答えた。
俺達は学校の道場に戻り、2人に声を掛ける。
驚きの表情を見せシャウラが口を開く。
「え?僕と?」
「苦手でも基本は出来てるでしょ?パックの実力を測るにはちょうどいいと思うんだ。俺やマーフだと強すぎるしなぁ」
「そっか…じゃあやってみるよ」
シャウラはしょうがないという感じで、木剣を持ち道場の中央に立つ
俺はパックに話しかける。
「それじゃパックも思うように一回戦ってみて」
「はい!」
目を輝かせながらパックは返事をシャウラの向かい側に立つ。
「素人と立たせて大丈夫なの?構えもなってないし」
心配そうな口ぶりでマーフが俺に話しかけてくる。
確かにパックの構えは腰が引け、その構えでは打ち込むことも難しいといった感じでマーフが心配するのも分かる。
俺の合図で試合が始まった。合図を出した途端、シャウラから仕掛ける。思いっきり剣を振りあげながら間合い詰め、一気に振り下ろす。なかなか鋭い振りだ。パックはそれを逃げるようにかわす。そしてシャウラもそれを追いかけて剣を振る。必死な表情でそれをかわすパック。ただ逃げ回るパックに剣を振るシャウラ、シャウラが次第にパックを追い詰める。
追い詰められたパックはヤケクソのように剣を振るった。それをシャウラにかわされシャウラの一撃がパックの頭の上でピタリと止まる。
嬉しさからか、少し顔を綻ばせたシャウラが声を上げる。
「僕の勝ち!」
パックは肩で息をし悔しそうな表情を見せる。
「これじゃ素人いじめてるだけじゃないのよ」
呆れたような目でマーフが俺のことを見る。
「あいつ…森で学んだこと何もしてないな」
そう呟き俺は手をあげ、パックに近づき耳打ちをする。それを聞いたパックは頷く。
「じゃあ、始めようか」
そう言って俺が中央から離れる。
怪訝そうな顔したマーフが俺に話しかける。
「なにを吹き込んで来たのよ?」
「まあ、見てろって次パックが勝つぞ」
「それはないわよ」
俺はマーフに試合を見るように促す。
パックは一旦目を閉じ、呼吸を整えている。さっきの構えとは違い自然体で突っ立っている。それを見たシャウラは
「ラグウェルから何を吹き込まれたのか知らないけど、これほどの実力差は埋まらないよ!」
さっきと同じように剣を振り上げ間合いを詰めてくる。シャウラの剣がパックの間合いに入った瞬間、パックは目を開く。
シャウラの振り下ろされた剣はパックの体をかすめるように空を切る。その瞬間、シャウラは驚きの表情をみせ、体勢を崩したシャウラにパックの剣が胴体に当たる前でピタッと止まる。
シャウラと勝ったパックも二人してきょとんした表情をし、マーフは驚きの表情で俺のことを見る。
それを見て俺はしたり顔をでマーフに話しかける。
「だから勝つって言ったろ?」
「動きが全然ちがうじゃない」
「これがパックの実力ってことさ」
肩を落としたシャウラはパックに話しかける。
「さっきと全く動きが違うんだけど、ラグウェルはなんて言ったの?」
「師匠があの森でウサギを捕まえたと時を思い出せって」
「それだけ?」
「うん。それだけ」
その会話を聞いたマーフが俺に話しかける。
「どういう意味よ」
「動物を捕まえるときって、動物の気配や息遣いを感じるまで集中をする。そして逃げる動物の一歩先を読んで捕まえるんだ」
「パックはそれをやったってこと?」
「うん。それができるようになると、相手の動きが読める。一歩先を読んで勝てる」
「それを鍛えるために、5日間の森生活をやったのね」
「一か八かの賭けだったけどな」
パックとシャウラがこっちにやってきて、シャウラが俺に話しかけてくる。
「パック君凄いよ…本当に優勝できるかもしれない」
パックの方を見ると頭を掻いて照れているような素振りを見せそしてポツリと呟く。
「イヴァンにも勝てるかな…」
「イヴァン?」
「うん…この間、俺のことを殴った奴」
「ああ、あのデカイ奴か」
「うん、あいつ去年のちびっこ剣術大会でも優勝したんだ」
それを聞いたマーフが会話に入ってくる。
「それってもしかしてライコフ家の?」
「うん」
「マーフ知ってんの?」
「ええ、知ってるわよ。うちとも付き合いのある貴族だし、あそこの嫌味なオヤジがずっと息子のこと自慢してたから覚えちゃったわよ」
マーフはパックの背中をパーンと叩き
「絶対優勝しなさい!あのクソオヤジをギャフンと言わせたいわ」
パックはマーフを真っ直ぐに見つめ
「うん、絶対イヴァンにも勝って優勝してみせる」
力強く答えた。
0
あなたにおすすめの小説
《レベル∞》の万物創造スキルで追放された俺、辺境を開拓してたら気づけば神々の箱庭になっていた
夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティーの雑用係だったカイは、魔王討伐後「無能」の烙印を押され追放される。全てを失い、死を覚悟して流れ着いた「忘れられた辺境」。そこで彼のハズレスキルは真の姿《万物創造》へと覚醒した。
無から有を生み、世界の理すら書き換える神の如き力。カイはまず、生きるために快適な家を、豊かな畑を、そして清らかな川を創造する。荒れ果てた土地は、みるみるうちに楽園へと姿を変えていった。
やがて、彼の元には行き場を失った獣人の少女やエルフの賢者、ドワーフの鍛冶師など、心優しき仲間たちが集い始める。これは、追放された一人の青年が、大切な仲間たちと共に理想郷を築き、やがてその地が「神々の箱庭」と呼ばれるまでの物語。
無能と追放された俺の【システム解析】スキル、実は神々すら知らない世界のバグを修正できる唯一のチートでした
夏見ナイ
ファンタジー
ブラック企業SEの相馬海斗は、勇者として異世界に召喚された。だが、授かったのは地味な【システム解析】スキル。役立たずと罵られ、無一文でパーティーから追放されてしまう。
死の淵で覚醒したその能力は、世界の法則(システム)の欠陥(バグ)を読み解き、修正(デバッグ)できる唯一無二の神技だった!
呪われたエルフを救い、不遇な獣人剣士の才能を開花させ、心強い仲間と成り上がるカイト。そんな彼の元に、今さら「戻ってこい」と元パーティーが現れるが――。
「もう手遅れだ」
これは、理不尽に追放された男が、神の領域の力で全てを覆す、痛快無双の逆転譚!
「お前の戦い方は地味すぎる」とギルドをクビになったおっさん、その正体は大陸を震撼させた伝説の暗殺者。
夏見ナイ
ファンタジー
「地味すぎる」とギルドをクビになったおっさん冒険者アラン(40)。彼はこれを機に、血塗られた過去を捨てて辺境の村で静かに暮らすことを決意する。その正体は、10年前に姿を消した伝説の暗殺者“神の影”。
もう戦いはこりごりなのだが、体に染みついた暗殺術が無意識に発動。気配だけでチンピラを黙らせ、小石で魔物を一撃で仕留める姿が「神業」だと勘違いされ、噂が噂を呼ぶ。
純粋な少女には師匠と慕われ、元騎士には神と崇められ、挙句の果てには王女や諸国の密偵まで押しかけてくる始末。本人は畑仕事に精を出したいだけなのに、彼の周りでは勝手に伝説が更新されていく!
最強の元暗殺者による、勘違いスローライフファンタジー、開幕!
この聖水、泥の味がする ~まずいと追放された俺の作るポーションが、実は神々も欲しがる奇跡の霊薬だった件~
夏見ナイ
ファンタジー
「泥水神官」と蔑まれる下級神官ルーク。彼が作る聖水はなぜか茶色く濁り、ひどい泥の味がした。そのせいで無能扱いされ、ある日、無実の罪で神殿から追放されてしまう。
全てを失い流れ着いた辺境の村で、彼は自らの聖水が持つ真の力に気づく。それは浄化ではなく、あらゆる傷や病、呪いすら癒す奇跡の【創生】の力だった!
ルークは小さなポーション屋を開き、まずいけどすごい聖水で村人たちを救っていく。その噂は広まり、呪われた女騎士やエルフの薬師など、訳ありな仲間たちが次々と集結。辺境の村はいつしか「癒しの郷」へと発展していく。
一方、ルークを追放した王都では聖女が謎の病に倒れ……。
落ちこぼれ神官の、痛快な逆転スローライフ、ここに開幕!
Sランクパーティを追放されたヒーラーの俺、禁忌スキル【完全蘇生】に覚醒する。俺を捨てたパーティがボスに全滅させられ泣きついてきたが、もう遅い
夏見ナイ
ファンタジー
Sランクパーティ【熾天の剣】で《ヒール》しか使えないアレンは、「無能」と蔑まれ追放された。絶望の淵で彼が覚醒したのは、死者さえ完全に蘇らせる禁忌のユニークスキル【完全蘇生】だった。
故郷の辺境で、心に傷を負ったエルフの少女や元女騎士といった“真の仲間”と出会ったアレンは、新パーティ【黎明の翼】を結成。回復魔法の常識を覆す戦術で「死なないパーティ」として名を馳せていく。
一方、アレンを失った元パーティは急速に凋落し、高難易度ダンジョンで全滅。泣きながら戻ってきてくれと懇願する彼らに、アレンは冷たく言い放つ。
「もう遅い」と。
これは、無能と蔑まれたヒーラーが最強の英雄となる、痛快な逆転ファンタジー!
「お前は無能だ」と追放した勇者パーティ、俺が抜けた3秒後に全滅したらしい
夏見ナイ
ファンタジー
【荷物持ち】のアッシュは、勇者パーティで「無能」と罵られ、ダンジョン攻略の直前に追放されてしまう。だが彼がいなくなった3秒後、勇者パーティは罠と奇襲で一瞬にして全滅した。
彼らは知らなかったのだ。アッシュのスキル【運命肩代わり】が、パーティに降りかかる全ての不運や即死攻撃を、彼の些細なドジに変換して無効化していたことを。
そんなこととは露知らず、念願の自由を手にしたアッシュは辺境の村で穏やかなスローライフを開始。心優しいエルフやドワーフの仲間にも恵まれ、幸せな日々を送る。
しかし、勇者を失った王国に魔族と内通する宰相の陰謀が迫る。大切な居場所を守るため、無能と蔑まれた男は、その規格外の“幸運”で理不尽な運命に立ち向かう!
ハズレスキル【地図化(マッピング)】で追放された俺、実は未踏破ダンジョンの隠し通路やギミックを全て見通せる世界で唯一の『攻略神』でした
夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ちだったユキナガは、戦闘に役立たない【地図化】スキルを理由に「無能」と罵られ、追放された。
しかし、孤独の中で己のスキルと向き合った彼は、その真価に覚醒する。彼の脳内に広がるのは、モンスター、トラップ、隠し通路に至るまで、ダンジョンの全てを完璧に映し出す三次元マップだった。これは最強の『攻略神』の眼だ――。
彼はその圧倒的な情報力を武器に、同じく不遇なスキルを持つ仲間たちの才能を見出し、不可能と言われたダンジョンを次々と制覇していく。知略と分析で全てを先読みし、完璧な指示で仲間を導く『指揮官』の成り上がり譚。
一方、彼を失った勇者パーティは迷走を始める……。爽快なダンジョン攻略とカタルシス溢れる英雄譚が、今、始まる!
(完結)魔王討伐後にパーティー追放されたFランク魔法剣士は、超レア能力【全スキル】を覚えてゲスすぎる勇者達をザマアしつつ世界を救います
しまうま弁当
ファンタジー
魔王討伐直後にクリードは勇者ライオスからパーティーから出て行けといわれるのだった。クリードはパーティー内ではつねにFランクと呼ばれ戦闘にも参加させてもらえず場美雑言は当たり前でクリードはもう勇者パーティーから出て行きたいと常々考えていたので、いい機会だと思って出て行く事にした。だがラストダンジョンから脱出に必要なリアーの羽はライオス達は分けてくれなかったので、仕方なく一階層づつ上っていく事を決めたのだった。だがなぜか後ろから勇者パーティー内で唯一のヒロインであるミリーが追いかけてきて一緒に脱出しようと言ってくれたのだった。切羽詰まっていると感じたクリードはミリーと一緒に脱出を図ろうとするが、後ろから追いかけてきたメンバーに石にされてしまったのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる