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第4章 21代目の剣聖
第85話 生きる約束
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俺が戦いを受けるといってから3日が経った頃に国王からの使いが来て、1週間後に決戦を迎えると伝えられるとともに条件、場所などが伝えられた。
アルファルドは国を捨てた人間で正式な立会人はなれないということで、正式な立会人はムルジム校長ということになる。これは事前にアルファルドから聞いていた。
剣聖レグルスの図らいで、この戦いは立会人のみの非公開で、アルファルドとムルジム校長この2人の立ち会いの元で戦うということになった。
そしてもう一つ条件が加えられていた。
それは真剣で戦うということ……これもレグルスの強い要望であり、これが飲めないのであれば彼は戦わないとまで言い切ったとのことだった。
つまり負けることは死に直結する。レグルスは剣聖を失うと死ぬことになり、俺も又勝利をする以外に生き残る道がないということ……
お互いが断固たる決意のもとに戦うということだ。一歩も引かずに。
つまり半端な覚悟では剣聖を賭けて戦うという舞台にすら立たせないということだ。俺も覚悟を決めて剣聖に挑む。そのために悩み苦しんだんだ……俺はその条件で戦うことを承諾する旨を使いの人に告げた。
その話は騎士団本部にも伝わっており、俺が本部に行くと会う人会う人に話しかけられた。頑張れよと激励してくれるもの、剣聖に挑戦するなど不敬だと面と向かって俺に言うもの。
そして俺が騎士団本部から寮に帰る道すがら、息を切らせたシャウラの姿があった。
「はぁはぁ聞いたよ……」
その表情は何かを思いつめているように見える。
「ああ、なれるかどうかわからんけどな」
「どうしても今、剣聖に挑戦しないとだめなの?」
「うん……レグルスいや剣聖からの指名なんだ。おそらくは最高の状態で俺と戦いたいってことなんだろう」
「そうか……でも剣聖様が今居なくなると……あの人のおかげで少しずつだけど、この国もいい方向に向かってるんだ……」
「俺は騎士団の副団長のレグルスと戦うんじゃないよ。この国、最強の剣士であるレグルスと戦うんだ」
シャウラは顔を伏せ、肩が震えるほど拳を力いっぱいに握り叫ぶ。
「そんなの詭弁だよ!!」
「ああ、そうだ。確かに剣聖の影響力は大きいし俺が取って代われるもんじゃない……しかも真剣による勝負だ。命のやり取りになる……ただ俺もこの国を守るために命を賭して戦ってきた。レグルスに成れるわけじゃないけど、俺なりの剣聖のあり方を示すことだってできるはずだ」
「……」
シャウラは何も言わず沈黙が流れる……俺はその沈黙を破るようにシャウラの肩に手を置いて諭すように話しかける。
「分かってくれ。シャウラ……」
シャウラは顔を上げ目に涙を貯めながら肩に置かれた俺の手を払って叫ぶ。
「そんなの卑怯だよ! 僕だって友達を失いたくない! 剣聖様にだって負けて欲しくない!!」
「ごめん……」
「なんで? なんで謝るの? 悪いのは僕だ……大事な勝負を控えてる君にこんなこと言って……」
「シャウラ……」
シャウラは涙を拭き顔をあげ、俺の肩を両手で掴む。
「必ず生きて僕の前に帰ってきて欲しい。必ず!!」
俺はシャウラの顔を真っ直ぐにみつめこう言った。
「ああ、約束する。必ず生きて帰ってくるよ」
そう言うとシャウラは右手を俺の前に差し出す。
「約束の握手」
「ああ」
こうしてシャウラと俺は硬い握手を交わした。
そして俺は勝負の日を迎えた。
アルファルドは国を捨てた人間で正式な立会人はなれないということで、正式な立会人はムルジム校長ということになる。これは事前にアルファルドから聞いていた。
剣聖レグルスの図らいで、この戦いは立会人のみの非公開で、アルファルドとムルジム校長この2人の立ち会いの元で戦うということになった。
そしてもう一つ条件が加えられていた。
それは真剣で戦うということ……これもレグルスの強い要望であり、これが飲めないのであれば彼は戦わないとまで言い切ったとのことだった。
つまり負けることは死に直結する。レグルスは剣聖を失うと死ぬことになり、俺も又勝利をする以外に生き残る道がないということ……
お互いが断固たる決意のもとに戦うということだ。一歩も引かずに。
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その話は騎士団本部にも伝わっており、俺が本部に行くと会う人会う人に話しかけられた。頑張れよと激励してくれるもの、剣聖に挑戦するなど不敬だと面と向かって俺に言うもの。
そして俺が騎士団本部から寮に帰る道すがら、息を切らせたシャウラの姿があった。
「はぁはぁ聞いたよ……」
その表情は何かを思いつめているように見える。
「ああ、なれるかどうかわからんけどな」
「どうしても今、剣聖に挑戦しないとだめなの?」
「うん……レグルスいや剣聖からの指名なんだ。おそらくは最高の状態で俺と戦いたいってことなんだろう」
「そうか……でも剣聖様が今居なくなると……あの人のおかげで少しずつだけど、この国もいい方向に向かってるんだ……」
「俺は騎士団の副団長のレグルスと戦うんじゃないよ。この国、最強の剣士であるレグルスと戦うんだ」
シャウラは顔を伏せ、肩が震えるほど拳を力いっぱいに握り叫ぶ。
「そんなの詭弁だよ!!」
「ああ、そうだ。確かに剣聖の影響力は大きいし俺が取って代われるもんじゃない……しかも真剣による勝負だ。命のやり取りになる……ただ俺もこの国を守るために命を賭して戦ってきた。レグルスに成れるわけじゃないけど、俺なりの剣聖のあり方を示すことだってできるはずだ」
「……」
シャウラは何も言わず沈黙が流れる……俺はその沈黙を破るようにシャウラの肩に手を置いて諭すように話しかける。
「分かってくれ。シャウラ……」
シャウラは顔を上げ目に涙を貯めながら肩に置かれた俺の手を払って叫ぶ。
「そんなの卑怯だよ! 僕だって友達を失いたくない! 剣聖様にだって負けて欲しくない!!」
「ごめん……」
「なんで? なんで謝るの? 悪いのは僕だ……大事な勝負を控えてる君にこんなこと言って……」
「シャウラ……」
シャウラは涙を拭き顔をあげ、俺の肩を両手で掴む。
「必ず生きて僕の前に帰ってきて欲しい。必ず!!」
俺はシャウラの顔を真っ直ぐにみつめこう言った。
「ああ、約束する。必ず生きて帰ってくるよ」
そう言うとシャウラは右手を俺の前に差し出す。
「約束の握手」
「ああ」
こうしてシャウラと俺は硬い握手を交わした。
そして俺は勝負の日を迎えた。
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